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三人パーティーでの冒険が、今始まる。かもしれないらしい

「おはよー」


「おはようございまーす」


「まだ眠いのじゃ……」


結局、昨日の夜は天気が回復しなかったので、リーシャを一晩泊めることにした。

その甲斐あってか、昨晩とはうって変わって上天気となりました。やったね。


雨上がりの朝って、なんか好きだ。

さんさんと降り注ぐ太陽の光が、水溜まりに反射したりして。

葉先から雫が垂れていたりして。

虹なんかが出たりしてたら、なお良し。


「体、大丈夫ですか?」


「すまんのう、わっちら二人にベッドを譲ってもらって」


さすがに年頃(?)の娘さん二人とともにベッドに入る訳にはいかないので、寝室は二人に使わせてリビングで寝ました。


ま、散々リコルと二人で寝といて今さらかって話ではあるけど。


「大丈夫大丈夫、わりと頑丈に出来てっから」


本当は風魔法を使って軽く浮きながら寝てたので、お粗末な寝具で寝るよかよっぽど寝心地良かったのだが。


あ、そうそう、昨日の風呂場での誤解は解いておきました。

別に解かなくても問題はないかなと思ったけど、一応ね。


で、その話の流れで、本来昨日行こうとしていた森にリーシャも連れていくことにしました。

リーシャが探してるっていう香り付けの薬草……薬味?は、いつもの山じゃ見かけたことなかったし。


それと、いつもの山とこれからいく森の名前が判明しました。

いつもの山がクーバ山で、これからいく森はハーツ森らしい。

さすがビビア村のギルドマスターリーシャだぜ。


「それにしてもコージさんって不思議ですよね。持ち合わせている知識に偏りが凄いというかなんというか」


という、なんか変な目で見られたことも付け足しておこう。


大丈夫、泣いてない。




「それじゃ行こうか、ハーツ森」


「そうじゃの、目当てのものが見つかるといいのう」


「あれ?もう行くんです?ハーツ森手前の丘も越えることになりますし、もう少し準備とか」


面白い話なのだが、クーバ山とハーツ森の間にある丘には名前がついてないらしい。

スード丘と同じくらいか、もしかしたらそれより少し大きいぐらいの丘なのにな。


「あそこ、スード丘よりも少し手強いモンスターが出てきますよ?」


「あー、いいんじゃない?別に」


「そうじゃの、必要ないじゃろ」


まぁ、前衛でそこそこ戦えるリーシャと魔王ご令嬢リコルがいる時点で、よほどのダンジョンじゃない限り大丈夫だと思いますけどね。

ついでに俺もいるし。


「まぁ、確かにいらないかもですね、リコちゃんがいますし、ヒーラーのコージさんもいますしね」


「……ヒーラー?まぁ、回復支援補助も一通り出来るじゃろうが、そもそも「あーあーあー!うん、そうだな、前衛頼むぜリーシャ!」


やっぱこいつ、リーシャが帰ったらおしおきだ。




「……おかしいですね、モンスターの類いが全然襲ってきません」


「お、ハーツ森が見えてきたのじゃ」


そりゃ出てこないよなぁ。このパーティーを目にして襲ってくるモンスターがいたら、それはよほど強いのかアホなのかどっちかだからな。

というかそもそも、魔王ご令嬢相手に襲いかかるモンスターっているんだろうか?


「モンスター出てこなくてラッキーじゃん、今のうちに森に入っちゃおうぜ」


あまり長居をすると、ここらへんのモンスターたちまで安住の地を求め他へとさ迷うことになるかもしれない。




「んー、なんか思ってたよりも森って感じしてるな」


「なんとなく言いたいことは分かるのじゃ」


近付いて分かるけど、あまり人の手が入ってないように見える。

特に整備されていないし、道らしき道も見えない。所謂獣道って感じだな。


「このハーツ森、あまり情報が出回っていないんですよね。そもそも入る人がそう多くないってこともありますけど。

なので、中にどんなモンスターがいるかとか、ほとんど分からないんですよ」


マジかよ、それってわりとヤバい森ってことなんじゃないか?


……いや、そんなことないか。RPGでいうところのはじまりの村に近いビビア村、下位ランクのモンスターしかいないスード丘、そもそもモンスター自体がほとんどいないクーバ山。

いかにも初心者レベルのこんな地域の近くに、そんなラスダン的な森があってたまるかって話だ。


ストーリー後半で手に入る、波に乗れる技とか空を飛べる技とかでかい岩を怪力で押せる技とか、そういうのを習得すればいける場所、ってなら話は別だが。


となると、なんでなんだろう。

なにかこう、この森の情報を外に漏らさせない何かがあるってことか?


……




あ、どうしよう。

凄く帰りたい。

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