ゴーレムって、地中に住んでるらしい
ちょっとお昼寝するには遅い時間なので、それは明日にしておこう。
今日はどうしようかなぁ、薬草もとりあえず間に合ってるし、茸もまだあるしなぁ。
早めに風呂の用意して寝るかー?
あ、そういやここの山って、山菜とか生えてないのかな。
山菜探しに行くのも……いや、まだ見つけてないどこにあるかも分からんもんを探し回りに山に入るにはちょっと遅いかな。
小さいとはいえ山は山だ。山を舐めたらいかんぜよ。
「ゴンよ、よろしく頼むのじゃ」
「ヨロシク」
「そういえばさ、ゴンって普段はどこにいってるんだ?」
この巨体だからなぁ、家の外にいつもいるとしたら気付きそうなもんだが、そういうわけでもないらしい。
用事があるときや、ただ談笑したいだけの時なんかに声をかけるとすぐ出てくるんだが、そうでないときは姿が見えない。
「ウラ モグッテル」
「えっ?も、もぐっ……?」
「なんじゃ、知らんかったのか。ゴンのようなキングゴーレムだけでなく、たいていのゴーレム種は地中で過ごすことが多いのじゃ」
へー、そうなのか。
そういうのって所謂、サンドゴーレムとかデザートゴーレムとか、なんかそういう個別の種類だけなのかと思ってたな。
「ついでに言うとじゃな、ゴンが人語を書けて意志疎通が図れるのじゃから、もしここで作物を育てたりすることがあれば、相談に乗るとええの。
なんせ土壌をダイレクトに見れるわけじゃからの、これほど強力な味方はそうそうおらんのじゃ」
なるほど、知性を持った土竜とかそういうイメージか。
んーでもなぁ、畑かー。
あれってけっこう大変そうなんだよなー、半端な知識でやっても絶対に上手くいかなさそうだしな。
さすがに農業関係の本とかは読んだことなかったからなぁ。
「そうだな、もしかしたらそのうち野菜を育てたりしたくなるかもしれないし、その時は頼ろうかな」
「マカセロ」
この世界にも農林水産業とかに関するいろはが書かれてる本とかあるのかな?
もしあれば、やってみるのもいいかもしれないなー、時間は無限にあるし。
あ、そうじゃん。ビビア村があんじゃん。
もうまさに農業やってますって感じの村があんじゃん。
興味が出てきたらやってみるか、ビビア村のおっちゃん達に聞きながらさ。
「ああぁぁぁ……やはりここの風呂は格別なのじゃ」
「そんな特別な風呂でもないけどな。なんだろ、薬草がいいのかな?」
「そうかもしれんのじゃ。香りがいいのはもちろんのことじゃが、なんじゃろな……うまく言えんが、体の疲れが全て溶けて出ていってる感じがするのじゃ」
今日はもうさっさと風呂に入って、のんびりしようと思う。
それにしても疲れが溶けて出ていくって。疲れが吹き飛ぶとか、もうちっと他の言い方はなかったのか。
「ま、極楽ってのは理屈じゃないのかもしれないな」
「まったくもって、その通りなのじゃ」
元々どちらかというと、湯船に浸かりたい派かと言われるとそうでもなかったのだが、ここに来てからはほぼ確実に浸かっている。
さすがチートスキルの見極め能力、効能は抜群だな。
ところで。
「なぁリコル」
「なんじゃ」
「わざわざ猫の姿になってまで、一緒に入らなくてもいいんじゃないか?」
別に構わないけど。
ま、一人で入るより楽しいしな。
「せっかくじゃからのー。一人でのんびり入るのもそれはそれでいいと思うんじゃが、こう、極上の湯に浸かり、なんでもないことを話しているのが好きなのじゃ」
「なるほどなぁ」
「む、もしかしてコージは一人風呂派じゃったかの」
「いや?もし一人で入りたかったら、最初から断ってるよ」
「それもそうじゃのう」
この、お互いが話半分なのが、凄く居心地がいい。
ちなみにこのド天然小娘、最初元の姿で脱衣場にやってきたので、その服を脱ぎ始める前に猫の姿に変えさせました。