第6話 瞳に映るその光景
どうも けとりゅーですー。
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今回はマイト達の森での話となります。
この世界での長さの単位は呼び方が違うだけで長さは同じ
mm=メム cm=セム m=メルム km=ケルム とします。
こっちの主人公で使うので先に書いておきます。
重さ、通貨などは後々紹介します。
出会いまであと少し!
では どうぞ!
陽がだいぶ高くなってきた。
風が強く吹き抜ける丘を越えマイトは父のヴォルガと兄グレイと共に森の入口まで来ていた。
「ここが【魔光の森】の入り口だ。準備はいいか?」
父の声に兄とともに頷き答える。
「大丈夫です。」
「こっちも大丈夫だよ。」
「よし。では離れないようについてくるんだ。森を探索するにあたって目印や拠点になる場所を周っていくからな。」
と歩き始める。
荷物は日帰りなのでかなり軽装だ。さすがにゴブリンが出るようになった森で寝起きするのは子供には危険すぎるからだろう。
「冒険者となれば野営することも多くなるだろう。多くの森で見かけることのできるもので旅に役に立つものがこの森にも多くある。歩きながら役に立つものを見かけたら教えていこう。」
「「はい!」」
父さんを先頭に更に森の奥を目指し歩いて行く。
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しばらく歩いて父さんがある木のそばで立ち止まる。
「マイト。お前ならこの木がなんの木かわかるんじゃないか?」
父さんに言われて木へ近づく。
すると10セムほどの桃色の果実がなっているのが見える。
「これは本で見たよ。ピプルの実だ。だからピプルの木だ!」
「そうだ。この木は世界中で見つけることができる一般的な木だ。環境の変化にも強いから様々な地で生えている木だ。そして実。これは冒険者たちの間でも重宝する果実だ。こうやって…」
と話しながら鞘におさめたままの大剣で枝をたたく。
するとその枝に成っていた果実がいくつも落ちてくる。
「衝撃を与えることで簡単に実を落とすことができる。」
「なるほど。簡単に落ちるモノなんですね。」
グレイ兄が興味深そうにつぶやく。
でも俺は本で読んだことがあるから知ってたけど、実際にこんなに簡単に木から落ちるんだなぁと感心していた。本で見るのと実際に体験するのでは違うから、とても楽しい。
すぐに、父さんに促され地面に落ちた果物をグレイ兄と回収していく。
また少し進んだところで父さんが立ち止まる。
「ではグレイ。この植物は何かわかるか?」
グレイは父が指さす地面に生えている20セムほどの葉を見る。
「これは時々消耗雑貨の店でも見かけますね。たしかポルセナの葉でしたね。魔法薬の材料に使われている植物でしたね。」
「その通りだ。これは体力の回復を促す魔力がこもっている植物だ。基本的には魔法薬の調合材料に使われている。これも温かい地域ならどこでも生えてる植物だ。魔力を持つ冒険者は旅をしながら調合術を使用して冒険の助けにしているが、これらの植物は重宝するものだ。父さんも昔世話になった。と、言っても父さんは大した魔力を持っていなかったから仲間がよく調合してくれたんだがな。あと、そのまま食べるのはよしておくことだ。ものすごく苦くて食べれたものじゃない。」
これも道具の図鑑で見たことある。似たような葉もあるらしいからしっかり特徴を覚えるようにしておこう。
「ここら辺に群生してるようだ。少し採集しておこうか。採集する際は引き抜いたりせずに根元から刃物で切り取るようにするんだ。葉をつぶしてしまっては効果が下がってしまうからな。」
父さんの指示の通りいくつか採集する。ベルトからナイフを取り出し根元からしっかりと切り取る。
「採集ができたらま進もう。」
更に奥へと進んでいく。
だけど、父さんが気を張り詰めてるような感じがする。
少し先に開けた場所があり、そこは焚火の後やテーブルの代わりにちょうどいい切り株や丸太などが転がっていた。
「よし。ここが狩人達もよく使う拠点の一つだ。ここで少し休憩しよう。」
「「はい。」」
声をそろえて返事をする。だけど気になるので問いかけてみる。
「父さん。なんだか気を張ってるっていうのかな?なんかいつもと全然違う感じがしたんだけどどうかしたの?」
父さんは少し驚いた後、苦笑いながら言った。
「よく気がついたなマイト。ああ。やっぱり森の様子が変だとわかる。ここに来るまでにホーンラビットすら見かけなかったというのがやっぱり異常ということだろう。本来なら何匹か逃げていくのを見かけるはずなんだが、今日は1匹も見かけていない。」
「それはやっぱりゴブリンのせいですか?」
「そう考えるのが妥当だろう。ここに魔物よけの魔法具を使っておくからゴブリンが入ってくることはない。父さんは少し周りを見てくるからお前たちはしばらくここで休憩してなさい。」
そういうと父さんは大剣を担ぎ直して森へと歩いて行った。
「あ。父さん。」
「ん?どうしたマイト。」
「聞き忘れてたことがあったんだけどね、昨日の夜変なことあったんだよ。」
「変なこと…?」
「うん。グレイ兄ぃも見たんだけど、なんか月から光みたいなのが森に向かって降りてる感じだった。それで光の先の森が光ってる感じ。」
「そう言えば光ってましたね。父さん。何かわかりますか?」
と二人で父さんを見上げると父さんはすごく驚いた顔でこっちを見ていた。
「お前たち、それは本当か…?」
「うん。昨日の夜。間違いないです。」
「そうか…。それは急いで調べる必要があるな…。」
「父さん何かわかるの。」
「たぶんそれを父さんは知っているよ。でも今はそのことは話さない。」
「じゃあまたあとでいいから教えてよ。」
「…わかった。」
いつになく真剣な顔で父さんは森の方へ歩いて行った。
やっぱり近くにいるのかなぁ…。そう考えているとグレイ兄さんが話しかけてきた。
「ねぇマイト。森に来てどう思った?」
普通に森へ来たことを聞いているようだ。
「うん。楽しいよ。本で見てるのと全然違うからね。でもゴブリンが森へ来たっていうのは残念だな。」
「やっぱりそうだよねぇ。」
「にしても。父さんあの光について何か知ってるみたいだね。」
「うん。なにかとてもすごいことが起こったような感じなのかな?」
「うーん。わからないや。」
「まぁまた父さんが教えてくれるよ。」
「そうだね。」
そう言って会話をきる。二人揃ってくる道中で採ったピプルの実を頬張る。
父さんが帰ってくるまでのんびり休憩でもしておこう。
そう思って地面に転がり空を見上げているのだった。
それからしばらくたった後、不意に聞きなれない音が聞こえてきた。
ドォーン
何か爆発するような音。
「グレイ兄ぃ、今の音聞こえた?」
「うん。なんだろう。」
「父さんなら魔法使わないし、ゴブリン程度にこんな爆音鳴らして戦わないと思うし。」
「魔法系のゴブリンが何かを攻撃してるか、魔法系の何かがゴブリンと戦ってるか?」
ドォン ドォーン
「また聞こえた。」
「…。」
「あれ?マイト?」
俺はなぜかわからないがその音のする方向がすごく気になっていた。
理由なんてわからない。でもあっちに行きたい。
「グレイ兄ぃ。俺ちょっと見てくる。」
「!? 何を言ってるんだ! 父さんにここにいろって言われたじゃないか!?」
「でもなんだかわからないけどむこうがすごく気になって仕方ないんだ。大丈夫。危険と判断したら迷わず戻ってくるから。もしも父さんが戻ってきたら急いで話して。」
俺はそういうと呼び止めるグレイ兄さんの声も無視して爆発の音がしたほうへ向かって茂みへと飛び込んでいた。
少し気配を消しながら茂みを奥へと進む。
キュゥウー!!
突然聞いたことのない鳴き声のようなものが聞こえた。
犬の悲鳴を高くしたような泣き声だ。でも犬とは全然違う。
ふと視線の先に開けた原っぱが見える。そしてその場の光景が目に入る。
原っぱの左手には丸焦げになった3体のゴブリン、うち2体は半身が吹き飛んでいる。
その少し手前には武器を振りかざす3体のゴブリン
自分の正面には弓を持ったゴブリンが1体…。
そしてゴブリン達の目線の先には矢が深く刺さった1匹の銀色の子狐が血を流しうずくまっていた。血を流し赤く染まっているのにもかかわらずその銀色の体毛はとてもきれいだと感じた。
すぐに俺は今どういう状況なのか理解していた。
あの子狐はゴブリン達に襲われていること。
あの爆発は子狐によるものだと。
あのままだと子狐の命が危ないこと。
なぜそうしたかわからなかった
だけど俺は迷わなかった。ショートソードを抜き
森から勢いよく飛び出して父さんから教わった技を使い、
一番危険であろう弓をもったゴブリンに背後から斬りかかる。
「負担大きいけどまず一発で決めなきゃ! ヴァルガ流迅剣術…! 縮地!!」
俺は弓をもったゴブリンの首を全力で跳ね飛ばした。
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まずは技等の紹介
ヴァルガ流迅剣術
剛を兼ねた柔の剣
ヴァルガの編み出した我流剣術
ヴァルガは身の丈ほどある大剣を使いこの剣術を使う
速さをもって力を制する、力を持って場を制する
体を強く鍛えてないと技の反動でダメージを受けてしまう一面もある。
縮地
某剣客漫画から名前を拝借。といっても別物です。
一瞬で相手に詰め寄るため距離が一瞬で詰まったように見える速さの技
己の軸足に力を込め大地をけり砕くように飛び
一気に間合いを詰め敵を斬る技
ヴァルガ流迅剣術の基本技の一つ
魔除けの魔道具
もちろんクレアお手製
【魔】に属すものを無意識に遠ざける高性能な魔道具
魔力さえ補充すれば何度でも使える
1回の使用でおよそ4時間有効
はい。やっと二人?が遭遇するところまで来ました。
次回はゴブリンと出会った後の稲荷からスタートの予定です。
冒険はもう少し先かなー。
頑張ります!これからもぜひよろしくお願いします!
ではまたっ!