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DM転生〜後に魔境と呼ばれたマイホーム〜  作者: 肝臓の支配者(ノンアルマスター)
2/4

理解



「ところで俺って人間なん?」


そんな疑問がふと口に出た。それにすぐさま返答を返してくれるコアはとでもいいやつだと思う。


『マスターはダンジョンマスターという種族です。形は人間そっくりになってますがマスターが任意で変更もできます。』

「え?じゃあ俺って犬にもなれるの?」

『なろうと思えばですが一応なれますよ。ただやってみればわかると思いますが何かと不便だと思います。』

「へぇ〜、じゃあちょっとやってみよ!」


コアに教えられるがままに俺は犬になれーと心中で念じて見たところ視線の高さがグングン下がって行きついには視線の高さが地上から30cmほどの高さにまで下がった。


「コアさんコアさん!俺今どうなってる?犬になった?」

『今鏡を作りますので御自分で確認して見てくださいませ。』


コアに尋ねると、コアがその体たるクリスタルの部分からニョキッと手鏡を生やして落とした。俺はそれをつかもうと手を出したが俺の手は灰色と白の毛をまとった可愛らしい子犬の手になっていた。


「ふぉぉー!手が犬になってるー!か、顔はどうだ?!」


テンションが上がりつつ手鏡を手に取ろうとするが手が犬なので掴むことができない。両手を使って挟もうとするも腕が短くて挟めない。仕方なく咥えてみたがこれじゃあ自分の体を覗くことができないと本当に使い勝手が悪いことに気づいた。

俺は結局コアの言う通りの結果になってしまったことに気恥ずかしくなり、無言で元の体に戻った。


『どうでしたか?』

「まぁこの体の方が扱いは楽だったな…」


なんとも微妙な空気を漂わせているがそれを払拭するために俺は部屋を見回した。


この正六面体の部屋は一辺が5mでできており、1人で生活するぶんにはなかなかに広い部屋になっている。

ただ何もない。真っ白な何もない壁。材質はいいところのデパートの綺麗なトイレーーハイドロセラというらしいーーで出来た無機質な空間になっている。

俺はこの空間を自分好みの部屋にするために模様替えを敢行することにした。


「なぁコアさん、模様替えをしたいんだがどうしたらいい?」

『マスター、何故私にさん付けをするのでしょう?模様替えでしたら私を握ってくれれば分かりますよ。』

「コア、だけだと言いにくくってな…。とりあえず握ればいいんだな?」


なんか呼び捨てってすごい言いにくい。特に2文字の個体の奴とかは言いにくさの極みだ。だから俺はそんな理由でコアさんと呼んでいるだけで特にさん付けしてる意味はない。

俺はコアさんを手の中で握ると眼前の空中に投影されるように文字が浮かび現れた。


「ん〜?なになに、ほー、なるへそ」


あらかた確認をしてなんとかなりそうだと判断出来た。

ダンジョンを拡張するにも何をするにもエナジーポイント=EPと呼ばれるものが必要なのだそうだ。このEPを消費することでダンジョン内でのあらゆる事が出来るようになるのだそうだ。


「でも俺EPなんて持ってないけどどうしたらいいの?」

『マスターがDM(ダンジョンマスター)になった時に特典として1万ポイントを所持しています。今回はそちらを使うといいでしょう。』

「そんなにあんの?!それって多いんだよな?」

『なんとも言えませんが低ランクモンスターなら100体配置できる程度ですね。』

「ふーん…ってモンスター!?そんなもんいんの?」

『……マスター。一度私にアクセスしてみてはいかがでしょうか?アクセスしてダンジョンに関する情報をアップロードしてみれば話がスムーズになるのではないかと考えます。』


EPなる謎物質を消費する事でダンジョン内でのあらゆる事が出来るということは分かったが、そもそもEPがなんなのかとかハッキリしない事ばかりでこの先不安になった時にコアさんからの提案はナイスタイミングな発案だった。

俺は又してもコアさんに促されるままにコアさんを握りこむ。すると頭の中に様々な情報が詰め込まれていく不思議感覚に悩まされることになった。こんな感覚はもう2度と経験したくはないと思うほどに鈍痛がひどかったとだけ言っておこう。

そうして数十秒か、はたまた数分か俺としてはとても長く感じた時間が終わり、思い出せなかった事がハッキリと思い出せたようなスッキリとした感覚がすると先ほどまでの鈍痛が消え頭の中が妙にクリアになった。


『いかがでしたでしょうか?だいぶこの世界のことが理解できたのではないかと思いますが。』

「そうだな。なかなか面白いなこの世界は。もしかしたら俺はこの世界に来た異世界人だったのかもしれない事も分かったしな。」

『マスターが元異世界人だったとしても私は何も変わりませんから安心してくださいね。』

「ふっ、随分人間味が出るようになったなコアさんも。」

『マスターがアクセスした事で私もマスターの精神に干渉しましたのでその影響かと思います。』

「そうか。」


コアさんが人間味を帯びた話し方になったことに少しだけ嬉しくなったが今はそれどころじゃないと頭を切り替え話をぶった切った。

この世界のこと。ダンジョンのこと。EPのこと。俺の知らなかった事を全て理解した俺は早速ダンジョンの模様替えを敢行した。


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