リコル、再降臨。らしい
そういえば、ファンタジー系RPGじゃ念話とかテレパシーとか、そういうのよくあるよな。
この世界にあるのかは知らないけど、試しにやってみっか。
んーっと、リコルの姿を想像して語りかけるイメージで……
いや、人の形したリコルを知らねぇよ。猫でいいのか?
まぁ、いいか。ダメ元で。
「んーぬぬぬぬ、頼みたいことがあるぅぅぅぬぬぬぬ」
……
…………
………………
応答なし。
ま、無理か。しゃあない、またいつか遊びにくるっつってたし、そん時でいいや。
今の俺、はたから見たら独り言言ってる怪しい奴だったな。良かった屋内で。
今日はじゃあ、軽く掃除して寝ようかな。
掃除をするのに魔法が便利なんだなーこれが。
まずは風を上手く操って、家中の埃なんかを巻き上げ外にポイッと。
んで次は、家具が水浸しにならない程度に、水をバッと流して雑巾がけの代わりに。
仕上げに風と火の魔法を同時に出して、ササッと家ん中を乾かして終了。
元々家具の量も多くないので、これで簡単に綺麗になる。
いやー魔法万歳。
「あら、なんかひと雨きそうだな」
掃除も終えたので、ぼんやりと外を眺めていたのだが、少しどんよりとしてきた。雲ってきたな。
……ん?いや、雲ってきたというか、一部だけ黒くなってね?
なんだ、異常気象ってやつか?
えー、多少のことならなんとかなりそうだけど、雹とか降ってきたら嫌だなぁ。痛そう。
「あ!ゴン!」
そうだ、キングゴーレムって雨とか雪とか大丈夫なんだろうか?
ちょっと心配だから、本格的に降ってくる前に様子を見ておこう。
とはいえ、水が苦手だったらどうするかなぁ、さすがにあの巨体を家にあげたら、家ごと壊れそうだし。
魔法でこの辺の上空に、なんか雨をしのげそうなの広げるかー?
「おーい、ゴン!お前雨とか雪ってだいじょ……
あ?」
外に出てみると、見知らぬ少女がこっちに向かって飛んできていた。
親方!空から少女が!
「待たせたのコージ!いったいどうしたんじゃ!?
コージが助けを求めてくるなんて、何が起こったのじゃ!」
真っ黒で大きな翼を羽ばたかせ、銀色に近い白髪をなびかせながら、高速でこっちに近付いてくるその少女からは、聞き慣れた声がした。
……え、まさかリコル?
「もうわっちのことを忘れたのか!というかそもそも、コージが呼んだのじゃろうが!」
あ、言葉に出てましたかそれは失礼を。
「いや、少なくともその姿は初見なのですがそれは」
「あ……そうじゃったの。
ふふん、どうじゃ?つい先日は、わっちのことを散々子ども扱いしてくれたが、元の姿はなかなか可愛らしい淑女じゃろ?」
淑女は自分からそんなこと言いません。
というか、ちょっと上に見たとしても、せいぜい高校生レベルなんだがなぁ。いや、可愛いのは可愛いけどさ。
魔族の間では、こういう服が普通なのだろうか?なんか全体的にフリフリしてるな。
襟元や袖口にレースのフリフリがついた白いシャツに、これまたフリフリがついたシンプルな黒いスカート。
前世で言うゴスロリ……でもないな、そこまではいかないけど、この幼い見た目も相まってロリにしか見えん。
いや、なんだっけ、ロリに関する定義があったな。
あー、忘れた、ペドとアリスとロリがあった気がする……
人間で言うと14~16歳くらいに見えるんだが、どれに当てはまるんだ?
「む、なんか物凄く失礼なことを考えている気がするのじゃが」
あれ、俺ってもしかして、考え事が表情に出やすいタイプだったのか?
いやいや、失礼なことなんて考えてないですよ、うん。
可愛いって思ってるわけだし、うん。
こんな可愛い妹がいたら最高だったのになー。うんうん。
「って、そんなことどうでもいいのじゃ。
コージがわっちに助けを求めるということは、相当なことじゃろ?なんじゃ、俗物どもに戦争でも吹っ掛けられたのか?
わっちの親も、いつでも助けに来れるよう待機しとるぞ!
他にも、わっちが声をかけられる者全員に声をかけておる、わっちは何があってもコージの味方じゃ!」
「えっ?」
「えっ?」
「いや……えっ?」
「えっ?ってなんじゃ……えっ?」
えっ?




