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作者: ピノ

だんだんと僕自身も色を取り戻していく。

携帯を操作して、電話帳の一番上にある番号を呼び出して電話をかける。

耳に当てると女性の声が聞こえる

「この番号は、現在使われておりません。もう一度・・・・・・」

アナウンスを二回聞いて、電話を切る。

完全に色を取り戻した僕の体なのに心の奥底はまだ灰色のような気がした。

部屋に戻ると焼いたパンと適当に作ったサラダで遅い朝食をとる。

空になった皿とコップを水につけると自分の部屋に戻って着替える。

ジーパンとTシャツ

なにを着るか不思議と迷わなかった。

最後にあったときの服装だ。

携帯をポケットに押し込んで、少し迷って、机の真ん中に置いてあった文庫本もポケットに詰め込んで外にでた。


街は僕が外にこもる前と変わらず流れていた。

人も店も

だけど、僕にとっては、その街の風景は数日前とは全く違うなにかわからないけど小さな違和感があった。

その違和感がなんなのかわからないけど、その違和感は歩くたびに大きくなっていって、まるで迷子になった気がした。

しばらく目的もなく歩いていると駅前のショッピングモールに着いた。

数日間歩いていなかったせいか足がいたくなった僕は、喫茶店で休むことにした。

でてきたホットコーヒをもって席に座る。

コーヒーを飲みながら家から持ってきた文庫本を開く。

その本は彼女初めて作った本で、僕らが暮らす世界とは別の世界で暮らす動物の話らしい。

いくつかの小さな話があるその物語はここ数日間何度も呼んだはずなのに、ずっと読んでいたい思える話だ。

そこには、この世界にはない。色があってその色が僕の心にある灰色の部分に色を付けていくそんな気がする。

一時間くらいだろうか僕は本をじっと読んでいた。

体を伸ばして、固まった体を伸ばして、最後まで読み終えた本をポケットにしまう。

すっかり冷えたしまったコーヒを一気に飲み干し、店を出る。


喫茶店をでて、向かったのは町外れでの丘だった。

すでにあたりは夕日で赤く染まり、一日の終わりを告げていた。

夕日をみながら目をつぶりあのことを思う。

一番に思い出すのはあの子の笑顔だった。

この世のなによりもきれいだった。

その笑顔に何度いやされたことだろう。

だけど、今はその笑顔を思い出すたびに心がきしみ痛みがはしる。

その痛みがつらくて目を開ける。

目を疑った。

彼女がいた。

最後に会ったときのままの姿だ。

白いワンピース。

腰の当たり前で伸びた黒い髪。

そして、あの笑顔。

ああ、そんなところにいたのか。

僕は彼女のところへむかう。

そこで世界が途切れる。

だけど、僕は、やっとすべての色を取り戻せた気がした。



お久しぶりです。

また短い作品ですが、よろしくお願いします。

ではでは。

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