表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステ振り失敗したまま異世界転移~なんとか冒険者になれたので、ハズレスキル頼りで無双することにします~  作者: アカバコウヨウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/65

第三十四話 そして伝説に

 暗黒騎士ゾンビを倒してから数か月後。

 場所は冒険者ギルドにある酒場。


「じゃあ、そういう事で」


「次のクエストにはティオ達も同行するのじゃろ? 足を引っ張らないか心配なのじゃ」


 と、言ってくるのはシャロンである。

 彼女は尻尾を振り振りさらに続けてくる。


「ともあれ、これで次のクエストの打ち合わせは終わったのじゃ! 今日も疲れたし、一杯やるのじゃ!」


「あぁ、そうだな。さて、じゃあ注文は――」


 と、アッシュが言おうとしたその時。


「あ、あの……大変申し上げにくいんですけど」


 聞こえてくる冒険者ギルドの受付のお姉さんの声。

 見れば、いつの間にやらアッシュ達のテーブルの傍に居るお姉さん。

 彼女は一枚のクエスト用紙を見せながら言ってくる。


「実は緊急クエストが舞い込んでしまいまして……」


「くくくっ……なるほど」


 と、偉そうに返事するのはシャロン。

 彼女はお姉さんへと言う。


「暗黒騎士ゾンビからこの街を救った英雄……すなわち、この我でなければこなせないクエストが舞い込んだ……故に! この我にそのクエストをやって欲しいということじゃな?」


「あ、いえ。シャロンちゃんじゃなくて、アッシュさんに頼みたいクエストです」


「な、なんでなのじゃ!」


「え、だってシャロンちゃんより、アッシュさんの方がまと――強いですし」


「今、アッシュの方がまともって言おうとした! 酷いのじゃ! それにアッシュは我の配下、我の方が強いに決まってるのじゃ!」


 バンバン。

 と、テーブルを叩いて猛抗議するシャロン。

 しかし、お姉さんはそれを完全無視――アッシュへと続けてくる。


「それで、受けてもらえますか? 明日中にはクリアして欲しいんですけど……」


「…………」


 暗黒騎士ゾンビを倒した報酬で、家の問題はクリアした。

 けれど、アッシュには新たなる問題が出来てしまったのだ。


 それはお姉さんの一連の会話そのものともいえる。

つまり、アッシュの強さが皆にバレてしまったのである。


暗黒騎士ゾンビを倒したあの時――近くに居た人達には、「暗黒騎士ゾンビはシャロンが倒した事にしてくれ」と口封じ的なものをした。


けれど、所詮は口約束。

 人は真実をひそひそと語りたがるもの。


 最初の数日はよかったが、数週間も経つと。


「アッシュさん? ここはアッシュさんの腕を見込んで、是非とも!」


 言ってくるお姉さん。

 要するにみんなこの調子である――アッシュの目立ちたくない方針は、もはや木端微塵に砕け散った。


(はぁ……でもこうなったからには仕方ないよな。なんとかできる力がある以上、困ってる人は助けたいし)


 そんな事を考えたのち、アッシュはお姉さんへ言うのだった。


「じゃあ明日、そのクエストを受けさせてもらいます。今日はちょっとさすがにきついんで、クエスト用紙だけください」


 そして、これは余談だが。


「うぅ……なんでなのじゃ! 英雄扱いされて評価が上がったのはアッシュだけ……我の評価は全く上がってないのはなんでなのじゃ!」


 あの日以来。

 シャロンは定期的にいじけるようになったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ