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サキュバスは今日も夢を見る  作者: 佐藤つかさ
第二章 ~クラリス・リベルテと夢の先~
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11.目 ~manazashi~

 誰かに見られている。

 何処からかなんて分からない。だけど粘着質な視線だけが明確に感じられる。

 

 ――誰?

 それが最初に思ったことだった。

 

 ――怖い。

 それが二番目に思ったことだった。

 

 唾を飲んで、クラリスは見えない何かに対して身構える。それが何の意味もなさないことなど百も承知だったが、そうせずにはいられなかった。

 緊張の影響なのか群衆がぼやけて見える。天馬騎士団の声も群衆の喧騒も聞こえない。ただ、心臓の鼓動だけがうるさくて――

 ぬめりのある手に心臓を鷲掴みにされたような、何ともいえない恐怖がクラリスにまとわりついてきていた。

 

 何なの? 誰なの?

 

 時間だけが流れていき、増していくのは恐怖ばかり。

 積もる焦りが不安になって、やがて埒が明かぬという苛立ちになり、最終的に決意へと変わる。

 視線は後ろから来ている。つまり、相手は背後にいるということ――

 やるべきことはひとつ。


「――っ!」

 

 意を決して、クラリスは振り返った。


「…………?」

 

 誰もいない。

 

 視界に入るのは、怖い顔で振り返った少女に対する大衆の怪訝な目。

 あんなに不快だった視線も、今となっては微塵も感じられない。

 

「…………」

 ホッと安堵して、クラリスはもう一度振り返った。

 

 

 目の前に、それがいた。

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