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クールなバイト仲間

あら?

お客様また来てくださったんですね?


え?

また覗きに来ただけ?


仕方ありませんね。

じゃあ、一人、バイト仲間を紹介します。


「ようこそ、いらっしゃいませ!」

「おはようございます」

「あっくんおはよー」


 店内に入ると、店長と常連のお客さんが一人いた。

 店長とお客さんは仲良さそうに談笑している。


 俺はその脇を抜け、お店の奥に向かう。


 更衣室へ向かう廊下で、一人の少女と出会った。


敦也あつや、おつかれ」

「おつかれ、すみれ」


 彼女は俺と同じアルバイトで、名前を春花はるはなすみれという。

 背が結構高く、髪も短く切り揃えている。


 胸は……多少は……ある、かな。


 お互い下の名前を呼び捨てだが、幼馴染みというわけではなく、このバイトで初めて出会った。

 彼女はとてもクールで、最初から俺を呼び捨てにしていた。


 俺はそういうのは特に気にしないので、こちらも呼び捨てにし始めたのだ。

 すると、すみれも特に気にしていなようだったので、それが定着したというわけだ。


「先行ってるから」

「おー」


 そう言うとすみれは、片手をひらひらと振りながらお店の方へ向かっていった。


「ホント、クールだよなぁ」


 俺は一人そう呟くと、更衣室の扉を開けた。



※※※



「おっ、あっくんきたねー」

「はい。遅かったですか?」

「いやいや全然。言いたいことがあってさ」

「なんです?」


 店長はテキパキと料理の準備をしながら答える。


「今日はわたしの知り合いが、友達いっぱい連れてくるって言ってるからちょっと忙しいかもよ?」

「そうなんですか」


 いつもお客さんは少ないので、まったくと言っていいほど忙しくない。

 そこにたかが数人の団体が来たところで、大差ないだろう。


 本当にこんなので、バイト代をあんなにもらっていいのかと度々思う。


 話はそれだけのようで、店長は料理に戻った。


「そっちは終わってるから、あとこっちよろしく」

「おっけー」


 テーブルを拭いていたすみれに近づくと、俺に気づいたようで、俺に残りを言い渡した。

 すみれはほかのことをするようだ。


 そうしてしばらく暇な時間を過ごしていると、店長が言っていたお客さんが来た。


「「いらっしゃいませー」」


 そうすみれと一緒に言った瞬間、こっそりじゃんけんを開始する。


「「最初はグー、じゃんけんぽいっ」」


 俺はグーですみれはパー。


「負けた……」

「よろ~」


 敗者の俺は、注文を取りに行くのだ。


 勝者のすみれは、余裕の笑みを浮かべていた。

 ちくしょー……。


 と、思うじゃん?

 でも、実は俺、わざと負けたんだよね。


 ここですみれのことを見て欲しい。

 いつもクールにしているすみれの笑顔。


 あれが見たいんだ!


 最初は本気でじゃんけんをしていたが、あの笑顔が見れると気づいてから、俺は最初は絶対にグーを出すようにし始めた。

 そうしてこの状況が完成したのだ。

 策士でしょ?


 まぁ、それは置いといて。


「ご注文はどうなさいますか?」


 ショートカットで、ボーイッシュな格好をしている人がラーメン。

 綺麗な黒髪を惜しげもなく輝かせている人が豚カツ定食。

 先ほどの人ほど長くはないが、とても綺麗な黒髪をしている人がチャーハン。

 その人の妹なのか、とてもなついている小さな女の子がカレーライス。

 唯一の男の子が、カツ丼。


「お客様はどうなさいますか?」


 あと一人、肩に掛かるか掛からないかくらいの長さの綺麗な銀髪に、紅い瞳の小さな女の子に尋ねる。


「わたしは、とりあえずラーメンとカツ丼とハンバーガー」

「かしこまりました」


 あとで誰か来るのかな?

 そこはわからないけど、とりあえず注文を店長に伝えた。


 俺が驚くことになるのは、すぐだった。


「はむはむ……むぐっ」

「サユ、よく噛んで食べなよ?」

「むぐ」

「よぉ食べるなぁ~」


 なんだ、あの子……。

 食べ物が次々とあの小さな口に吸い込まれていく。


「あの子、すごいね」

「そうだね。忙しいのも納得だ」

「たしかにね」


 すみれも食い入るように見つめていたが、食べ終わるのが思ったよりも早い。

 すぐに次の料理を注文してきた。


「はむっ……ごくり。すみません、ラーメン追加」

「はい!」


 食べ終わったお皿を持って店長に注文を言う。

 料理ができるまで、俺とすみれは皿洗いだ。


 それからは結構あっという間だった。


「あっくん! すぅちゃんと休憩入っていいよー!」

「「ありがとうございます!」」


 注文が止まったので、これ以上はないという判断だろう。


 すみれと一緒に休憩室に向かう。


「たしかにいつもより忙しかったね」

「そうだな」


 あの子が食べ過ぎなだけだと思うけども。

 あの小さい体のどこに蓄えてるんだか。


 休憩室に着くと、すみれがクッキーをくれた。


「これ、作ってみたの。食べる?」

「さんきゅー」


 一口食べると、口の中にバターの風味が広がった。


「どう?」

「うん、うまい!」

「よかった」


 そう言って照れたようにはにかむすみれ。

 体の疲れが飛ぶようですわ。


「今度俺もなんか持ってくるよ」

「ほんと? やった」


 すみれは嬉しそうに笑うと、小さくガッツポーズをした。


 そこからしばらくは、雑談が続いた。



※※※



 手作りのクッキー喜んでもらえた……!

 よかったぁ~。


 ちゃんと練習してよかった♪


 でも、なんだかさらりと食べてたな……。

 なんとも思われてないのかな……?


 冷たい女だねってよく言われてたし、敦也にまでそう思われてたらどうしよう……。


 でもまだまだこれからっ。

 頑張れ私!

敦也「次回予告は会話式でやれって」

すみれ「誰が?」

敦也「さぁ? でも、やってみたかったって言ってた」

すみれ「そうなの?」

敦也「おう」

すみれ「ふ~ん……。で、誰が?」

敦也「さぁ?」

店長「次回予告してないじゃんっ!!」



※※※



 今回お店に来た子たちは、私、小倉桜が書いた『ゲーム人生ぷらすリアル人生』に登場する子たちです。気になった方はそちらもチェックしてみてください。

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