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私は天女


「直くん、おはよう。」

「…なんか怒ってる?」


日曜日、楽しい直くんとのデートのはずが、私の気分は最悪。


ぐーきゅるきゅるきゅる。


昨日あれから(かすみ)しか食べてない。


「…百子お腹空いてる?」


ほう。この私の盛大な腹の虫が聞こえたかい。


「霞食べてるから大丈夫。」

「霞?」

「こうやって…」


口を大きくパクパクと動かす。そう、霞とは空気!

これで美しくウエディングドレスを着こなすのよ!!


「!!百子、それ食べ物じゃないって!!」

「私は天女(てんにょ)だから、大丈夫。霞が主食。」

「いやいやいや!」


大体、直くんがいつも私にご飯くれたりしなかったら太ってない。

太った?とか聞いてくれたらここまで太ってない。


お腹空きすぎて直くんに八つ当たり。くそぅ。


「な、何か食べよう?」

「だから、こうやって霞を!」

「百子、落ち着いて!これだと午後からお父様とお母様に会えないって!」


…そう。今日は午前中直くんと過ごして、お昼ご飯食べてから私の家に行く予定になってる。

直くんがパパとママと話したいって言うから。


「何かあった?」


直くんがおずおずと聞いてくる。

昨日のドレス入らなかった事件は言えない。


「性格も体格も図々しい彼女になりたくないの!」

「どこからそんな話が…」

ぐーきゅるきゅるきゅる。


「…。」

「…。」


「百子、少し早いけどお昼ご飯食べよう。」

「まだ11時!お昼は早い!」

「…。」


「直くん、プロポーズだけどね。あれ、私が良いって言うまで、言っちゃダメだから。」

「え?」

「暫くは言っちゃダメ。」


今プロポーズされてもドレスが入らない。流石にそれを言うのは恥ずかしいから、私がプロポーズの時期を決めよう。


私だって、羞恥心がある。そこまで図々しくはない。


「…良かった。」


何が?


「昨日、色々と考えてまだ堂々と百子にプロポーズ出来ないって思ったから。」


ほ?


「俺も…待っててほしい。プロポーズ。」

「直くん…」


まさか直くんも同じ気持ちだったなんて…。


はっ!もしかして直くんも昨日タキシードの試着に行ったとか?もしかして直くんも入らなかったの!?


やーだ!やっぱり私達はお似合いカップルじゃない!


「うふふ。」

「百子、何か食べよう。」

「うん!」


直くんも太ってたなんて知らなかった。だったら一緒に食べて、一緒にダイエットしたらいい。


だって、未来は決まってる。



――私と直くんは、運命共同体なんだから。






✽✽


14時過ぎ、直くんと私の家に向かう。


「ところで直くん、パパとママに伝えたいことって何?」


肝心な事を聞くの忘れてたよ!


「…色々と考えて、俺はやっぱり婿にはいけない。だけど百子と結婚したい…。それを伝えたいんだ。」


…。


「直くん、それって私がプロポーズに了承してからの話じゃないの?」


順番逆じゃない?


「え?そうなの?兄貴が無責任な事はするなって言うからてっきり…」


…お兄さんが?何があったの?直くんち。


まぁ、何でもいいか!


「ウフフ。直くんだーい好き!」


気持ちは変わらない。


「俺も好きだよ。」


ま!


そっか…やっぱり三井百子か。楽しみ。

ももちゃんは直くんとの関係において色々と勘違いをしていそうです(笑)

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