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アシトランテ領15  再会

「久しぶりね。また逢えて嬉しいわ!」


 アンナは目に涙を浮かべて微笑む。


「僕も逢いたかった!今世も変わらず勇ましくて素敵だね」


 ニコラスは握った手に、更に力を込めて握り直し、ニコリと微笑み再会を喜んだ。


「いつぶりかしら、あの暖かい南の島以来かな」


「北の寒い国じゃないかな?」



 二人は何度も転生を繰り返していた。


 それはもう何度も何度も…。


 お互いを思い出せなかった命も、逢うことすらできなかった命もあった。

 逢えたとしても、いつもどこかで邪魔が入り上手くいかない生の繰り返し。

 奇跡的に今世は婚約者同士として生まれ落ちた。




「ああ、嬉しいな!まさか、婚約者として逢えるなんて夢みたいだよ!」


「そうね!でもちょっと思ったんだけど、これってあなたの仕業じゃない?」


 ニコラスもアンナもとても砕けた口調で話していた。

 ニコラスに至っては、人格が変わったかのような話し方だ。誰かに聞かれていたら驚かれるだろう。

 

「なんのこと?」


 ニコラスはにっこりと小首をかしげる。その笑顔は意味ありげだ。


「ほらぁ、やっぱり〜!アシトランテの初代様を助けたのあなたでしょ!」


 アンナはどうだ!とばかりに指摘した。


「バレた?」


 ニコラスはぺろっと舌を出す。


「だって僕、記憶持ったまま君のいない時代に生まれちゃってさ。そんなときに出会ったアシトランテの血に、君の魂を感じたんだもん。そりゃツバつけとくよね☆」


 さも当然と言わんばかりに胸を張る。


「はぁ、まったくもう、あなたらしいわね。でもなんであんな誓約にしたの?16歳まで婚約者と会ってはダメだなんて」


 アンナは昔から思っていた疑問をぶつけてみた。


「ああ、それはね、君がいつか生まれてくるってわかっている家が貧乏なんて可哀想でしょ?だけどタダで助けるのもなんだかなぁ~って思ってさ。それなら将来君が大人になるまでは僕以外の恋人とイチャイチャして欲しくなくってあの約束を考えてみた」


 ニコラスは当時の事を思い出しながら、ウンウンと頷きながら語った。


「僕は記憶があったから君の魂の位置を予想して、生まれ直してみたんだけど、まさかこんなに上手くいくとは思わなかったよ!こんなことだったら、誓約なんて作らないで君ともっとイチャイチャしたかったな!」


 アンナは少し呆れ顔だが、すごく嬉しそうだ。


「あなたっていつも突拍子もないことをしてくれるわね。また私と逢うために、また同じようなことを…」


「そりゃあ、君をずっとずっと…生まれた時から大好きだからね!」


 二人は向き合って笑いあった。

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