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めちゃめちゃ勧誘されるらしい

さて、何を食べようかな。

っていうか食事処的な店はあるんだろうか?

酒場はなぁ、俺あんまり飲めないんだよなぁ。

ってかこの際、調味料とかでもいいんだけど。


あれからギルドに戻って、キングゴーレム討伐(?)の報酬として少しばかりお金を貰い、商人のおじさんの紹介で村長さんに挨拶をしてきた。


ギルドに冒険者登録をしたわけではないので、依頼の報酬としてはリーシャが受け取り、その中から少しだけ分け前を貰ったのだ。


まぁ正直なところ、俺はほとんど何もしてないので分け前もなにもないんだが、貰えるものは貰っておく。


村長さんもいい人だったので、薬の販売許可はすぐに出た。

どうやらあの商人のおじさんが、このビビア村の流通事情を少なからず支えているというのは本当らしい。

そのパイプを守ってくれたということで、なんなら今すぐにでも薬屋として商売してもいいとのこと。


これも結局、元々ゴンと名乗ったキングゴーレムは危害を加えるつもりはなかったみたいなので、実質俺は何もしていない。

いやー運がいい。


今日はもう商売するつもりはなかったのだが、おじさんが牛用の薬と、苦くてもいいからと即効性のある人間用の薬を売ってくれと言ってきたので、少しだけ売ってお金がさらに入ってきたのだ。


この世界の相場が分からんので、おじさんの言い値で売ったのだが、まぁ元手は山に生えてる草だしな。

大きな利益なんか取るつもりもないし。


ただ、受注生産もするつもりないし、大量生産もするつもりがない……というか俺が個人で作ってるだけだから出来ない、ということを告げたら、最初に出してきた値段よりも少し上がった。

さすがというか、商売に関しては本気のようだ。適当に安い値段で買い取って他で高く売る、みたいなよくある展開ではなさそうだった。


いまだに名前も聞いてない商人のおじさん、ありがとな。




ということでせっかくお金が手に入ったので、何か食べてから帰ろうかと思うのだが。

店が見当たらない。

この村、なかなかに土地が広いこともあって、探すのに苦労しそうだ。


看板を見かけてもほとんどが酒場だし。


しょうがない、もっかいギルドに戻って、リーシャに聞いてみるか。

さっきの別れ際に、やたら冒険者登録を勧められたので、あんまり行きたくないんだがなぁ……




「あっ、コージさん!登録してくれる気になりましたか!」


「ちげーよ。この村で美味い飯屋を探してるんだが、酒場しか見当たらなくてな、どこか良い店を知らないか聞きにきたんだ」


「あー、私も最初にこの村に来たとき、同じことしました。土地自体が広いし、建物と建物との間が広いから、余計に探しにくいんですよね」


そう、まさしくその通りなんだ。

どこの家でも家畜を飼っているのか、一軒辺りの面積がデカイ。


あの山から見えてた村の外観は、本当に一部だったんだなぁ。これは予想してなかったや。


「この村、武器防具道具など冒険に関するお店は一軒もないんですよ。だから前も言った通りギルドが武器屋防具屋道具屋を兼ねているのもあるんです。

ですが、お食事処はけっこうありますよ。お店同士が協力しあっている関係で、お店がある場所が偏ってるんです」


ははあ、なるほど。つまり店が固まってる方向に行かないと、全然ありませんと。だから見つけられなかったのか。


ん?でも酒場はあちこちにあったな。ビビア村の娯楽施設は酒しかねーのか?


「えーっとですねぇ……

じゃあこうしましょう!コージさんがギルドに登録してくれたら、料理屋区域の場所を教えます!

さぁさぁ、今すぐ登録するのです!」


「あ、じゃあけっこうです」


「あああー待ってください嘘ですごめんなさい戻って来てくださいー!」


はよ言えや。


「うう……本当にダメですか?ビビア村のギルドに登録しているのは私だけですので、今登録すると、もれなく私と二人きりですよ!」


それで今までやってこれてるなら、つまり登録する意味ないじゃないか。

そもそもモンスターを討伐する気はありません。


「自分で言うのもなんですが、私けっこう可愛いと思うんですよ!そんな私と二人きりですよ?もしかしてもしかしたら、依頼中にイイコトできるかもしれませんよ!」


いや、依頼に集中しろや。

ってか自分を売るかね。大安売りバーゲンセール!今なら私がついてきます!ってか。


「それはつまり、依頼をこなしている間、ギルドがもぬけの殻になるのですがそれは」


「大丈夫です。緊急を要する依頼なんて滅多にきませんし、ここに来る方たちはみんな、話し相手が欲しいだけの暇なおじいちゃんおばあちゃんだけなので」


いやー平和な村だなー。


「ちなみに最後に武器防具道具どれかでも売れたのは?」


「私がここに来てからは一度もありません!だからここを空けても大丈夫です!」


それは果たして大丈夫と言えるのだろうか。

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