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BLR15「ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました」  作者:


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二十二、救出 〜ルカ視点〜


 

  

  ~ルカ視点~

  

「……お兄ちゃん! お兄ちゃん、起きて!」

「怖い人が来る前に起きて!」

「大丈夫かなぁ?」


 何人かの子供の声がする。僕は何をしてたっけ?


「あっ!? 目を覚ましたかな?」

「長い髪の毛で目が見えないけど、起きたみたいだよ」

ゆさゆさと小さな手で、僕の肩を揺らしている。

 揺らしている?


「え……、どこ?」

子供達が僕を、ぐるりと囲んで見下ろしていた。

「皆、捕まっちゃったの。帰れないの」


「あっ!」

そうだ。僕は大きな倉庫から子供達の声が聞こえたと聞いて、倉庫の中に入ったんだ。

 そのあと……?


 布で口と鼻を塞がれて……。

「気を失っていた?」

何があったのか思い出してきた。腕を動かしてみると少し痺れたような感じだったけど、なんともなさそうだ。

 

 手をついて上半身を起こしてみた。

「いた……」

 体のあちこちが少し痛い。

「あのね。お兄ちゃんね、運んできたおじさんにポイッて床に投げられたの。痛かったでしょ?」

 七才位の女の子が教えてくれて、肩をなでなでしてくれた。

 

「ありがとう。優しいね」

 僕がお礼を言うと真っ赤になって照れていた。


 気を取り直し、顔を上げて今いる所を観察した。配達の人に聞いた、地下だと思う。

広い部屋の奥側に小さめのベッドが十台。壁が三方にあって奥側に扉があるけど、トイレへの扉みたいだ。隣に部屋もありそう。


 ここに来るための登り降りする階段があって、僕達と階段の間に、天井から床まで鉄の棒が並んでいた。逃げられないための(おり)だ。

 思ったより清潔で、子供達を見ると具合が悪い子供はいない感じだ。食事も与えられているみたいで安心した。

 

「怪我している子はいない? ご飯をちゃんと、もらえているかい?」

 僕が子供達に聞くと「怪我をした子は、いないよ。ご飯も三回、食べてる」と返事をしてくれた。


 壁際に何人か、固まっている子達がいたのでそっちに目を向けた。

 膝を抱えて下を向いていた。

「あの子達、獣人の子だよ」

「ミル君!」

 教えてくれたのは、商店街の皆が探していたミル君だった。


「ルカ兄ちゃん! ぼく……、捕まっちゃったの……」

 涙目で僕に言った。

「皆、心配して探していたんだ。他の皆も、騎士団の人達や皆が探して、きっと助けてくれるから大丈夫だ」

 わぁ! と子供達は明るい笑顔になった。


「僕達はきっと助けてもらえない……」

小さな声で、獣人の子のつぶやいたのが聞こえた。

「……人間は、僕達獣人を怖がって避ける」

 クスンと泣き出した獣人の子がいる。


「だめだよ! きっと助けてくれるから、泣いちゃだめだよ」

「そうだよ」

「泣かないで」

皆が獣人の子達をなぐさめる。一人の女の子が、獣人の子達に近寄って頭を撫でた。


「そうだよ。皆、泣いちゃ駄目だ。いざ逃げる時、勇気を出して逃げなきゃ。僕が守るから」

「お兄ちゃん!」

「お兄ちゃん……」

 子供達が僕に抱きついてきた。今まで怖かったのだろう。


「皆、今までよく頑張ったね」

 よし、よしと順番に頭を撫でた。

「僕達、獣人が怖くないの?」

 恐る恐る獣人の子が聞いてきた。この子はリスの獣人の子だ。しっぽで分かった。


「怖くないよ。ね、みんなもそうだよね?」

僕は他の子供達に聞いた。

「怖くないよ。いきなり叩かないよね?」

 ミル君が獣人の子に話しかけた。人間の子達は、ジッと獣人の子達の返事を待った。


「ぼくたちはそんなこと、しない。そんなことをするのはわるいひと」

 一番小さな獣人の子が言った。

「だよな――」

「そうよね」

 人間の子達は笑って話した。獣人の子達も安心したのか笑い合っていた。


「ところで、みんなのお世話は誰がしてたの?」

疑問だったことを聞いた。

「女の人。逃がしたり、逃げたりしたら家族がどうなるか知らないぞって言われてた」

 なるほど……脅されていたのか。その人には頼れないな。


  魔法を使うか……?

 でも子供達に見られたくない。様子をみて、子供達が安全に逃げられるようにしなければならない。


 アラン様。僕が一人で行動したのが、いけませんでした。迷惑かけてしまったかな……。

「お兄ちゃん?」

 いけない。子供達の前で弱気になっちゃ駄目だ。


「きっと探しにきてくれるからね? まだ大人しくしてようね」

「「「うん!」」」

 みんな良い子だ。


 皆の気をそらす事が出来たら魔法を使おう。騎士団の騎士様達が助けに来てくれる。きっとアラン様も。


「誰だ、貴様は!」

 急に怒鳴り声が聞こえてきた。この倉庫の壁や床は薄くて、声が丸聞こえらしい。争う声が聞こえてくる。

 だから僕と話した配達の人が、子供達の声が聞こえたと言ってたのか!


「何……?」

「怖いよぉ……」

子供達は争う声に怯えてる。

「もしかしたら助けに来てくれたかもしれない」

「え!」

 僕がそう言うと、子供達はみんな階段の方に顔を向けて見ていた。


 今だ! 子供達が一斉に階段を見ている。

ドカ――――ン!


「えっ!? なに!」

「きゃあ!」

 僕は後ろの壁を、魔法で壊した!

壁が壊れて土ごと吹き飛んだ。


 爆風で破片が飛んだが、皆をローブで守った。

 薄い壁で良かった。土煙も凄い。

壊れた壁の向こうに、空が見えた。壁ごと地面をえぐって、地上まで貫通させた。



「みんな! 逃げるよ! 走って!」

僕は子供達に声をかけて、逃げるように促した。

「空が見える! いこう」

 子供達は皆、えぐれた地面を登って地上に出られた。


「よいしょ! がんばれ――!」

ミル君が小さい子を助けて登っていった。

全員、脱出できるように僕は一番最後に残った。

 

 バンッ! バンッ! バンッ!

ついでに魔法で(おり)の、鉄の棒も壊しておいた。

 

 子供達は頑張って登って逃げた。僕が最後に地下から逃げ出す時に、大勢の人がこちらに向かって呼びかけるのが聞こえた。

 

「いたぞ――!」

「騎士団のお兄ちゃん達だ――!」

騎士団の!? ああ、良かった!


僕も地下から逃げようとした。


 グイッと体が後ろに引かれた。

「よくも……! 金になる子供達を逃がしやがって!」

「ああっ!? ぐっ……!」


 後ろから首を掴まれた。力強く腕で首を締めている。僕は引きずられて部屋に戻されてしまった。

 苦しみながら耳を澄ますと、聞こえてきた。子供達は騎士団の人達に助けられているようだった。良かった……。


 「ぐっ……!」


 後ろ向きにズルズルと体を引きずられて、部屋に戻された。

顔だけを後ろに無理やり動かすと、僕を引きずっていたのは以前騒いだ男達を雇った、貴族風の男だった。 

 

 ギリギリと首が締まっていく。苦しい……。

このままでは……。男は離そうとはしない。

 

 アラン、さま……。



「ルカ!」

アラン様の声が聞こえた、気がした。



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