「お前アイツの親戚かよ…」前編
昼休みも終わり、五時限目六時限目を何事もなく過ごすことに成功した俺は現在、文ゲー部の部室に居た。
ところで1つ言っても良いだろうか。本当に突然で悪いが、突発的に言わなければならないことがある気がしたので言っていいだろうか。
「何故にお前がここに居るんだ?」
「す、すみません………生きてて」
どういう訳だ檜山。何故転校してきたばかりと思われるお前がここに居るんだ。
なんでここに居るんだ(大事な事なので二回言った)。
転校生が一日目にして(仮でも)こんなイロモノ部活に入ってくるなんて前代未聞だぞ。
それ以前にこの部活に俺以降大徳寺ちゃんみたいな特殊な例を除いて俺より後に新しい部員が入ってきたことがなかったのになんでコイツが………
あと、ツッコミが遅れて悪いが生きててすみませんってなんだよお前は青髭公を前にした平民か。
ちなみに青髭公ってのはペロー童話的な方の、妻を何人も娶るものの悉く行方不明になって恐れられた方な?詳しくは覚えてないからググれ。
閑話休題。
「謝るのは良いから何故ここに居るのか説明プリーズ」
俺は檜山に、何故ここに居るのかの説明を求めた。
別に部長辺りに聞いても良いんだろうが、こういうのは本人から聞き出した方が良いんだ。
俺としても自分の与り知らないところでまだ言っていないことを話されたらそう気分が良いことじゃないからな。
「えと、それはその………伯父さんに勧められたので………」
「伯父って?」
ふむふむ、どうやら檜山は伯父とやらにこの文ゲー部を勧められたようだな。
しかし歴史もないからOBも居ないし、無駄に結果を残しているとはいえ大して有名でもないからここについて知っているのは現役の教師とか用務員さんくらいだろうが………
名字が同じだし、ウチの顧問の檜山の甥ってか?
でも確か教師は身内が居る所には赴任しないとか言ってなかったけ。誰が言ってたか知らないけれども。
………いや、しかしコイツは今日転校してきたわけだから意外と例外だったりすんのか?
それにコイツの場合伯父って言ってるしなぁ………訳が分からん。
俺は、ひとまずその伯父ってのがどういう奴なのかを特定しようと檜山をさらに問い詰める。
「この部の顧問をしていると聞きました………」
「………………」
しかし、檜山が返してきたのはある意味では予想通りというか驚愕はしないけどなんだろう、うげぇとでも思ってしまうような返答だった。
正直この答えが来るのはなんとなく予想していた。
何故か?と問われたら回答は難しいけどな。
まぁあえて言うなら………主人公補正だ。
今ものすごく不本意というか身に覚えのない言葉にルビでカンと付けられた気がしてならないが、本当にただの直感だ。
そこに俺以外の奴の意思は介在しないしそんな余地は俺が許していない。
とにかく俺はこの展開を予見していた。
檜山という苗字を聞いて最初にピンとこなかったのは俺にとって檜山(教師の方な?)の印象が薄かっただろうが、先ほどコイツが自分の伯父に勧められてきた、と言った時から予見していたのさ。
俺はなんか予見していたっていうと無駄にカッコいいので若干誇らしく、地味に心中でドヤっとした。
それはもうもし顔に出ていたらウザいと言われること間違いなしってくらいに、ドヤっとしていた。
だが、そんな時不意に文ゲー部のドアが開き、俺を含む部室に居た全員がそちらを見た。
そこに居たのは………
「「「檜山(教師の方)が出欠を取りに来たわけでもないのに来るなんて………」」」
「お前らは俺をなんだと思ってるんだクソガキども」
珍しいことに、出欠を取る以外の目的で来たと思われる檜山であった。
まぁどうせ、檜山の入部手続きか何かだろうが………な。




