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REMEMBER 番外編

REMEMBERーWorld Dark Memorialー番外編2

作者: 紫晶朔実

「久し振りに向こうに行ってみようと思うんだ。色々打ち直さなきゃいけないところもあるし…また行くことになりそうだけど一旦整理したいんだ、うん…わかってるよ、ちゃんと行くから。」

 ー…記憶世界。

 そりゃ勿論、実際あるって訳でもなけりゃ…体験したこともないんだけどね。これ言ったらお終いか。

 でも此処で文字になって、あちらこちらで絵になって形になってる。異世界タソウサクの介入も可能になった。風景も物語も骨組セッテイが出来て、装飾ニクツケも出来てきた。住人キャラクターが勝手に動くようになって、生き生きとしてきた。

 そんな世界ソウサクでのとある集まりの話。


【Earth宝石の森ーREMEMEBR団アジト内・リビング】

「久しぶりに皆でお茶会と行こうじゃないか。」

 暗い青パーカーを着た黒髪黒眼の女性は横に両腕を大きく開いてそう意気揚々と言った。その場に居た管理者達は唖然とした顔で見ていたり、しれーっと無視している奴も居る。

「…戻るんだったら呼んできな。彼奴等は気がついたら来るだろう。」

「へいへい、全く職権乱用だぁい…。」

 そう言って話し相手だったのだろう第一管理者ブルーローズは黒く消えてしまった。パーカーの女性は伸びをすると一部の管理者達が集まっているテーブルに近づいて何かを考えている。

「…どうした大主、座ればいいじゃないか。」

 そう第四管理者サクミが大主に言ったが…一向に動く気配はない。

「大主様?」

「………ん?あ、すまん…ケーキがあまりにも形が綺麗でな…。」

 そう言うと近くのソファーに座って寄りかかった。

「未だにその癖は治ってはいないのか。」

「趣味のせいかな。まぁ、彼奴が連れてくるまでゆっくりするとしよう…。」


【数十分後】

「おまたせぇ…。」

 そう聞こえると黒い塊が解けて四人ほどモノが出てきた。狐の面をかぶったモノ、片目が歯車になっているモノ、そして先程の第一管理者がそこにいた。

「お疲れさん。やけに遅かったな。」

「妾がどうもすれ違いを起こしたらしくての…」

「探しても探しても居ないと思って待ってたら来たからとりあえず連れてきた。」

「まだ仕事終わってないんだが大主…。」

「後ででもいいだろう、少し付き合え。」

 そう言ってポンポンと自分が座っている隣を叩いた。それにつられてそれぞれ席に着く。

「…それで。久しく唐突に訪問とは何事か、大主よ。」

「更新さ。不定期だけどそうしないと色々危なそうだしさ。」

 第二管理者ボウレイは紅茶を飲む大主にそう尋ね、このように返された。大主の仕草は人間と変わらない。

「…ふぅ。さっき、Mに頼んだんだが。皆にも伝えておこうと思ってな。」

「あの改正のことか。」

「そうそう。まず一つ目は、結界についてだ。」

 -この世界には周りに赤い結界の壁がそびえたっている。その先にはたくさんの世界へ続くWホワイト.Wワールドの地域が広がっている。その内側にこの世界はあり、結界を破壊することは許されない。この結界を異世界の人物が通り抜ける際、データーに移行されアバターとして自動登録される。これが初期ログイン、ということになる。

 いったんログアウトした後、再度ログインする場合に問題がなければ何かしらの方法で結界を通り抜ける行動で省略される。もし問題を起こしていた場合はその場で抹消されるので罪を犯すことはお勧めしない。

「…妾が管理しておるじゃろう、なにかあったのかの。」

「いや、またきつくするんじゃ無くて、緩くするんだ。ちょっと難しいけど。」

「どういうことだ。この前の異変で懲りたんじゃなかったのか?」

 第六管理者サイバンチョウが口を挟んだ。

「違うよ。全員を受け入れるわけじゃない。BRがビビッて出て来なくなっても困るからな。」

「ビビってるんじゃない、警戒してるんだっ!」

「うるせーびーびり。」

 第一管理者は悔しそうに大主を睨んでいる。相手はしれっと死んだような目で見返すと、また紅茶を口に含んだ。

「…んなことはいいんだよ、一部の異世界のモノだけ結界を通れるようにするんだ。」

「そんなことができるのですか?」

 第一一管理者ニュームーンがそう尋ねると第二管理者が答えた。

「出来ないことはない。が…膨大な量の情報を変える必要がありそうじゃのぉ。」

「そこは問題ない。」

 次に待っていたかのように第五管理者マシーンが口を開いた。本を開いて、何か書き留めながら。物を口に入れる様子は一切ない。

「まず一つに特手の人物のログイン履歴、ログアウト履歴を踏まえてアバターの特定。そのあとにそのデーターの情報を結界に自動ログイン登録を行えば大体のモノは自由に出入り出来る様になるだろう。」

「そんな器用なこと…うまくいくのだろうか?」

 黒スーツの第八管理者センキョウシがそう問う。横には第七管理者テンショウが頬にクリームを付けてケーキを頬張っている。

「…主の方法を応用すれば、確証はまだない。」

「おーれー?…ん…出来ないこともないけど僕も分らねぇぞ?」

「出来るから言ったんだよ。あとで取り掛かるとして、次だ。もう察しているものも多いとは思うんだが…。」

「役割分担が変更されたのかしら?お久しぶりね。」

 開いた窓から第三管理者オアシスが顔を出した。大きな翼と煌びやかな装飾が揺れる。

「そうd…ってOじゃないか、今来たところか?」

「えぇそうね、気まぐれに降りてきたところよ。」

「これで全員…ってことじゃないな、あと二人いない。」

 そう、あと二人いない。しかし呼べるものでもないので、待つしかない。

「全員集まってないのに話始めっちゃったのか。」

「仕方がない、あの二人にはあまり関係のないことでもあるし…噂をすれば?」

「…現れるんだろね。」

「Hello!!」「…呼ばれた気がする。」

 後ろから「透き通った宝石のかけら」をぽろぽろと落として第九管理者ドリーム第十管理者ナイトメアが異空間から跨いで出てきた。一人はファンキーな派手な服装で、一人はヘッドホンを首にかけ白いフードを深くかぶっている。

「…あとで掃除しないとな…。」

「Oh!Sorry!尖っているから危ないね…。」

「裸足で歩かなければいいじゃないか。Nと天は気をつけな。」

「ほほむむ?」

「ちゃんと飲み込んでから話すようにしなさい、こんなにクリーム付けて…。」

 第八管理者が第七管理者の頬についたクリームを拭い取った。まるで兄弟か親子だ。

「っは、これじゃどっちが年上か分らねぇな。」

 そう第一管理者が行儀悪く肘をついて足を組みながら鼻で笑った。

「良いじゃないか。そんなことを言ったらお前だってこの中で最寿には見えない。」

「私のこれはわざとですー、いいでしょ別にー。」

「へいへい、私は文句ないですよ仕事以外は。」

「一言余計。」

「余計でよろしい。んでもう一つなんだが…異世界人の時間制限を正式になくそうと思う。」

 大主が改まると、第四管理者が勢いよく立ち上がって液晶の画面に映る瞳を丸くした。

「そ、それって…!」

「安心してくれ。もう時間を気にして帰さなくてもこれからは良いことになる。」

 第四管理者は静かに座ると小さくガッツポーズを決めたように思えた。

「Sは周りの世界に知り合いが多いからそりゃ喜ばしいことだろうな。」

「…娘が恋する乙女とは中々珍しいぞ?」

「もう、そうじゃなくても元々十分可愛いわ。」

 大人二人はそう微笑んでいた。第一管理者は面白くなさそうに目を細めている。

「…それでどう変わるんだ?」

「それに合わせてお前たちの役割が変わるやつがいる。裁判長は変わらないけど…。」

「そのほうがありがたいものだがな。」

 大主はそう聞き終わると、第一一管理者のほうを向いた。彼女はケーキを一切れ完食して、紅茶を飲んで一息ついていたところだった。

「N。お前にいよいよ仕事を言い渡そう。」

「…ほえ!?な、なんでしょう…?」

「もうそろそろ、私もよろしいかと思ってたわ。…N、この前話したことは覚えているかしら。」

「神僕の主の話ですか?」

「魔導書も作って貰ったことだし、技も手に入れただろうしな。」

「Nに任せるわ。ちゃんとまとめてね。」

 第二管理者と大主がそういうと、第一一管理者は飛び上がって

「姉上様!私やっと…!!」

「本当だな、頑張るんだぞ。」

「…Sお前もだがな。」

「………私か?」

「上位3名満場一致で、お前に下界全域の統治を任せることになった、Earthだけではなくてな。」

 第四管理者も第一一管理者も?を浮かべたようにこちらを見ている。

「え、ちょっと待ってくれ…下界全域か!?」

 この世界には大きく3つに分かれた地域の内、下界という中央の地域には8つの地域がある。その内4つは王国(ただしその内1つはもはや国とは呼べないほど国民が少ないが。)として築かれており、同盟や敵対も珍しくない。多くの種族が同じ世界で暮らすということは争いは避けられないだろう。同じ種族でも殺し合いをする種族も居る。…現世にもその種族は大きく繁栄しているが。

「全域の国どれの王にも面識があって情報通…って考えるとな。いつまでもばらばらに治めさせるわけにもいかないし、昔に戻すだけだしな。」

 昔といってももう数期前である。第二管理者の役割がそれだった頃、異変が起きるまでは安定していたという記録からの意見だろう。

「何かあっても俺がやるからさ、いつでもヨンデー。」

「凄く怖い予感しかしない。」

「好戦的な表情が露わだぞBR。」

「おおっと?僕はなにもなければいいんだよ、何もなければ。」

 第一管理者はそう言うと座りなおした。頭の下、首元に結わいた髪を肩に乗せなおしている。

「…とまぁそういうことだ。表向きにはまだ公表しないからいつも通りだが…落ち着くまではそういうことだと自覚しておいてくれ。いいな。」

「お、おう…。」

「大丈夫よ、あなたならきっとできるわ。」

「母さん…。」

「他はあまり変わらん。2人のサポートを頼もうと思う。…以上だ!そろそろ私も帰ろうとするかな。」

 彼女は結んだポニーテルを揺らした。ケーキには一切手を付けずに紅茶を一気に飲み干して、立ち上がった。

「…食べていかないのか?」

「生憎甘いものは苦手でさ…特にショートケーキはね。食べられるやつで食べればいいじゃないか?」

「少し痩せたように見えます、まさか…。」

「いや食ってるよ、咲に怒られちゃうからさ。脳も働かないしさ。実際痩せたけどさ。」

 大主は立ったまま、肩をすぼめた。実のところ、死んだ目の酷さは相変わらずだが、ちゃんと開けば少し痩せたただの人間だ。

「前回説教をしたからのぉ。」

「正座なんて久しぶりにしたよもう…あの後足が生きていないかと思った、暫く歩けなかったし。」

「はっはっは!まだまだじゃのぉ。」

「体重と足がないやつに言われたかねぇな。」

 確かに…と声が漏れて皆笑った。笑い方はそれぞれ違って、大きく笑うもの、クスクス静かに笑うもの。無邪気に面白がるもの、呆れたような表情だが楽しそうに笑うもの。手をたたいて笑うもの、口を隠すもの。一つに管理者とまとめても十人十色な性格なのである。


【記憶世界の記録はまだ続く。大主が消えない限り、誰かの記憶にこの世界が残っている限り記憶世界のこの記録はひとつ残らず消えるということはない。】

「…記憶喪失なんぞにまたならなければいいが…。」


【一つぽつりと、そういうものが消えた。】


おはこんばんにちは、朔実で御座います。連載のほうがまだCODEです(おい

今回前から書き溜めていた番外編を投稿させていただきました。殆ど一日で書いたものですが、如何だったでしょうか。

読みにくかったり、ルビがおかしかったりするのはご了承くださいませ…()

これから本編は時間がある時に書き溜めて予約投稿で定期的に更新していこうと思います。自己満ですが。それでも読んで頂けるととてもありがたいです。

ではまたこの世界でお会い致しましょう。

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