「怪しいものには気を付けろ(迫力)」
「あ、由ちょうど良いところに来たな」
「何が?というかコレ気になんないの?」
一階に降りた時、そこでは親父と後輩ちゃんが料理をしていた。
我が家は意外にも親父と俺の二人しかマトモな料理が出来ないという珍しい一家なのだが………ただ、この流れ、つまり俺が母さんを背負って降りてきた流れで普通に手伝えと言うのは逆にすごいと思うよ。
まぁ親父の場合さきほど数回殴られたようだし、ひとまず飯にしてほとぼりが冷めるまで待ちたいというのもありそうだけどさ。
それなら俺もこれを利用させてもらうとするかな。
オートカウンター的なアレやら何やらの説明をするよりも料理の方が数段楽だし。
そんな訳で母さんを適当にソファに転がし、常にエプロンを常備しているタンスから黒いの(ただし黒しかない)を選んで着る。
ここであえてエプロンを着用する必要は無いのだが、あると無いとではかなり違いがあるのでよほど急いでたりしなければ着るようにしている。
何故かって?そりゃ単純さ。
かなり昔………大体俺が中1か2くらいの時に、料理中地震が起こってカレーを作っておいた鍋が俺の方に倒れた。
で、もちろんそれはまだ寝かせる段階ではない(そもそも寝かせない方が多いウチのカレーだが)煮込んでる途中の熱いカレー鍋なので、危うく火傷するかと思った。
しかしたまたまエプロンがやたら分厚いものだったことが幸いし、服越しでもそこまで熱さが伝わらず、大惨事………亮太が飯を食えずにキレてケンカになるとか、熱々のカレーを床にブチ撒けて足にかかって火傷、あるいは鍋で負傷するとか………は免れたのだ。
要約するとエプロンって偉大だね!ということである。
まぁ、それは置いといて料理に取り掛かろうじゃないか。
材料的に見て………
「これ何よ?」
「あぁ、それはスープのための出汁だよ」
「………」
………なんじゃこりゃ。何故よく分からない不思議生物の翼っぽい形の骨があんの?
豚骨じゃないし、もしかしたら外国の地方とかじゃ美味いと言われてるかもしれない謎食材………
訳わかんねーよ。
そしてそれを何食わぬ顔で調理できてる後輩ちゃんはもっと理解不能だよ。
何故これを調理できる………
「先輩、これはですね………」
まぁ、幸いにして後輩ちゃんが説明してくれるみたいだしそれを聞いて何とかするとしようか。
この歳ではトップクラスに長い主夫歴が伊達じゃないってことを証明してやる。
「………とりあえず正体不明なので豚骨かなにかと思い込んで煮込むしかないです」
………分からないのか。まぁ後輩ちゃんにも分からないことがあるだろうけどさ。
ただ、俺の直感は告げている。これはちょっとヤバいもんだとな。
いや、正確には直感じゃないな。親父が何故か足ガックガクだし、後輩ちゃんが何やら呆れ半分期待半分的な顔をしてるのが原因だ。
何があるというんだ。得体のしれないものほど怖いものはないぜ。
とりあえずこの骨?をどうにかした方が安全そうだな。親父の用意したものだと言うなら何か(R-18的な意味で)ヤバい成分が含まれててもおかしくない。
何かこれの処分先として使えそうな有能な人材はいないか?
いや、今は居ないな。
一番使いやすい亮太は何やら自分の部屋に居るみたいだし、ステラは今俺の部屋………の、色々なものが組み合わさったせいで嵌ると中々抜け出せなくなってしまってる穴に足を取られてて居ない………
どうしようか。
母さんが目覚めるのを待つか?いやでもそれほど悠長にやってられそうにはないし………
いっそマジで作ってみて親父が食うまで待ってみるかな。安全のために。
………安全の、ために!




