二人(?)で、スローライフを満喫するらしい
「へぇ、こんな小さな山にこんなにも薬草が生えておるとはな」
「だろ?果実や茸もそこそこ生えてるし。
ああそうだ。このあと、いいところに連れてくから、楽しみにしとけな」
「お?山の中にそんなところがあるのか?」
俺の秘密の場所だ。教えるのはリコルが最初なんだから、感謝しろよな?
俺の、ではないけれども。
そろそろかな。
談笑しつつ採取を続けていくと、お天道様がちょうど良い塩梅に昇ってきたので、いつものお昼寝スポットへと移動する。
「おぉ、これはいい景色じゃの」
「だろ?毎日ここで、昼寝していくんだ。すんげぇ癒されるぜ」
一応は魔族であるリコルがいるから、動物達が怯えないか少しだけ不安だったが、杞憂だったらしい。
まぁ猫の姿だしな。
「うむ……これは良いのぅ……」
リコルと共に、いつものごろ寝場所へ転がる。
まぁ、そのリコルの姿も小動物なので、俺にとってはいつもとほぼほぼ変わらないけれども。
「おお、可愛いのう。ほれほれ」
ど、動物同士がじゃれあってる……
なんてこと言ったら引っ掻かれそうなので、ひっそりと心の中で微笑んでおくことにしよう。
いやーしかし、魔族でもこういったなんちゃらセラピー効果があるんだな。
しっかり癒されてるみたいで安心したぞい。
「ほぉ、やはりコージは、魔法の扱いが上手いの」
お昼寝でばっちし癒されたあと、今晩の夕食用に魚釣り(?)をしている。
川の水を操り魚を獲っている俺を見て、感嘆の声を漏らす。
「そう?リコルに褒めてもらえると、なんか嬉しいもんだな」
由緒ある?魔族の娘さんに褒められるということは、そこそこ形にはなっているらしい。
「む?それだけしか獲らんのか?まだまだ泳いでおるが」
「あぁ、その日に食べる分しか獲らないようにしているんだ。
自然の恵みを乱暴に獲るのはいかんからな。
とはいえ生きるために必要な分は獲ってるから、まぁ気持ちの問題ってのが大きいが」
「なるほどのう」
自然には限りがある。
全く獲らない訳にはいかないが、生活をするために必要最低限で止めておくってのは、ここにきてからすぐに決めたんだ。
際限なく獲ってしまった結果が、前世の地球だからな。
そのうち、山に還元できる肥料の作成にも本腰を入れないとなぁ。
「いぃぃ……痛いのじゃ」
「我慢我慢。ほら、リコルちゃんは良い子だから頑張れー」
「だから!子ども扱いするでないわっ!!」
採取を終えて帰宅し、俺特製の入浴剤入りお風呂にゆっくり浸かってから、傷付いた翼の治療をしている。
やはりまだ痛むか、だいぶ良くなってきてはいるんだけどな。
「ぐぬぬ、翼が完治したら覚えておくのじゃ。
元の姿に戻ったら、わっちを子ども扱いしたことを後悔させてやるのじゃ」
「そうだねー、そのためにも頑張って治療しようねー」
「だ!か!ら!」
可愛いなぁこの猫。
そうだ、せっかく俺には無限の時間があるんだ、ぬいぐるみとか作れるように練習しようかな。
んでリコルちゃんぬいぐるみとか作れば、村の子ども達に売れるんじゃなかろうか。
それにしても、ここまで回復してくれて良かったな。
最初に見つけた時はほんとボロボロだったからなぁ。
いやー、えがったえがった。
「それじゃ、おやすみ、リコル」
「おやすみなのじゃ、コージ」
おやすみ。って、いいなぁ。
この分の回復ペースだと、明後日ぐらいには完治するかな。
あともう数日、堪能することにしよう。




