第10話 出会い、その後 ~後編~
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さて。すぐ更新するつもりが少し間が空いてしまいました。
申し訳ありません。
では10話です。 どうぞ!
-稲荷sideー
「あっ! 狐さん目が覚めたんだね!」
ボクの前に少年が来る。
かなりうれしそうな笑顔を向けて近づいてくる。
が、すぐ立ち止まる。
「そうだ!早く父さんに伝えなきゃ!」
そう言うと少年は走って部屋を出て行った。
『・・・。』
そのバタバタした様子を見ていたが出ていってから思い出した。
『・・・あ。お礼を言い忘れてた。』
まぁまた戻ってくるだろうからその時にちゃんと伝えよう。
そう考えてそっと籠の中に伏せ、少し丸くなって待つことにした。
-稲荷side outー
_____
-マイトsideー
俺は急いで廊下を抜け父がいる書斎へと来た。
あわてて開けようとしたが止め、軽くノックして声をかける。
コンコン
「父さん。入っていいですか?」
「マイトか。いいぞ。」
その声を聞いてから俺は書斎に入る。
そこには父さんだけでなく母さんもいた。
「何か話し中だったの?」
「いいや。かまわないさ。用件はあの狐のことかい?」
「あ!うん! やっとあの狐さんが目を覚ましたんだ!」
「おおそうか。だったら食べ物でも持って行ってあげようか。クレア、頼む。」
「わかったわ。じゃあまたあとでね」
そして母さんと一緒に父さんの書斎から出てキッチンへと向かう。
「何をあげればいいのかな?」
「とりあえず食べやすく小さめに刻んだお肉とミルクでも持って行ってあげましょうか。」
「俺が持って行くからね!」
「はいはい♪グレイも心配してたから一緒に持って行ってあげたらいいんじゃないかしら?」
「わかった!呼んでくる!」
そう言って俺はグレイ兄がいる書庫へと向かって走って行った。
-マイトside outー
_____
-稲荷sideー
ぐぅう~
待っている間に丸まっているのはいいけどなんだかすごくお腹が空いている。ゴブリンと出会う前にホーンラビットの肉を食べたはずなんだけど、さっきから何度もお腹がなっている。
結構長い時間眠っていたのかもしれない。
くぅ と少し溜め息をついた。
ちょうどその時再び扉が開いた。と同時にとてもおいしそうな匂いが鼻につく。
つい反射的に耳を立て、尻尾を軽く振りながら扉の方を向いた。
すると先ほどの少年ともう一人、少し背の高い少年が皿を持ち部屋に入ってきた。
「3日もずっと寝てたからお腹すいてるでしょ。これをどうぞ。」
「ほんとに無事に目が覚めてよかったね。」
そういいながら小さく切り分けられた肉と器一杯に入ったミルクを目の前に置いてくれた。
3日も寝てたらそりゃあお腹すくよね。もうがっついて肉を頬張りがつがつと平らげていく。肉はホーンラビットとは違うみたいだった。それに、どこか食べたことのある味に似ている。
(この味は牛肉みたいだ!)
「ほんとにお腹すいてたんだね。すごい食べっぷりだ!」
「だね。あとマイト。図鑑でどんな狐か調べてみようとずっと書庫にこもってたんだけどね、この狐がなんて種類の狐なのか一切わからなかったんだ。似たような狐の魔獣は何体かあったんだけどこんなきれいな銀色の狐はこの家にある魔物や魔獣の図鑑にはいなかったんだ。」
「そうなんだ。青い炎を操ってたのは間違いないんだけどなぁ。」
そういいながらこっちの方を二人揃って眺めてくる。
他の人でもそうだろうけど食事中にずっと見られているとなんだか食べづらいことはないだろうか。いや、絶対食べにくいだろう。少し困ってしまったがとりあえずは周りを見ない振りして腹ごしらえに集中しよう。
~稲荷食事中~
ピチャッ ピチャッ
うん。とてもおいしかった。今はミルクの入っていた器をきれいに舐めているところだ。
さて。ごちそうさまっと。丁寧に口の周りも舐めておく。
「食べ終わったね。じゃあ器を片づけようか。」
「うん。狐さん、またあとでくるね!」
そう言って器を下げる。
おっと。また忘れるところだった。今度こそ礼を言わないとな。
『待って。』
とりあえず呼び止める。
「「!!?」」
バッ!!
・・・。モノすごい勢いで振り向いてこっちを見た。もう効果音で風を切る音が聞こえるくらい。うん。今のにはボクも驚いた。
『あのときゴブリンに殺されそうなボクを助けてくれたんだよね。キミが来てくれなかったらきっとボクは死んでいたと思う。本当に助けてくれてありがとう。』
そう言ってボクは軽く会釈する。
「「・・・・・・・。」」
二人揃って固まっている。というか何か言ってほしい。なんだか気まずい。
『えっと。言葉通じてる…よね…?』
「えっ!?あっ!うん通じてる!」
「驚いた。君は喋れるんだね。」
『通じていないかと不安になっちゃったじゃないか…。とにかく!助けてくれてありがとう。』
「うん。なんだかわからないけど助けたい、助けてあげなくちゃって思ったんだ。ほんとによかったよ。あ!俺はマイト! マイト・オル・ディケイルっていうんだ!マイトって呼んでくれ!」
どういう理由だそれ?
「僕はグレイ・ウェル・ディケイル。グレイって呼んでくれればいいよ。」
『ボクは銀月狐<ぎんげつぎつね>。名前はないよ。呼びやすい呼び方で呼んでくれればいいよ。よろしくね、マイト、グレイ。』
軽く紹介する。まぁ相手の名前はステータス見ればわかるけどね。
「銀月狐か。図鑑にはやっぱりなかったね。」
と グレイは少し考えてからこっちを見る。
「ねぇ狐さん、お願いあるんだけどいい?」
『どうしたの?』
なんか予想できたんだけど、さすがにあれは言ってこないよね。
「尻尾…。もふもふさせて…?」
「グレイ兄…w」
『…!?』
言ってきた。マジで言ってきた。これは予想外だ。てか、こっちの世界にももふもふって言葉あるのかよ!
『えっと…。』
ちょっとまて。まだ許可していないぞ…!
あっ…!
もふもふ して くれーたよ~♪
(されてしまったよ~)
_
はい! 以上第10話でした!
書いてる時に気付いたんだけどね。
マイト達初登場時以降のグレイのなまえが全部グレンになってたんだよね。
ごめんなさいw グレイ・ウェル・ディケイルが正しい名前ですw
なぜに間違えていたんだコレw 設定したくせにw
次回お楽しみに!
後話
(結局かなりもふもふされてしまった。尻尾がちょっとぼさぼさだ…。)
マイト「俺も!」
(おいマイト お前もか! って抱き寄せるなww)
マイト「あ。」
グレイ「ん?」
(ちょっ視線!! マイト今何処見た!?)
マイト「狐さん 雌(女の子)だったんだね。」
グレイ「…。」
『あぅ…。』
顔が赤くなってるかはわからないけど、とりあえず顔をそむける。
(恥ずかしい。そして表現しがたい気持ちになる。どう言えばいいんだろう…。)
『…。』
マイト「えっと。ごめんなさい。」
(ああ。これが お嫁に行けない ってやつか…)




