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異世界へと降り立つらしい

「なんかあの女神、最後に聞き捨てならぬセリフを吐いてなかったか?」


いやーな予感がしつつも身体を起こしてみる。

すると目の前には……!




あれ?


「なんだ、なんも間違ってなさそうだけど」


いきなり大口開いた超デカイ魔物がいることもなく。

何故か禍々しい雰囲気のいかにも呪われそうな森の中とかいうこともなく。

逆に街のど真ん中に落とされてるなんてこともなさそうだ。




辺りを見渡すと、そこには想像通りの光景が広がっていた。


適度に木々が生い茂り、和やかな陽射しが明るく照らし、色とりどりで可愛らしい小さな花も咲いている。

地面の傾斜も緩やかで、時折、小鳥の鳴き声らしき音が聞こえてくる。

木々の隙間から見える遠方には、おそらく村であろう集落っぽいところもある。


今のところ、何か襲ってきそうな魔物やら魔族やらモンスター的ななにがしはなさそうだ。


「んー?なんだ?この服」


身に付けている格好に目をやる。RPGでよく見る、魔法を使う系統のジョブが着ているような、ローブ?みたいだ。ご丁寧に頭には大きな三角帽みたいなものまで。


「魔法使い、なのかな?

……あー、そうか、薬草から薬をーとか言ったな、俺」


なるほど、確かに言われてみれば、魔女なんかがこう、薬草から薬を作るような?うん。そんなイメージはあるな、うん。

魔女……魔女?男だとなんて言うんだろ。


魔法使い、だとなんか下位ジョブっぽいし。

ドルイド?ともなんか違う。なんだ、賢者とか?


「まぁいいや、とりあえずこの辺りを散策してみるかー」


んーーーっ、と軽く伸びをしてみる。

なんだろう、生前よりも身体が軽いような気がする。これもなにか、転生のオプション効果かな?


あぁ、軽いってのは重さの話ではなくてね。

軽やかというかなんというか、凄く身体を動かしやすいというか。

あまり運動してなかったからなぁ、もうちょっと凝り固まっていたハズだと思うんだ。


ぺちぺちと、自分の身体を触ってみる。


「ふむ、別に性別も変わってる様子はないし。

ちょっとだけ若返ってる感はあるけど。何を間違えたんだ?」


こういう時にありがちなのが、性転換だ。

あー間違えて美少女にしてしまいましたーてへー、みたいな展開も予想されたが。

そういう間違いでもないらしい。


「まぁ、人の多いところで生活するつもりもないし、性別が変わってたとしても問題はなかったけど」


若干若返ってる?ような感じはあるが、それでもあまり大差ないように思う。

えへー間違えてショタにしちゃったーっていう展開でもないらしい。




しばらく歩いてみる。


「本当にのどかな、小さな山みたいだなー」


実は少し歩いたら周りの景色が変わる、迷いの山でしたーみたいなこともなさそうだ。今のところモンスター的なあれにも遭遇していない。




あ、分かった。


「住む家がないな」


てっきり無人の家が出てくるかと思ってたが、それらしきものが見当たらない。

家どころか小屋もない。


「ははーん、なるほど、間違えたってこういうことか」


都合の良い家を用意しておくつもりが、それを忘れてましたごめんなさい自分で作ってねぺこりっ、てパターンね、はいはい。


「いやいや、こんな綺麗なところに転生させてくれただけでも感謝モノだわ。住み処くらいなんとかするべー」


「いや、どうやってつく……

あー、ええか、別に」


さすがに前世で家を自分で作ったことなどない。

ないのだが、そう立派な家を作る必要もないだろう。

しばらくの間住むのは俺一人だし、とりあえず雨風が凌げれば。


幸いにもこの辺りには木が豊富にある。

山の下辺りにある木を一本ほど拝借して……


「あれ?家、あんじゃん。

あぁいや、誰かの家なのかな?」


と、思って山を下りてきたのだが、その下りたところにぽつんと家が建っていた。

近付いて見てみると、扉に貼り紙が。


『しばらくの間ここにどうぞ

            リリィ』


「わかりやすっ!

ということは、飛ばす場所を少し間違えたってことか。家の前に飛ばすつもりがちょっとだけズレちゃいましたー的な」


中を見てみると、一人で住むには充分な部屋数があった。増築するにしても、この辺りは山しかなく、迷惑をかけてしまうご近所様もいないためやりやすかろう。


「さすがに水道電気ガスはないんだな。そりゃそうだ、日本とは違うもんな。

あーでも、シンクみたいなところはあるのか。ふーろーばー、もあるし。あとー、トイレ?あっ、それっぽいのもある。

んー、てことは地下水かなんかを掘ってそれで生活するのかな?

あ、でも火がないな」


不思議と一人になるとこう、独り言が増えてくる。


前と比べると不便な生活レベルになりそうなのだが、それでも俺の心は踊っていた。




よし、俺の新しい人生、スタートだ。

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