2-(3) コウジくん
僕はなくしていた宝物を見つけた時のように喜んだ。
「どんな子だった?」
お母さんがなぜか心配そうに聞いてきた。
「身長はこのくらいで(眉のあたりを指差した)色が白くて、長細い顔をしてたかな」
それを聞いたお母さんは、何かじっと考えるような怖い顔になったので、僕はビクビクしながら尋ねた。
「どうしたの?お母さん」
「怖がらずに聞いてね。……お母さんは信じてないんだけどね……」
お母さんはゆっくりと話し始めた。
「裕太が3歳になる頃かな、よくあの公園に連れて行っていた時期があったの。その横で、今の裕太くらいの子たちが、『だるまさんがころんだ』をやっているのをよく見かけたわ。……でもある日から突然、小学生を見なくなってね。聞いた話では、一人の子が、公園から道に飛び出して交通事故で亡くなったということだったの」
お母さんはためらいながらも話し続けた。
「これからは噂なんだけど……何人かの人が、亡くなった男の子の幽霊を見たっていうのよ。……そしてその子の名前が佐藤コウジ君なの」
お母さんが真面目に言うので、僕は震え上がり、お風呂から上がった後もなかなか眠れなかった。
月曜日、学校でこのことを話すと、みんな怖がって「だるまさんがころんだ」をやらなくなった。
でも三年生になったある日、友達の誰かが
「なあ、『だるまさんがころんだ』やろうよ」
と言うので、僕が鬼になって、「だるまさんがころんだ」を、始めた。
もう忘れかけていたし、一年も前のことだから……という気持ちもあった。
「だーるまさんが、こーろんだ」
一回目は誰も動かなかったので、僕は顔を伏せた。
「だーるまさんが、こーろんだ」
二回目、僕が顔を上げた時、すぐそばにその子はいた。
「いーれて」
僕たちは大急ぎでその公園から逃げた。そして、僕が公園の前の道に出た時!
ブー!
大きなトラックが目の前に迫ってきた。
また思いついたら、3話目を投稿します。「那楽華の湯」も覗いてみてください。