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小学校の怪談  作者: 西城 休
2 だるまさんがころんだ
4/6

2-(1) だれ?

 小学校二年の頃、「だるまさんがころんだ」がブームになった時期があった。


 学校でもやってたけど、家に帰ってからやることもあった。


 その日も小さい公園(よく遊ぶ公園が二つあったのでそう呼んでいた)で遊んでいると、見慣れない男の子がやってきた。


 男の子は「いーれて!」とやってきて、いっしょに遊ぶのだが、「だるまさんがころんだ」をやめると、いつの間にかいなくなっていた。


 同じことが何回か続いたので、家に帰ってお母さんに話すと、


「なんていう子なの?」

 と聞いてきた。


 僕は必死で名前を思い出そうとしたけど、なぜか思い出せなかった。

「?……なんて言ったかなあ」


「そんなに何度も来るなら名前くらい聞いてあげなさいよ」

 と言われた。……でも名前は聞いていたんだ。……それなのに思い出せない。すぐそこまで出そうなんだけど……。



 次の日、学校でみんなに聞いたけど、やっぱりだれも言えなかった。


 だからみんなで作戦を立てて、小さい公園で「だるまさんがころんだ」をやることにした。



 学校が終わって、小さい公園で「だるまさんがころんだ」をやっていると、やっぱりその子はやってきた。


 不思議なのは、その子が現れると、全員が名前を思い出したということだった。


「いーれて」


「いいよ、コウジくん!こっちこっち」


 僕は作戦通り、拾った石の角で滑り台の柱に「コウジ」と刻んだ。


「だるまさんがころんだ」が終わると、コウジくんはやっぱりいなくなっていた。


 五時になったので、みんなが帰ろうとした時、誰かが言った。


「あっ、あの子の名前!」


 僕たちは危うく作戦の目的を忘れるところだった。


「これ見て」


 僕は滑り台の柱を指差した。


「コウジかあ、そうだよ、あの子はコウジだ」


 みんな口々にその名前を言いながら家に帰って行った。



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