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理想の家族


日曜日の夜、家族で食事を取る。


「キヨさん、お味噌汁美味しいね!!」


貴将がキヨさんに伝える。

…なんか百子と被るような…。

そうか、百子と貴将が似てると言われるのが分かった。


…認めたくないけど。


「キヨさん、俺も料理を覚えたい。」


もう一度、直談判。百子と二人で暮らすにしても、毎日お母様が冷めないスープを持って来てもらうのは避けたい。


シェフがいた頃もお母さんはたまに料理を作っていた。俺も全く出来ない、というのは駄目だ。


「俺も、お母さんみたいに料理上手になりたい!」

「ゲッホ!ゴホゴホッ!ゴホッ!」

「…お兄ちゃん大丈夫?」


何故か兄貴が盛大に咳き込んだ。貴将が心配する。


「…結仁坊っちゃん、私も耳を疑いました。奥様が料理上手だなんて…。」


え?


「直くんの中ではお母さんは料理上手だったんだ?」


ん?


「え?だってハンバーグもプロみたいだったし、糠漬けだって毎朝お母さんが…」

「ですって、結仁坊っちゃん。あのお嬢様はご自分をよく見せるのがお上手ですね。」

「直之は美味しく出来るようになってからのしか食べていませんから。」


ん?


「直くん、ハンバーグ、糠漬け。他は?」


兄貴に質問される。他?お母さんがよく作ってくれてたのは…


「ハンバーグ、糠漬け…後は…」


あれ?ない。


「ハンバーグと糠漬けだけでございましょう?お嬢様がそれを体得されるまでどれだけ旦那様が犠牲になったことか…」


え?


「あのお父さんの忍耐強さはどこからやってくるのでしょうかねぇ?」

「旦那様が本当に寛大な方で…。よくぞお嬢様と結婚して下さったと私は毎日拝む気持ちでした。」

「…お父さんとお母さんってお母さんの方が強かったんだ?」

貴将が聞く。


「100%、お父さんが折れてましたね。」

「旦那様の忍耐強さを見れば、私は自分の器の小ささを思い知らされます。」

「確かに。僕も同感です。」


「兄貴、俺がお父さんに似て忍耐強いって…」


あれは褒め言葉では?


「うん、だから直くんは大丈夫。本田さんファミリーに揉まれても耐えられるよ。」


…。


「兄貴ってめちゃくちゃ性格悪かったんだな!!」

「なんで?褒め言葉だよ。」

「直、褒め言葉だよ。」


貴将は絶対兄貴の味方だ。褒め言葉に聞こえない!



「こうして、ご兄弟三人が仲良くされて…さぞ、旦那様も奥様もお喜びでしょうね。」


「…うん。」


うん。そうだ。



きっと、今の俺達を見て、お父さんもお母さんも喜んでいる。





「お兄ちゃんが買ってくれたケーキ食べよう!俺はチョコレート!」

「俺はショートケーキ。」

「私はチーズケーキを。」


我が家は皆定番が決まっている。兄貴もそれを見越して買ってくる。


「お兄ちゃんはミルフィーユ。」


だけど、いつからか兄貴の定番が変わった。前はミルフィーユじゃなかったのに。


「どのみちお兄ちゃんのは俺が食べるから!お兄ちゃんのは俺のもの!」


なんかガキ大将みたいな。


「うん、貴ちゃんが好きなだけ食べていいよ。直お兄ちゃんにもあげてね。」


やっぱり兄貴は俺達に甘い。




この家族の一員で良かった。

そして、こんな家族を俺も百子と作りたい。

お兄さんがミルフィーユを食べるようになったのは…

ミルフィーユが登場するのはシリーズ〝お兄ちゃんのこれまで〟の第一話です。

宜しくお願いします(*^^*)

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