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BLR15「ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました」  作者: 青佐厘音


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十七、友人、から


 

 ()()()()()

え……? 僕は平民で、アラン様は公爵様。

「無理、でしょう。僕は平民です」


 思わず口に出してしまった。

だって英雄騎士のアラン•バレンシア様だ。普通なら遠くから憧れて見て、手の届かない方。

 あり得ないけど、こうしてお茶会に誘って頂いた。それだけでも一生の思い出にできるのに。


「……」

アラン様は、寂しそうな顔をして僕をジッと見た。

風が中庭にそよそよと吹いて、アラン様の前髪がフワリと揺れて額にかかった。

「ルカは、俺が怖い顔でも嫌がらなかった」

「はい……」

顔は嫌じゃない。

 

「俺をお茶に誘ってくれた。甘いものが好きと言っても、俺がお菓子を作ると言っても笑わなかった」

 アラン様は苦笑した。

「え、笑いません! 作ってくれたお菓子は美味しかったですし、ご馳走になれて嬉しかったです」

 お菓子が作れるとは驚いたけど、むしろ好感を抱いた。


「……女々しいと。怖い顔なのに可笑しいと笑われたことがあって、ニールや()()屋敷の者や一部の親しい人にしか話してない」

 悲しそうにアラン様は僕に話した。ニールさんは黙って話を聞いている。

 

「女々しいなんて! そんなことはありません。立派な特技です!」

 僕はテーブルに両手を着いて、立ち上がってアラン様に答えた。

誰がそんな酷い言葉を、アラン様に! カッと頭にきた。

 

「ルカ君……」

ニールさんが僕に微笑んだ。

「あ! すみません。酷い言葉に、頭にきちゃって」

 カタン……と椅子に座り直した。冷静にならなくちゃ。


「君のそういう所に、()かれたんだ」

アラン様は、ふ……っと笑った。

「まずは()()()()


 ひかれた? ……引かれた、かな?

『気になった』ということ? ああ、何だか悪い人に狙われているからか。

「あ、はい! 頼りない僕だから心配でしょうが、友人という肩書(かたがき)をいただけるなんて光栄です! でも身の程を弁えますから、ご安心してください」

 

 英雄騎士の『友人』という肩書があれば、いざという時に安心して守られるということだよね?

 

「いや、ルカ……」 

アラン様は戸惑っているようだった。ニールさんがアラン様の肩を叩いた。

「これから大変ですね……。頑張って下さい」

 ああ……。とアラン様は珍しく小さな声で、ニールさんに返事をしていた。

 

「あ! そういえば、忘れてました。お肉屋さんの奥さんに、美味しそうな高級ベーコンを頂いたので、半分をお裾分けしようと持ってきました」

 僕は手提げ袋からテーブルに、ベーコンの塊を置いた。


「あ、ああ。これは、先程話してくれた商店街のお肉屋さんの奥さんからもらったのか?」

「はい。僕じゃあ食べ切れないので。高級品と聞きました。お裾分けにと……と、持ってきましたが迷惑でしたか?」

 お茶会にいきなり高級品とはいえ、ベーコンの塊を持ってきたのはマナー違反だっただろうか?

 マナー違反?


「いや。美味しそうなベーコンだ。ありがとう。さっそく調理してもらおうか」

 アラン様は怒ることなく、端に控えていたメイドさんに調理するように頼んだ。

 

「ふふっ! お茶会にベーコンをお裾分けに持ってきたのは、君が初めてみたよ」

ニールさんが笑って言った。

「いや、嫌味じゃなくて君は素敵だって事!」


 ふふふふ……とニールさんは笑っている。

「あいつのことは、放っておけ」

 ギロリとアラン様はニールさんを睨んだ。


 ニールさんは「怖っ!」と言って笑うのをやめた。

素敵だってニールさんに言われた。でもちょっと軽い感じて言われたので、からかわれているのかな? と思って複雑だった。


「失礼します」

メイドさんがそう言ってお皿を運んできた。

「お待たせしました。こちらのベーコンとサラダで御座います」

食べ終えたお皿を下げて、美味しそうな匂いのするベーコンが運ばれてきた。僕がお裾分けに持ってきたベーコンだ。


「これは美味しそうだな」

「良いベーコンですね」

アラン様とニールさんは、見ただけでそう言った。

ニールさんがどちらのベーコンですか? とアラン様に聞いた。

「商店街の肉屋のベーコンだ。先程、情報通の奥さんの話をしただろう? そこのお店のベーコンだ」

「なるほど……。うちでも注文しようかな」


 何だかベーコンの話題になった。

お肉屋さんのお客さんを、増やせたみたいで良かったかな?


「食べてみよう」

アラン様がフォークとナイフで、厚切りベーコンを口に入れて食べた。

 ニールさんも続けて口に入れた。

「ウマい」

「美味しいですね!」

 二人は絶賛した。


 お二人とも口に合ったようで、良かった。

「ルカも食べてみるといい」

アラン様は僕がまだ、ベーコンを食べてないのをみて言ってくれた。

「はい」


 ベーコンを小さく切って口の中に運ぶ。もぐもぐ、もぐもぐと良く噛んて飲み込む。

「……本当、美味しいですね」

 ニコッと笑う。


 どうしても……。小さく切ってからじゃないと食べられない。

「あれ? ルカ君、あまり食べてないですね?」

 ニールさんが、僕があまり食べてないのに気がついて話しかけた。


「先に、アラン様が作ってくれたお菓子を食べ過ぎちゃって」

 せっかくベーコンを焼いて、作って出してくれたのに申し訳ない。美味しいけれど。


「……」

すでに食べ終わったアラン様が、僕の方を見ていた。



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