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第3話「我は魔王なり。」

 我は魔王なり。刮目せよ。

我が猛々しき肉体、我が不穏なる覇気、我が剣呑なる両角。

勇者さえ、勇者さえいなければ、この世界を我のモノに出来ると言うのに。

 スパイの1人から珍妙な報告があった。

勇者とドラゴンがお見合いをするらしい。

そんなことがあるのか?

半信半疑でスパイに様子を見てくるように指示すると、本当にお見合いをしていたらしい。

 ん?なぜお見合いを知っているのかだと?なめてもらっては困る。

勇者討伐のため人間の文化はすべて把握しておる。

まさか結婚相談所のスパイから情報が来るとは思わなかったがな。

 それでお見合いの様子はというと、途中でいきなりドラゴンが勇者を攻撃したと報告を受けた。

人間態での攻撃で、勇者は対応しきれなかったらしい。

なのに駆け寄ったオカマはなぜか対応できていたそうだ。

その後勇者が専用装備を身に着け、

攻撃を全て受け止めると人間態ドラゴンは諦めて帰っていったという。

 これは好機だ。どうやら勇者は鍛錬を怠っているらしい。

勇者専用装備はたしかに強力な装備で、

それを唯一装備できる勇者もそれだけで脅威ではあるが、鍛錬は必要だ。

十分な筋力や技術がない場合、勇者の力は専用装備を身に着けたとしても半分以下になってしまう。

よくわからないオカマ以下の体力ということは、歴代でもかなり弱い部類になるだろう。

 慎重に機会を伺い、結構な月日がたっていたが、ここまで勇者の育成に無頓着になっているとは。

忍耐強く待っていた成果だな。

 さてと。スパイの情報によると、今日ここで、ドラゴンと勇者が再び会うらしい。

どれどれ?おっあいつだな。

ドラゴンは?まだ来ていないのか。

まぁいい。目標は勇者だからな。

では揉んでやるとしようか。

 魔力を集中。大地に我が魔力を巡らせて。

よし、いい地響きだ。

ではこのまま地面に潜ってと。

フハハ。待っていろよ。愚かな勇者。

挿絵(By みてみん)

 さてと。この辺りだな。まずは地面を隆起させてから。

いよいよだな。覚悟しろ。

 「ついに見つけたぞ勇者!!」

 「な、ななななな。ま、魔王!?どうしてこんなところに。」

 「フハハ。今日こそは息の根を止めてやるぞ。覚悟しろ。」

 「そうはいくか〜。換装。よ〜し。覚悟するのはお前の方だ〜。とりゃ~。」

 ふむ。やはり軽いな。フル装備の勇者の攻撃とは思えん。

これは思った以上に簡単だぞ。

どれ?少し遊んでやるか。

 「イテ。イテテ。イタイって。イタイってば。おい。やめろよ、おい。」

 止めるわけないだろ?呆れたやつだ。

ここまで弱いとつまらんなぁ。もう終わらせるか。

 「お待ち~~~。」

 なんだ?あぁ、こいつが例のオカマか。お呼びじゃないんだよ。

テキトーに吹き飛ばして終わりにするか。

 っと思ったがこのオカマ、思ったよりやるな。

まともな装備なしでここまでやるとは。

装備を整えればポンコツ勇者より強いんじゃないか?

 「も〜。お待ちったら。」

 「フン。待てと言われてもな。我はそこの勇者の息の根を止めに来たのだよ。」

 「別に今日じゃなくっていいじゃないの。」

 「別に今日でも構わんだろ?」

 「私も今日で構いませんよ。」

 「おい。僕もいるんだぞ。」

 む?最後のポンコツの言葉はどうでもいいとして、その前に話した長い黒髪の女性は誰だ?

 「今日はお見合いのやり直しと聞いていましたが、手違いがあったようですね。

せっかくですし交際しましょうか。」

 むむ?交際?どういう意味だ?

お見合いということは、こいつが例のドラゴンか。

何か勘違いしているんじゃないか?

確かドラゴンは、戦いのパートナーとして人間と契約するはず。

人間と結婚するドラゴンなんて聞いたことがない。

 「だから僕がいることを忘れるなって。大丈夫ですよ。こんなやつ聖剣の力で。」

 「うるさい。お黙り。」

 「イッテ~。」

 おいおい。この勇者、オカマにビンタされて痛がってるぞ。

ポンコツにもほどがあるだろう。

 「待ってください。

相談所として段取りを大切にしたいのはわかりますが、私はここで交際しても問題ありません。

いつかはやらねばならないことですし。」

 「へ?ドラゴンさん??それはどういう???」

 「いや〜。そんなに僕の戦う姿が良かったんですか〜?照れるなぁ。」

 なんなんだ?この状況は?

っといかんいかん勇者を倒さねば。

・・・というかこの勇者はアホなのか?

 「フハハ。お前たちの事情など知らん。我は勇者に用があるのだ。どいてもらおうか。」

 「いいわ。受けて立ちましょう。」

 「だから大丈夫ですよ。この聖剣さえあれば。」

 いくら聖剣でも、ポンコツの一撃なんてたかがしれているがな。

お?ドラゴン態になるようだな。

むむむ?確かこいつはランクSSSじゃなかったか?

 「お、お前は~!!」

 なんだ?勇者がやけに驚いているな。

 「じょ、冗談じゃないぞ。お前とお見合いなんて。」

 「ちょっと、ちょっと、ちょっと〜。あなた、なんてこと言うのよ。」

 「うるさい、うるさい。

それにこんなのと一緒に戦ったら、命がいくつあっても足りないじゃないか~。」

 「・・・。」

 「・・・。」

 もう滅茶苦茶だな。いくらなんでも酷すぎないか?

ドラゴンとオカマも絶句しているじゃないか。

こんな勇者いつでも倒せるし、いっそ泳がせた方がいいんじゃないか?

いや、その方が良いな。

・・・うん、そうしよう。

と、するとだ。

 「どけと言っている。」

 ドラゴンとオカマは動かないな。それもそうか。

こんなポンコツ勇者を庇う方がどうかしている。

さてポンコツ勇者はと。おっ、いきなり聖剣の力を解放するとはな。

どっちにしても効かないんだけどな。

 「な、なんで?」

 そりゃそうだろう。お前のへなちょこな攻撃なんて。

さてと、死なないように手加減してと。

よし、いい感じに地面にめり込んだな。

・・・やりすぎたか?

・・・いや大丈夫だ。息がある。

 さてと、厄介な勇者はいなくなったな。

というか元々いなかったのか?

いずれにしてもこれで我を邪魔するものはいない。

明日には人類へ宣戦布告するとしよう。

楽しくなってきたな。


お読みいただきありがとうございました。

作風の参考にしたいので、

面白ければ「いいね」お願いします。

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