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私の話2

 父が急逝したあとはあまりにも目まぐるしく時が過ぎ、悲しむ暇もないくらいに忙しくしていた。

 私は、若くして公爵の爵位を賜り、それに恥じぬように領地経営に邁進していた。

 しかし、父に付いて領地経営を学び始めたばかりだったので、右も左も分からないままだった。


母は社交的ではあったが、領地経営はからっきしであった。


 そんなときに助けになってくれたのが、父の最側近兼、護衛であったサビスとエイミーだった。


 二人とも、あの事故の時にその場にいた――――。






「ニコラス様、わかっているとは思いますが、本日は初めて婚約者様にお会いになる日でございます。粗相のないように心してくださいませ」


 数日前からエイミーに口酸っぱく言われている。


 馬車に揺られて2日。

 私は未来の花嫁の元へ向かっていた。

 本来、格上貴族である私の領地で顔を合わせるべきではあるが、彼女の誕生日パーティーと合わせて行うため、こうして出向く運びとなった。


 父が亡くなってから、アシトランテ伯爵にはかなり世話になっている。

 右も左も分からない若造に、真っ先に手を差し伸べてくれたのは他でもないアシトランテ伯爵だ。

 父の仕事に付いて周り始めた頃に、頻繁にお会いするようになったが、直接言葉を交わしたことはほとんど無かった。


 私が5歳の頃に婚約が決まり、始めて顔を見たとき、その眼光の鋭さに恐怖を覚えた。


 それから、なんとなく避けるようになったのかもしれない。


 しかし、今はとても良くしてもらい、その鋭い眼光には頼もしさを感じる。

 実は今までも、あの婚約から私の知らないところで沢山の援助があったらしい。

 穀物の融通や燃料の調達など多岐にわたる。

 寒い地域にとって、安定した燃料の調達は本当に助かっていたと思う。


 父とアシトランテ伯爵の交流には本当に助けられた。



 だから、この度の婚約も、不可思議な条件ではあるが願ってもないことであり、決して破談にはできない大切な婚約なのだ――――――。

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