聖域完成
睡魔には勝てず…
予約投稿はやり方不明
週2ペースで書けたら良いなぁ
「やっぱり先ずは聖域からだよな!」
『マスター……』
俺は手始めに聖域ことベッドを作成することに決めた。その際にコアさんがなんともしんみりとさせるような哀愁漂う声色で呟いたのを聞き逃さなかったけどそこは特に気にしてはいけないな。
聖域と呼ぶくらいだからそれなりの良質な素材を使わなければいけないのだが、そこはなんと不思議物質のEPを用いることで代用出来るのだ。EPとはダンジョンマスターが使えるポイントのことで俺には初回特典のような感じで10000pがあるのでそれを好きに使おうと考えている。だが、俺の部屋を豪華にするだけで10000pを消費してしまうと本来の目的のダンジョン作成ができなくなり、結果的に俺はEPを取得することができなくなるので工夫してEPを消費しなければならない。
「とりあえずは市場調査だな。コアさんはどのくらいの値段でダンジョンが作れるかは知らないんだよな?」
『はい。ただ、ダンジョンの種類と特性についてはお任せあれ。』
コアさんと情報を共有したとはいえ俺にも分からないことはあるし、分かっていても確認は必要だと思う。せっかく1人と1コアがいるので報連相は徹底して行きたい。
とはいえ聖域作成の前に市場調査をする事にして俺は再度コアさんを握りしめ空中にモニターを出してそこに情報を投影させる。
土・鉄・木壁…1EP。ダンジョン壁10EP。魔力付与壁20EPと壁だけでも3種類もあった。土・鉄・木壁はいたってシンプルな普通よりも若干壊れにくい作りの壁を作成するようだ。壊れにくいの定義は作成者のイメージによるところが多いそうだがコアさん曰くわざわざこんなものを取るダンジョンマスターはいないとのこと。
ダンジョン壁は、一般的なダンジョン内の壁で絶対に壊れない壁のことを指す。
魔力付与壁は、例えば水中にいる時に奥の景色が見えるのに壁があって進めないとか、密林ステージで目に見えない壁に当たるなどの不思議壁を作成できるものだ。
これらに共通することは、壁は一枚物だと言うことだ。例えばダンジョン入り口から到達点のDM部屋までの直線だけの通路を作る時に必要な壁の量は最低2枚となる。これに天井と床面も壁を作ると4枚になる。この壁というのはなかなかポイント効率が良いものでどんだけ長い通路を作ろうともそれが直線なら壁の消費量は最低でも2枚で済むのだ。更に一度作った物もコアからの操作で何度でもやり直しが効くところも非常に有用なところではある。
次に魔物だ。魔物にはレアリティというものがあり、それは星を使った等級で表される。
星1(5EP)…ゴブリン、ちびオーク、ババット、スライム…etc
星2(10EP)…役職ゴブリン(ソルジャー、メイズ、シールド、ハンター)、オーク、ブラッドババット、軽い状態異常スライム(下痢が止まらない毒、足の痺れ程度の痺れ、3徹の睡魔)
…etc
星3(20EP)…幹部ゴブリン(将軍、参謀)、オークジェネラル、特殊スライム(鉄、酸、血、汚)、カラーリザード(赤、青、黄、茶)…etc
まだまだ等級はズラーっとあるが簡単に紹介するとこんな感じでモニターには映し出されている。
星が1つ上がるたびにEPが2倍になるので低い等級だとさほど気にならないがランクが高いのを選択するのは若干ためらうレベルの消費率だった。ただ僥倖だったのは意外と低ランクのモンスターでも使い方によっては割と強キャラがいることが幸いだった。
そして最後に今の所取る気は無いが【特殊】というものがある。これは所謂、全面水だけの階層を作ったり、溶岩の流れる階層を作ったり、密林ステージにしてみたりと様々な特殊階層を作成することができるのだがいかんせん高い。半径50mで1000EPものポイントを消費してしまう。これはもっとEPが増えた時に使おうと思って今回は見送った。
「まぁ大体こんなもんか。今の所ダンジョンは隠す方向性だから4:6の割合で部屋を作っていこうかね。」
もちろん4割の方が部屋作成に使うEPだ。
そこは当たり前だろ?だって生命線になるダンジョン作成に使えるEPの方が部屋を作成するだけのEPより低いわけがなかろうよ。
「じゃあコアさん俺がイメージしたもの作れそうだったら4000EPの範囲でつくってくれ。」
『かしこまりました。マスター。では…』
俺は再度コアさんを強く握り締めた拳を額に当て俺の理想の部屋を念じた。
♢
十数分後、土壁に覆われていた5m四方の部屋だったマイルームは、まあまあ良い感じの雰囲気を持つ寝ることに特化したビジネスホテルみたいな部屋へと変わっていた。部屋のど真ん中には俺の記憶にあった「ベッドならこれ!」というやつを採用した、ト○ルースリ○パーのプレミアムなキングサイズベッドを配置してある。完全に寝心地を追求してみた結果、これだけで2000EPもかかったが後悔はない。そして部屋の一画には3畳程の小部屋を作り木壁を加工した檜風呂を作った。これには何か浪漫があった記憶があり、木壁の材質指定をした事で少し高くなり500EPもかかったが何故か「良い買い物をした」と感じた。
その後色々と生活必需品になりそうなナイフを鉄壁から作ったり、机と椅子を木壁きら作ったりとして100EPを消費した。そして最後に「コレだけは絶対に作れ」と本能が命じていたものを作った。これが1番高くて若干ダンジョン作成に使うはずだったポイントを使ってしまった。2500EP消費して手に入れたソレは掌に収まる長方形の鉄で出来てる感覚の物体だった。
『マスター…それはなんでしょうか?』
「いやぁ、俺もよくわかんないんだけどEPが高かったから多分俺の記憶にある謎の物体なんだろうなぁ」
部屋を作ってる時にコアさんが指摘してきて発覚したのだが、どうやら俺の記憶にあったり本能が命じたものを作ろうとすると通常のものよりもEPを多く消費することがわかった。もともとベッドを作ろうと思ったのもでかいベッドでゆっくり寝たいという思いがあったのだがそれが何故かプレミアムなキングサイズベッドになったのだから不思議だったのだ。その後風呂と長方形の謎物体を作った時に消費したポイント消費量の多さからもあながちこの予測は正しいものだと思える。
しかし良い買い物をしたと思えるものなのだからべつに良いと考えを切り替えた。
「使い方はさっぱりわかんないけど多分良いものなんだろうね。それより次は肝心のダンジョン作成だな!」
俺は思考を切り替えて本題のダンジョン作成をするために一度パチンと頬を叩き集中することにした。ここをミスれば俺の聖域も無になることがわかってるから否応にも真剣に取り組まなければならないからな。