私のゆめ
三題噺もどき―ななじゅうさん。
お題:あなた・わたし・きみ
『あなたの夢は何ですか?』
そう問われた時、わたしは言葉を詰まらせてしまう。
夢は、たくさんある筈なのに。
憧れだって、たくさんあるのに。
何かに首を絞められているみたいに、息が詰まって、声を出すことが出来なくなる。
頭に靄がかかって何が夢なのか分からなくなる。
(わたしは、何のために生きているの?)
―そんな事まで、考え出してしまう。
そのうち、わたしは自分のしている事が分からなくなる。
生きている意味すらも見失う。
死にたいと、思うこともある。
だけど、そんなことをする勇気も力もないから。
ずっと、暗い海の底で、流れに任せて生きている。
流されるままに生きている。
けれどある日。
あの日。
そこに、一つの光を見てしまったのはきみのせい。
流されるままに、自らの意思もないままに、生きていたわたしに、生きる意味を与えたのは、あなた。
きみが、わたしの前に現れて。
きみの蒔いた「愛」という餌に釣られ、引き上げられた。
あなたは、わたしを「恋」という海に溺れされた。
その海に溺れ、酔った。
わたしはあなたと一生、生きていきたいと願った。
それこそが、私の生きる意味で夢だと、そう思った。
あなたも、そうなのだと、心の底から信じていた。
―でも、きみは違ったようで。
わたしよりおいしい獲物をみつけて。
用済みになったわたしをきみは、見ないふり。
餌を得られなくなったわたしは、ただただ死にゆくだけで。
(あなたにとって、わたしは只の玩具だった)
遠ざかるきみの背を、見つめることしかできないわたしは、涙を流すだけのわたしは―。