こんなところにも果実が実っていたらしい
ふむ、そろそろいい感じかな。
普段のように時間をかけてるとリーシャが風邪を引きそうなので、一度熱湯に近いぐらいに沸かして、半ば強引に仕上げておいた。
あー魔法って便利。
風呂に浸ける用の薬草が在庫少なくなってきたな、近いうちに補充しなければ。
「おーい、風呂沸いたぞー……って、なにしてんだお前ら」
「ひゃいっ!?」
「早かったのう。ほれ、コージもこっちにきて触ってみるのじゃ、たゆんたゆんじゃぞ」
「ちょっ、触らせませんよ!?」
部屋に戻ると、ベッドに腰かけたリーシャと向かい合わせになる状態で膝の上に座ったリコルが、そこそこたわわに実ったリーシャの果実を味わっていた。
……これ、本来はキマシタワー的なとても美味しい絶景のはずなんだけどな。
なんていうんだろ、リコルの見た目のせいで、豊満な先生と、それに憧れじゃれる生徒にしか見えないんだよな。
というか、人が必死に風呂の用意をしてる間に何をやっとるんだキミタチは。しばくぞ。
「はいはい、柔らかそうですねー。
お風呂の用意ができたから、そのまま仲良く入りましょうねー」
「む、また子ども扱いをしている気がするのじゃ」
「リコちゃんって、ゴーヌ家のお嬢さんなんですよね?リコちゃんをそんな扱いするのって、コージさんぐらいなもんですよ?」
リコちゃんて誰やねん。いつの間にそんな仲良くなったねん。着せ替え人形か。
ゴーヌ家って、人間界でも有名なのか?
まぁ、魔族のトップともあれば、それはそうか。
……いや、それ分かっててリコちゃん呼びもなかなかに勇気がいると思うんだが。
思ってたより、この世界の色んな種族は友好な関係を築けているらしい。
「コージは特別じゃの、なにせわっちの命の恩人じゃからの。まぁそもそも、力比べをしても純粋にコージには勝てんからの」
「……えっ?」
「あーあーあー、ほらほら、リーシャが風邪引くだろ、早く風呂入ってこいリコル」
こいつ、リーシャが帰ったらおしおきだな。
「おっと、そうじゃったの!ほれリーシャ、お風呂にいくのじゃ!お風呂タイムじゃ!」
「えっ、あ、ちょ、ちょっとー!」
……危ない危ない、仮にもギルドマスターさんの前で、なんつーことを漏らすんだあの小娘は。
俺の平穏が崩れるじゃないか。
風呂ってる間に忘れててくれたらいいなぁ。
「おーい、コージー!わっちら浴室に入るから、リーシャの服を頼むのじゃー!」
あいっけね、忘れてた。
うむむ、言い出したのは俺だが、さっきの光景が目に浮かんでしまう。
俺も男だからね、仕方ないね。
煩悩退散。煩悩退散。
「はいよー!乾かした後はまた置いとくから、出たら着てくれー!それとタオルも置いとくー!」
「お、お願いしますー!」
「大丈夫じゃ、コージならすぐに乾かせるからの」
パッと見、そんな複雑そうな服装じゃなかったからすぐに乾かせるだろうけど、お前が言うなお前が。
「コージもはよ終わらして、こっちくるのじゃー!」
「……は?」
いや、いかねーよ?
つーかお前、異性に裸見られたらそいつと結婚とかなんとか言ってただろがい。
……入りたいか入りたくないかで言われると、そりゃまぁ入りたいですけれども。
いかんいかん、煩悩退散。煩悩退散。
「えあっ!?ちょっと、リコちゃん!?」
「なんじゃ、違うのか?てっきりわっちが一人残されるのかと思って、それでついてきたのじゃが」
「んなわけねーだろ。なんでそうなるんだ」
「なんでって、最初わっちが倒れてたときも、一緒に入ったではないか。というか、半ば無理矢理入れたじゃろ」
「えっ」
言い方!なんかその言い方は語弊があるから!
いや、事実だけど。




