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明日はもっと、いいことがあるらしい

花火についてリコルに説明してみたが、どうやら花火というものは知らないらしい。

「花火」という名前でなく、別の名前でそれらしき文化があるかなーとも思ったんだがな。


まぁ、よくよく考えればそりゃそうだ。

わざわざそんな火薬を詰めて爆発させなくても、魔法を使えばそれらしき鮮やかなものは出来るからな。


あれだ、俺がよく夜にやってるマジックアートとかがまさにそれだな。




「ふむぅ、コージは面白いものを知っておるの」


「さすがに作ったことはないから、上手くいくかは分からんがな」


しかも俺が知ってるのは火薬を積めるタイプの花火だからな。

魔法を詰めたことなんて、当たり前だがやったことがない。


「で、だ。多分魔法自体は簡単に詰め込めるんだけど、それを何に詰めるかが問題なんだよな」


なにかこう、ある程度魔法に耐性があって、でも衝撃に弱かったり火かなんかを浴びると拡散したりするような、都合の良いものがあったりしないだろうか。


「そうじゃの、それならキルムの実とかどうじゃ?」


「キルム?」


「なんじゃ、キルムの実を知らんかの?

コージはあれじゃな、知ってるものと知らないものとの差が激しいの」


そりゃな、この世界に来てからはまだ日が浅いからな。正確に何日経ってるかは覚えてないけどな。

むしろ、我ながらよくやってる方だと思う。社畜時代に培った適応力に感謝だぜ。




「なるほどな、それいいな」


「じゃろ?」


さすが名のあるお嬢様というか、リコルの説明は分かりやすい。これは将来、きっといい魔王になる。


ドジっ子属性さえなければな。


キルムの実というのは、その名の通りキルムという木になる実で、キルムという木が植物にしては珍しく、魔法を通しにくい樹皮を持っているらしい。


その代わりに物理的な衝撃、特に刃物などの斬撃なんかには弱く、キルムの木を切り倒しやすく、しかも生命力が高いのか、切り株状態で放置しておくと、そこからまたすくすくと育つらしい。

なんと便利な木だろうか。


そのため、物理防御は弱いが魔法耐性を得られる、安価な防具や盾が作られ、駆け出しの冒険者に人気があるらしい。


あるあるだよなー、RPGにもこういう立ち位置の防具や盾ってさ。

最初のダンジョンの宝箱から取れて、そこのボス戦で役に立つみたいな。

次のダンジョンぐらいまではその防具で乗りきるみたいな。


閑話休題。


で、そのキルムになる実も、樹皮に比べれば微弱だが、その特性を持っているみたいだ。


「それなら、キルムの実の一部を空けて中に魔法と、爆発魔法を付与した砂かなんかを閉じ込めて、空中で爆発魔法を発動すればいけそうだな」


「おお、それはいいアイデアなのじゃ」


上手くいくかは不安だが、とりあえずやってみるべ。

でもあの山にそんなのあったっけな?すでに見つけてても良さそうなもんだけど。

チート能力の見極めスキルがあるから、そんな面白い特性の木なんて、見逃すはずがないんだが。


「んー、そこの山ではわっちも見かけんかったの。一つ丘を越えた山にでも行ってみるかの?」


確かに気になってはいたんだよな。

いつも行ってる小さな山の、ちょうどビビア村と反対の方角にも丘があって、その丘の向こう側にも山らしきものが見えていたんだ。


……なんか山っていうか森って感じがして、行くかどうかちょっと悩んでたんだよな。


「そうだなぁ、じゃあ明日はあの山に行ってみるか!」


「新天地じゃの、キルムの実以外にも面白いものがあるといいのじゃ」




よし、明日は少しだけ遠出してみるか。


「じゃ、今日は寝るか」


「そこそこいい時間になってきたしの」




そういや当たり前のようにリコルと同じ布団で仲良く寝てるけど、いいんだろうか。


これ前世だったら通報ものだなぁ……

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