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黒の殺戮者たち  作者: 蒼猫
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5  宿へ

「他人が死のうとどうでもいい?」


ギルマスは首を傾げながら復唱した。

そんなギルマスに、当然だというように陽悠は首を振る。

なぜ、他人の命まで責任を持たなければいけないのか。

俺達を殺そうとしたんだ。殺されても文句を言われる筋合いはない。

これが陽悠たちの考えだった。


「はい。まあ、敵だけですけどね、俺たちが殺すのは」


「その敵か味方かはどうやって決めるんだい?」


「簡単ですよ。俺たちに危害を加えたり俺たちの邪魔をしたりしたらですよ」


「そっか。わかった、なるほどね。まあ、僕は君たちの敵にならないよう努力しよう。魔女の一族を敵に回したくはないからね」


ギルマスは微笑みながら、うんうんと頷いている。


「では、俺たちはこれで。早く宿を探してカイの治療をしたいので」


「カイ?···ああ。さっきの腕を怪我していた亜人の奴隷かい?···もう手遅れだろう?あの腕はもう動かないよ」


ギルマスは治療と聞き、そういえば怪我をしていた奴隷がいたなと思い当たる。

しかし、手遅れだろう。応急処置はしてあるようだが、動かすことはできないはずだ。

そう考えるギルマスを余所に、陽悠はニッコリと笑みを浮かべて、それはどうでしょうね、と返す。

ギルマスはわけがわからないというような困り顔だ。


「···どういう意味だい?」


陽悠に尋ねるも陽悠はすでにこちらから顔をそらしていた。


「それより早くここから出してもらいたいのですが?」


そう陽悠が言うと翔愛が刀に手をおいた。

ギルマスは慌てる。

壁を直すのだってそれなりの力を使うのだ。

また壊されるのはごめん被りたいというのがギルマスの考えだった。


「あっ!ちょっと待って!今開くから!!壊さないで!」


そう言うとギルマスは手を2回叩いた。

すると、入って来た場所とは違う場所に扉ができた。


「ここ出ると外だから。宿は『からしみそ』っていうお店がおすすめだよ」


「そうですか。ありがとうございます。ではこれで失礼します」


フードをかぶり直し、扉を開け外へでると、目の前にはカイ達がいた。

全員が外へ出て扉を閉めると扉は消えた。


「これからどうするの?陽悠兄」


「そうですね···とりあえず『からしみそ』っていうお店に行ってみましょうか」


「か、からしみそですか!!」


ギルマスに言われた「からしみそ」という店名を出すと3人は驚いた顔をし、レイザは声をあげた。


「なに?知ってんの?」


有名な店なのかと思い、翔愛は尋ねた。


「は、はい。この国で唯一亜人が経営している店です」


「行ったことはありますか?」


「い、いえ。噂で聞いただけですので···そのば、場所は知っています」


「では案内をお願いできますか」


「も、もちろんです!ご主人様!!」





*****


「いらっしゃい!!···亜人かい?」


レイザを先頭に、からしみそという店に来た。

扉を開けると40代ほどの女性が立っている。

レイザの説明によるとここの経営者は亜人だが従業員は人らしい。

従業員も亜人に偏見がない珍しい人なのだとか。

そのため、たまに亜人だということを隠してやってくる人たちはここに泊まるのだという。


「いえ、俺達4人は人間ですが。この子たちは亜人です。1泊できますか?」


少し考えるそぶりを見せた女性だったが、すぐにやめて口を開いた。


「ここは亜人が経営してるよ」


「ええ。存じております。ギルマスにお勧めだと紹介されまして」


「ギルマスが?···いいだろう。1泊銀貨3枚だよ」


「わかりました」


銀貨を渡すと部屋に通された。

扉を開くと中は広く、リビングのような部屋になっていた。扉が入り口を除いて2つあり、どちらもベッドの部屋だった。1部屋にベッドは2つ在り、ベッドは計4つだ。


「取り敢えず、カイの治療ですね。それは月冴兄に任せます。俺たちは誰がベッドを使うかを決めましょうか」


月冴はベッドの部屋の1つでカイの治療を始めた。


「そうだね!まあ、やっぱカイはベッド決定として、女の子もベッドがいいよな···。じゃあ、カイとレイザとルージュはベッドであと一人は誰にしよっか?」


「俺、は床で、いい」


「ちょ、ちょっとお待ちください!!我々は床で結構です!!!ど、奴隷がベッドで寝るなど···」


「ええ~いいじゃん別に。それに俺、ベッドで寝ると腰痛くなるんだよね」


「で、ですが!」


「ってことで残り1つは陽悠兄が使ってね」


「では、これで決定ということで。俺は寝ます」


翔愛が話をまとめると、陽悠はカイが治療されている方の扉を開け、ベッドに横になった。

横になりながら、カイと月冴に結果を伝えると目をつぶった。


「え?!もうですか?!」


後を追ったレイザに驚かれながら陽悠は目をつぶったまま話す。


「疲れたんですよ、今日一日で。ベッドは今日は使わせてもらいます。次の宿にベッドがあったら譲りますよ」


そういうと、すぅ、とすぐに寝息をたてた。

カイは少し戸惑っており、月冴はそんなこと気にせず治療を続行した。

そんなカオス空間に翔愛は苦笑いをする。


「ああ、もう寝ちゃった···ご飯どうする?食べる?」


「い、いえ。大丈夫です」


「わかった。俺たちも眠いからもう寝ることにするよ。お休み。月冴兄!俺たち寝るから後よろしく!」


「ああ。お休み」


「お、お休みなさいませご主人様···」








*****

次の日

ギルドにて。


「あれ?陽悠さんは?」


「ひ、陽悠兄は今、とんでもない病にかかっていて···ぐす」


「や、病?!大丈夫なの?」


「ベッドから起き上がることができず···今カイが残ってみていてくれてる状態なんだ」


「びょ、病名は?」






「筋肉痛」

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