表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステ振り失敗したまま異世界転移~なんとか冒険者になれたので、ハズレスキル頼りで無双することにします~  作者: アカバコウヨウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/65

第十一話の三

「…………」


「…………」


 再びの沈黙。

 だがしかし、今回はエリスと裸で見つめ合っているわけではない。


 時はエリス風呂場襲撃事件から数分後。

 場所はティオ、エリス家リビング。

 

 現在、アッシュはティオとエリスとテーブルを挟み、向かい合って座っている――当然、三人ともしっかり服を着ている。


「…………」


「…………」


「はぁ……騒いでいた理由はわかりましたけど、それで何か?」


 と、アッシュとエリスの沈黙を割いて来るのはティオである。

 アッシュはそんな彼女へと言う。


「騒いですみませんでした」


「それだけですか?」


「裸で飛び出してすみませんでした」


「もう少し具体的に……自分を卑下する感じで言ってみてください」


「は、裸で飛び出して、ティオ様に粗末なモノをお見せして――って、なんでそんな事を言わないといけないんだよ!」


 アッシュはバンっと、テーブルを叩きながらツッコミを入れる。

 しかし。


「んっ……少し満足しました」


 と、ティオは頬を赤らめ、エリスへと視線を向け言う。


「それで……おまえは私に何かいう事はないんですか?」


「な、なによ! 別にあたしは悪い事してないんだからね!」


「エリス……」


「こ、この変態があたしを犯そうとしたから、こういう事態になってるんだからね!」


「エリス……!」


 と、ティオが少し語気を強める。

 彼女はそのままジトっとした目つきを強め、エリスへと続ける。


「アッシュさんがこの家にいる事は、おまえだって知っていますよね? だったら、少しは警戒して然るべきです……なのに、おまえはそれを怠った。それがこの結果です」


「つ、つまり何よ!」


「つまり……今回の事態は、おまえの不注意によるものという事です。私はおまえの妹なので、謝罪はこの際もういいです。しかし、アッシュさんに迷惑かけた事は、しっかり謝ってください」


「うぅ……っ」


 と、エリスはキッとアッシュを睨んで来る。

 その後、彼女は少しの間わなわなした後、非常に悔しそうに言ってくる。


「……でした」


「声が小さいです……エリス」


 と、すかさずダメ出しを入れるのはティオである。

 エリスはそれを受け、再びアッシュへと言ってくる。


「すみませんでしたぁ!」


「自分が悪い事をしたという意識を持って、もう一度いってください」


 再びのエリスの謝罪。

 再びのティオのダメ出し。


「え、エッチな事しか考えてないせいで、アッシュ様に迷惑かけてしまって申し訳ありませんでした!」


「それがおまえの全力ですか? だとしたら、とんでもない無能豚ですね」


 謝罪。

 ダメだし。


「あ、あたしはエッチで駄目な子なの! いつもエッチな事考えてるから、変な勘違いしちゃうのぉ! だ、だから! だからおしおき……っ、あたしにお仕置きしてぇ!」


「そうです……そうですよ。おまえはそうして、豚みたいに欲しがっているのがお似合いです」


 謝罪。

 ダメ出し。

 ……ではない。


 アッシュは気が付く。

 これは言葉攻めして喜んでいるティオと、言葉攻めされて喜んでいるエリス。

 変態のやり取りであると。


 ティオはかつて、エリスはドМの変態だと言った。

 実際は違ったのだ――ティオも変態だ。ドSの変態だ。


(俺はとんでもない家にお世話になっているのかもしれない)


 今日この時、アッシュはそう思ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ