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「幼馴染という言葉に史上最も恐怖した瞬間だね」

幼馴染って良いよな。なんたって心の距離を詰めるのも難しくないし、その上基本頼りやすい。

頼るにしたって疎遠になっちまったら話が別だが、しかしいつでも頼れる人材がいるのは素晴らしいことだ。

特に今日はそれを深く実感した日だったね。

今朝、腐れ神様によって略奪愛への忌避感を消された男たちによる家の前の占拠プラス、それにより家を出られないというチェックメイト一歩手前の状況から助けてくれた武なんかはその最たる例だと思う。


しかし、幼馴染ってのは一部の場合において怖いものなんだな、とも思ったよ。俺はね。

つまり俺が何を言いたいのかと言えば、俺の近くにいるある男の幼馴染が全力でその男に詰め寄っていて、ちょっと色々逃げ出したい衝動に襲われているんだけどどうにも逃げるに逃げられない的な雰囲気だなー、ってことで。

どうにかしてくれよ、部長さんよ。アンタの幼馴染だろう?

「助けてくれ田中ちゃん………」

………こりゃダメか、部長すら俺を頼る流れになってる。

こうなると後輩ちゃんを頼る以外にいい手立てはないんだが、後輩ちゃんはまだ来ていない。

もちろん違う部活なので武やら郁馬やら(死ぬほど頼りたくないものだが)亮太やらに救出を頼むわけにもいかない。

こうなると頼れるのは己自身ってことになるが、俺という人間はいかんせん頼りにならない、いやむしろ頼りになるかと聞かれたら『俺に頼るくらいならば誰にも頼らない方がまだマシだ』と言ってしまうようなレベルで頼れない人間だ。

つまり絶対に頼ってはいけない人間第一位ということだ。

だから俺自身も俺を頼れない。あらまこれは不思議、詰みだ。

チェックメイト、である。


ハハハ、こりゃもうダメだ。部長を生け贄にしてどうにか早く終わらせる必要があるな。

さぁ俺のために幼馴染との問題を解決しろ部長よ。

「ねぇ正吾………なんで私から逃げるの?ねぇなんで?」

………理由追加。俺の精神安定のため(ヤンデレが怖いから)早くコイツをどうにかしろ!

俺、郁馬、武が顧問(名義のみ)にゴリ押しで入部させちゃってくれと頼んで入れたら部長の幼馴染で、しかも部長が求愛成功しちゃった相手だったのを知らなかった俺も少しくらいは責任があるだろうよ。

しかしな、部長さんよ。

そこそこ可愛いこの子に求愛成功しちゃってんのになぜ逃げたし。と俺は言わせてもらいたい。

というか少なくともなぜ、ちゃんと事態を収拾しなかったんだ。


………いや待てよ?

そういえばこの文ゲー部で初めて作った作品の時、ヒロインの名前を決める時に出した名前で大徳寺ってのが案の1つに挙がったのだが、その時は異常なまでに反対する部長の剣幕に押される形で別の名前を採用したんだっけな………

あの時の部長の怯え方は異常だった。

なんというか、恐怖とかその辺をの感情を通り越して腹が減ったライオンの前に血まみれで放り出された兎のような怯え方だった。

つまり天敵の前に放り出されたかのような、ってことだ。

「あの、そのだね加奈ちゃん………僕も逃げてるんじゃなくてだね、加奈ちゃんがちょっと僕にのめり込み過ぎて心配になったから距離を置いたのであって………」

「へぇ、そうですか、やっぱり逃げたんじゃないですか」

はは………これ、もう俺逃げていいかな?逃げていいよね?

加奈ちゃんが鬼気迫るというか、狂気的なまでに怖いから逃げなきゃマズい気がするんだけど。

あぁ………助けて後輩ちゃん!


もうなんか辛くなってきて思わず後輩ちゃんに助けを求めた矢先、奇跡は起きた。

「ちょっと遅れました~って、何やってるんですか皆さん」

救世主(後輩ちゃん)参上。これで逃げられる。

俺は、事情を説明するフリをして後輩ちゃんを部室の外へ連れ出し、スタスタと文ゲー部の部室から離れていく。

「えっ、ちょっ………先輩、さっきの部長が絡まれてることやら何やらでよく分からないんですが………」

「………とりあえず、早くここから離れさせてくれ………」

逃げる理由?俺の胃が大ピンチ間違いなしだからだよ!

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