私は直くんの婚約者
なんかよく分からないけど、私は直くんのお嫁さんになるのね!?
お兄さんがパパとママの説得に来てくれてる。
直くんが頼んだのかな?私のパパは頭カッチコチだから。
プロポーズ待っててほしいって直くん言ってたのに…。
そっか…やっぱりお兄さんに頼むくらい、直くんは私と早く結婚したいんだ…。そんなに私の事を…。
んもう!やっぱり直くんはせっかちさんなんだから!
「あ、あの!」
直くんが結納の日取りを決めてる三人に割って入る。
「家賃は払います。その為にはまだ…もう少し社会人として成長してから、百子さんと結婚したいと思っていまして…。」
直くん、どうしたのよ?もうまとまってるのに。
はっ!でもそうだった…。
私もまだドレスが着れない。
「なんだと!?うちの百子とは結婚したくないってことか!?」
酔っ払いパパが怒りだす。
パパ、ついこの前まで認めないって言ってたのに。
直くんに怒った。
(…パパ、私を怒らせたわね。)
「そ、そうではなく…」
直くんが怖気づいてる…。私が助けないと!!
「……百子さんは我社でも人気で、直之もさぞ気が急いた事だと思います。」
へ?お兄さん?
「百子さんと早く結婚したいと、直之は申しておりました。」
そうだったの!?
「も、百子さんと結婚したいと思う気持ちは勿論あります!今も昔も…。ただ、結婚するには私が余りにも未熟だと考えさせられました!今の私では、まだ百子さんの結婚相手として不十分だと痛感いたしまして!…えっと…その…」
直くんが言葉に詰まる。
未熟なんて、そんなことないよ直くん。
…素直に言ったらいいのに。タキシードが入らなかったって。
「…確かに直之はまだ未熟です。お父様、お母様の助言を頂きながらとなるとお二人の負担も増えるかと存じます。それを思えば、すぐに結婚、までは早急過ぎたかもしれません。」
お兄さん、そんなにうちのパパとママの事を気にかけてくれるなんて…。
やっぱり直くんのお兄さんは優しい。
「ですが、直之はどうしても百子さんと結婚したいと切に願っております。ですので、その思いを叶えてあげたいと私は直之の親代わりとして、お父様とお母様、そしてお嬢様にお願い申し上げます。」
「三井くん…」
「「お兄さん…」」
ホロリ。お兄さん、なんて優しいの。お兄さんからお願いされるなんて…。
「まずは婚約だけ、させて頂けませんでしょうか?そして明確な結婚の日にちは百子さんのお気持ちを最優先しながら、任せると言うのはいかがでしょうか?」
直くんのお兄さんは直くんに似て素晴らしい。
私とパパとママを最優先に考えてくれてる。
「そうだな。」
「ええ。」
パパとママが了承する。
そっか。それこそ私の思惑通りよ。私がいいって言ったら、直くんが私にプロポーズするの。お兄さん、ありがとう。
だけど、曖昧な関係じゃない。
私は直くんの婚約者よ!!!