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美幼女8歳ー

どうも皆さんこんちにはセレスティア・ノアールで御座いますよっと。

この世界の国の名前はなんか前世のお菓子と結構似てる。

この国はバンムクヘーン。バームクーヘンの方が言いやすいのになぁ。残念。

5つの大陸に分かれて国があるんだけど、この国はそのうちの上から2番目の国土面積の大陸で四季の移ろいがあまりなく年中摂氏23度前後の安定した気候だ。私は四季好きなのになぁ。

だってさ、推しと四季の組み合わせは最高よ?

桜並木を歩く推し。あぁ桜吹雪の中の推しも美しいだろうな。

梅雨の中、傘を差しながら紫陽花を愛でる推し。

海ではBチクさらしながら楽しげに遊ぶ推し。

今日の推しのBチク何色かな〜?って見ちゃうよね。

運営に依ってはBチク隠されるけども。

秋には石焼き芋なんかをあちあちとか言いながら食べてたり。読書の秋だねなんて吹き出しがあって、ギンガムチェックの衣装に絶対読まんやろって言いたくなるような、よく分からん文庫本を読んでる推し。

冬コートとマフラー巻いて雪だるまみたいになる推し。

クリスマスにはサンタコスで笑顔のプレゼントをくれる推し。

私らには推しの存在がプレゼントなのさ。

新年迎えたらあけおめってしてくれる推し。

正月は伝統衣装着がちよね。

自分の誕生日はマジでどうでもいいが推しの誕生日は宝の日。生まれてきてくれてありがとう〜!

......やばい推しのこと考えるだけで号泣もんなんだけど。

あ〜推しもこの世界にきてないかな〜?

勇者を異世界召喚する!とかあるけどさ、どうだろ?ま、現実では起きないわな。

それに私の推しはヘナチョコだからきっと無いな。もしほんとに召喚されても姫ポジでどうにもならんわ。あれ?むしろ推しの笑顔は世界を救うのでは?

私こんなこと考えてるけど全部脳内での独り言よ。当然こんなこと誰にも言えやしないわよ。ねえねえ、わたし今なにしてると思う?




はい!正解の方きっといらっしゃいますよ!!

正解は〜....

集団お見合い中で〜す!

王城の庭で皇太子殿下と年齢が近い貴族の子息子女が一堂に会して顔合わせをしているの。基本男性陣がテーブルをクルクル巡っていくスタイルよ。女子は座ってるだけでいいなんてラッキー♪なんては思わないけどな。座りっぱなしとそれはそれでしんどいのよ?



この世界は王政ってお伝えしたと思うんだけど、貴族制度もあるんだよね。

んでもって私が中の中の成績狙ってることからお察しかと思うんだけど、我が家の家格は中くらいの貴族位で伯爵よ。

上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵って順だね。貴族より上は王族だし、貴族より下は平民よ。

はぁ〜。貴族めんどくさ!!

分かります、分かりますよ。ちゃんと理解はしてるんです。ノブレス・オブリージュって言葉は前世でも聞いたしね。

自分の役目があるとは分かるんだけどさ...

この世界は女性の権利が弱いのよね。

しかもね、離婚が基本なくて、するとしても男性側から申請しないとダメなんだって。

結婚した相手が浮気野郎だったりさ、酒癖悪くて暴力振るうとか、モラハラとか、度を越したマザコンとか、借金体質だったとか、性癖異常とか実はヤバ物件でしたとか絶対この世でリサーチしたら何組もあるはず。

結婚も貴族はお見合いとか、政略とかあるあるよね。全世界共通なのかな?

そこら辺も自由になんね〜かな。

好きな人と恋愛してさ、結婚して子供については夫婦間の話し合いしたりしてさ、喧嘩しても仲直りして爺婆になっても手を繋いで散歩したり。

そういうのが憧れだったのになぁ。

前世で?そんな経験ないですけど。なんですか?同情はやめて。憐れみはやめとくれ。

恋愛なんていいのさ!



「あの、セレスティア嬢は普段はどのように過ごされてるんですか?」

さぁ、ふわふわ系お嬢様モードON!女は女優。女は女優。

「わたくしは普段は本を読むこととぉ、お花が好きですのでお庭にある花畑をのんびりと歩いて気分転換してますわぁ」

口は大きく開かず、ふわふわとした話し方であまり賢くみえないように語尾を延ばしてみる。

「そうなんですね、どんな本を読んでるんですか?」

目の前の美少年が首を傾げるとサラサラの茶髪が揺れてシャランラ〜って聞こえてきそうだな。

まじでこの世界美形じゃないと生けていけないの?今のところ高位貴族は大概見た目がよろしいんだよね。

「我が家に置いてある本はぁ、童話が多くて、難しい本は読めないんですぅ。一番好きなのはガラスの花という童話ですわぁ」

「ガラスの花ですか。僕も小さい時読みましたよ。ガラスの花を探して兄妹が森を彷徨うところあそこはハラハラしました。」

おい、やめろよ話を膨らまそうとすな。私は話のネタにでもなるかな〜と思って、ざっくりとあらすじと結末しか読んでないから突っ込まれるとなにも分からないんだって。

「そうなんですねぇ。...あのぉ、あちらの方がお話ししたそうですよ?」

示した先には目がギラついたお嬢さんがこちらを、いや彼を見つめていた。あれはハンターだ。まさに肉食系ね。うん、ヤル気があるっていいと思う。

「え?あ〜。レディに望まれては応えないわけにはいきませんね。セレスティア嬢。楽しかったです。ではまた」

「はい。わたくしも楽しかったですわぁ。ごきげんよう」

彼は何度かこちらを振り返りながら、彼をターゲットにするべく期待の眼差したっぷりのお嬢さんが待つテーブル席へ向かっていった。

あ〜、やっと解放された。やれやれだな。

あれ?あの少年の名前なんだっけ?

ま、いっか。きっと彼はあのハンターに狩られるに違いない。今後はきっともう登場すまい。グッバイ茶髪美少年よ。

私は一人になりやっとリラックスして紅茶を頂けた。凄いでしょ!リラックスしててもマナーが染みついてるから無意識にでも音を立てないの。おほほ!



「こちらよろしいですか?」

優雅に紅茶を楽しんでいたら新たな刺客が現れた。

視線を向けると青髪の眼鏡ボーイが立っていた。ってお〜い!相席の許可出してないでしょ!なんで勝手に座るかな〜?はい減点2です。

私が許可出す前ちゃっかり座っちゃってさ〜、もう〜なんなの?それよりもアナタダレ?

「....どうぞぉ」

いつでも微笑みは標準装備。忘れちゃいけませんね。こんな勝手に座る男くんにもちゃんと対応しないとだわ。

「僕は侯爵家の嫡男でマイディアス・ロクサーノです。僕は幼少時から後継者となるべく父上から貴族としての在り方を学び、皇太子殿下の学友でもあるんだよ。学校の成績も皇太子殿下の次を維持していて皇太子殿下からも一目置かれているいてね、側近候補なんだ。僕は勉学だけではこの世の中を渡り歩けない。そう思って色々な人と交流を持つことにしているんだ。ゆくゆくはこの国のためにも他国へ留学し新しい技術や情報などをこの国に持ち帰り、国の発展の為に役立てたい。皇太子殿下の為にも僕は頑張らないとと思ってるんだよ。結婚したら僕は働くことを頑張るから妻には家のこと、子供のこと全て任せたいんだ。自分たちが不自由なく暮らせるのは僕が頑張って働いたからで養わられる立場の妻と子供がでかい顔していいわけがないからね。」

どこで息つぎしてるのか謎すぎるほど相槌を挟む暇なくずっと喋ってる。

志は高いけどさ腹立つなぁ。とりあえずこいつ100発くらいぶん殴りて〜な。

男尊女卑も甚だしいし、この年齢でモラハラとかさ、コイツの家がきっとそんな感じなんだろうな。子は親の鏡って云うもんね。

それにコイツ皇太子殿下好きすぎじゃね?もう皇太子殿下の愛人にでも立候補して、お前自身は結婚すな!

っていうか私ら子供ですやん?結婚の話を初対面でされるのは流石に重いって。

・・・・10分経過

え〜ん。この人話が長いよ〜帰りたいよ〜。

お腹痛いフリして帰っちゃおうかな?

私は目の前の席でずっとず〜っと独り言を御満悦に話す彼の話を、頭の中にイメージしたウォータースライダーに乗せて話を流して流して流しまくった。

魂がもうそろそろ肉体に戻れなくなるよってくらい遠くまで幽体離脱してたところで意識が戻った。

「マイディアス。随分と熱心に話しているんだね」

突如現れたニューフェイスに眼鏡野郎はヘコヘコしてヨイショし始めた。

何だコイツ態度があからさまに変わったな。

現れた彼に視線を移すと一目でわかっちゃった。

私は出来るだけ音を出さずに立ち上がり、脇に避けカーテシーをした。

私がここまでするってことは相手が誰だかみんなは分かるよね?

それじゃせ〜ので答えてね?

せ〜のっ!


皇太子殿下〜!!


はい正解。みんな冴えてるね。

皇太子殿下の許しがあるまでこのカーテシーをキープしなければいけないのだ。

頼む早くもういいよって言って!

脚がプルプル震えてきた、ツリそうなの〜!

「レディ、顔を上げてくれ」

ふぅ〜やっとだよ〜。あと数秒で崩れ落ちるところだった。表面には感情を載せずゆっくりと起き上がる。

うわっ!キラキラしてるなぁ。バックの青空と太陽を背負ってるから後光がさしてるみたい。

自然を味方につけた男って感じ。さすが王族ね。

黄色みが強い金髪に海のような深い蒼の瞳。薄めの唇が彼をクールに見せている。

確か10歳くらいだった気がするけど大人っぽいな。これは将来有望ですな!!

「レディ今日はよく来てくれたね。なにか不足しているものはないかな?」

「皇太子殿下。お心遣い痛み入りますぅ。特に御座いませんわぁ」

お嬢様モードブーストONや!

「そうか。ならよかった。それとマイディアス、会話は交互に話していくものだよ。自分だけ一方的に話すのは会話とは言わない。話し上手だけではなくて、聞き上手にもならないといけないよ」

「....はい。殿下。レディ申し訳なかった」

あまりにもシュンと悄気げてしまうマイディアスが米一粒分くらい可哀想になった。

「いえ、マイディアス様。今度お会いするときは会話を楽しみましょう」

もう貴様とは二度と会いたくないけどな!本音と建前ってヤツめんどくせぇ!

「雲行きが怪しくなってきたから今日はもうお開きにしようとなったんだよ。その報せをしたくてね。マイディアス、参加されてる方々をお送りする手配があるから手伝ってくれるかい?」

「はい!勿論でございます!このマイディアス。殿下の為ならばなんだっていたしましょう!」

「そんな大袈裟なことではないんだけどね」

私に対してと態度が全然違うじゃん!多少変わることはわかるけどここまでかよ!

もうお前殿下に告白しろや〜!

去っていくふたりを見送るとどっと疲れが押し寄せてきた。

あれ?やっと帰れるってこと?

やった〜!

でもその前にお手洗いいかせてもらいましょ。あたしの膀胱が警報注意報発令させてんのよね。

メイドさんに案内してもらってお手洗いまで来た。

・・・・

はぁ〜すっきりすっきり。

手を洗って、ハンカチで拭きながら廊下に戻った。

あれ?メイドさんや、どこ行ったの〜?

嘘だろ。こんな幼女を放置するか?プロ意識なさすぎだろ。ったくよ〜。

でも私はただの8歳じゃないので、へっちゃらです。頭の中に地図が入ってるからさっさと庭に戻りましょ。

壁に掛かってる絵画や、壺なんかを観察しながらのんびり目に庭まで戻った。

撤収済みでものの見事に誰も居なくてシーンとした庭にちょっとだけ悲しくなったわよ。ちょっとだけだからね!




「お嬢〜。みんなもう帰ってますぜ」

後ろから話しかけてきたのは私の従僕のステファン・クーチェスだ。

彼は私のお父様付きの執事の息子で生意気君。

いつもは前髪を下ろしているが、今日は短めの黒髪を後ろに撫でつけていて場に合わせた髪型だ。畏まった席でもあるから黒い燕尾服を着ている。

でもこの子。現在12歳で絶賛反抗期中なのよね。

兎にも角にもヤル気がない。だるそうに私の世話をしてくる。注意しても半分無視。ねぇ〜まずポケットに手を入れながら話すのやめよ?

でも考えてみればさ、12歳ってめちゃくちゃ子供じゃん?前世の世界なら電池が切れるまで遊んだり、〘ウンコ〙とか初めて知った下ネタワードにテンションあげたり、巫山戯て生きてて許される年齢だもん。それがこの年で働いてるなんて偉いじゃん。親が執事なら子供も自ずと仕える主が決まるもんね。

不憫だな...だから私は結構コイツに甘い。

「そうなんだ。みんな早いんだね。私達も帰ろっか」

一緒に過ごす時間が長いからステファンの前ではお嬢様モードの仮面は被らないようにしている。でも他人に聞かれたらめんどいからTPOを選んで対応してるんだよ。偉いでしょ?

「お嬢。何か食べ物ありませんか?」

「なに?あんた腹ペコなの?」

「俺成長期ですよ?いつでも腹減ってます」

「そうか〜。ちょっと待ってね」

ポケットに手を突っ込んで探るとお持ち帰り用に配られたクッキーを手渡した。

「おらよ。これ食べな」

「お嬢あざっす」

「うむ」

後ろからザクザククッキーを貪る音が聞こえるなか出口まで向かう。

馬車の待機所に行くと私の家のしかなかった。

みんな颯爽と帰ったんだね〜。

馬車の前まで着いても後ろの反抗期マンが何もしない。

コイツまだお菓子食べてんの?これは叱らないとね。

「ステファン」

「ん?なんふか?」

「あんたお給料もらってんでしょ?やるべきことはやんなさいよ。ほら、ドア開けて」

「すみませんお嬢」

もぐもぐ咀嚼しながらだけどなんとか開けてくれた。

馬車に乗り込んで座席に掛けるけど安心して過ごせないからずっと起きてるつもりよ。

だってさ馬車にサスペンションもスプリングもついてないからずっとオケツが痛いの。

あれ?馬車の改良しちゃう?

素材をどうするか、安全性の試験とかクリアしなきゃならない問題は多々あるけどこれは自分のオケツを守る為にもやらねばならん!

あとは車輪にゴムを着けれたらいいんだけど、ゴムってゴムの木と硫黄が必要なんだっけ?あ〜前世でなんでもっと知識を蓄えとかなかったんだよ。私のばかばか!

どんだけ悔いても仕様がないわね。お家に帰ったら早速この世界の鉱物について調べなきゃ~。

「お嬢。またなんか悪巧みしてるんすか?」

「悪巧みってなんじゃそりゃ?私はね、この馬車をもっと快適に改良できるかな〜って思ってたのよ」

「え?馬車ってこういうもんですよね?」

「アホタレ。人間って云うのはより良くを求めて生きてんのよ。これが究極の馬車だったらこんなにオケツのダメージくらうワケがないでしょ」

「お嬢。一応お貴族様なんで、オケツ発言はどうすかね?」

「無礼講よ。この場にはあんたと私しかいないんだからオケー」

「いつかポロッと口悪い自分が出たりすんじゃないですか?」

「その時は...その時よ。ナンクルナイサ」

「ナンクル?なんですかそれ?呪文ですか?」

「何でもないわよ。もう少しでガタガタ道だから口閉じないと舌噛むわよ」

王城からメインストリートまでは石畳で舗装されてるが、そこを抜けると舗装されてないガタガタした道になっている。

この道路も舗装したら大分オケツは楽になるな。私の頭の中はオケツを守ることでいっぱいだった。

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