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夏のホラー

深夜に聞こえた音の話

作者: 風土帽
掲載日:2026/08/14

 これは私が体験した話です。

 ただ寝ぼけていただけかもしれないし、幻聴だったかもしれないけど深夜に聞こえた音の話です。



 少しだけ肌寒くなくなってきた夜、いつものように11時ころ布団に入り何時間かした後目を覚ました。近くの時計を見ると、短い針が2を少し過ぎていたので深夜2時を過ぎたころだったと思う。

 せっかく起きたからとトイレに行って、再度布団に入ってもなかなか寝付くことができなかった。それでも目をつぶっていればいずれ眠れるだろうと、そのまま何度か寝返りを打って意識がなくなるのを待っていた。



ドォン ドォン ドォン



 外から太鼓のような音が聞こえた。

 最初は水道の水滴が落ちている音かと思って特に気にはしていなかった。しかし、寝付けないことでその音が妙に気になり、水道を見に行ったけど水滴は落ちていなかった。水道は玄関の横にあっが、音はその反対側から聞こえていた。因みに玄関側の前には駐車場、反対側は窓が道路側に面していた。

 水道を確認している間も、太鼓のような音は聞こえていた。

 音はさっきよりも近づいているような気がした。


 ここで思い出さなければいいのに、いつか聞いた都市伝説を思い出してしまった。

 とある人が子供の頃、深夜起きてしまったとき玄関から太鼓の音が聞こえてこんな時間にお祭りでもやっているのか、と最初は気にせず寝ていた。しかし、何回も同じ音が夜起きたときに聞こえるから怖くなって、じいばあに相談したら気にするな、絶対に外を見るなと言われてその通りにし、大人になってからはその音を聞くことはなくなったという話。 

 


 ドォン ドォン ドォン


 

 私は怖くなり布団をかぶって、無理やり目を閉じた。



 ドォン!ドォン!ドォン!



 音がさっきよりも近くなる。



 ドォン!!ドォン!!ドォン!!



 かなり近づいた。目の前の通りを通っているくらいだと思う。

 産まれた頃からここに住んでいるが、深夜に、ましてやこんな大通りでも神社が近い訳ではない通りを練り歩く祭事など聞いたことはない。あれば祭事や歴史に詳しい父から、何かしら話を聞いているはずだ。

 そう思うと、怖いながらも本当は何の音なのだろうと気になってきた。

 その好奇心に負けて確認すれば碌でもないことが起こる、というのは怖い話でよく聞く落ちだ。そういう落ちは作り話のことが多いと私は思っているが、科学で証明できないことがあるとも思っている。

 家は二重窓で外側が普通のガラス、内側が曇りガラスになっている。

 布団から顔を出して、曇りガラスを見つめる。



 ドォン!ドォン!ドォン!



 音が少し遠ざかる。

 今、この曇りガラスを開ければ、音の正体を確かめることができる。



 ドォン!ドォン!ドォン!



 私の体は布団から出ようとしない。



 ドォン ドォン ドォン



 音がさらに遠ざかる。

 ただ、窓を見つめる。



 ドォン ドォン ドォン



 音がさらに遠ざかり、次第に聞こえなくなる。


 もう太鼓の音は聞こえなかった。



 私は布団から這い出して、恐る恐る曇りガラスを開ける。

 薄く開けた窓からは、アパート専用のダストボックス、それを照らす街灯が見えた。一台のトラックが横切ったが、それ以外動いているものもなかったし、人もいなかった。


 私はほっと胸をなでおろし窓を閉め、布団に入ると意外と緊張して疲れていたのかすぐ意識がなくなった。




 朝起きても何事もなく、あれ以来深夜に太鼓の音が聞こえることはありませんでした。

 結局何の音だったのか、ただの夢だったのか、今でも分かりません。



 

 

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