DM転生
なろうの小説を読んでると書きたくなる要素が多くて駄作ばっか描いちゃう症候群に陥ります。そんな感じの作品ですがどうぞ気軽に見てください
ジェットコースターで滑り落ちる時の臓物がひっくり返ったような浮遊感が体の中を駆け巡った感覚を覚えて目を覚ました。……覚ましたよな?
辺りは真っ暗でどうやら俺は地べたに寝ていたようだ。だるい身体に鞭打ち上半身を起こし胡座をかいてその場に座る。
ふと地面の感触が気になって触ってみた。サラサラしててデパートの綺麗なトイレみたいな床だ。とても座り心地は悪いな。ただひんやりとして気持ちいいだけのただの床だ。
床の感触を楽しんでいると次第に視界に入ってくる情報が増えてきた。先ほどまでは真っ暗で何も見えなかったのにだ。目が慣れたんだろう、と当たりつけて周囲を見回してみる。
真っ暗な部屋に月明かりがカーテン越しに薄っすらと差してる程度の光源だが、先ほどまでの暗さよりは幾分かマシに思えた。
「何もないな…」
一面タイルの正六面体の箱の中にいるようだな。
おもちゃにでもなったかのような錯覚に陥るが、この状況を説明できるヒトがいないからどうすることもできないと諦めた。
俺は立ち上がり周囲を見回すだけでは飽き足らず歩き回って壁の材質などをみて回った。
壁も床と同じ感触だったことから同じ材質できていることがわかった。
そうして壁を触っている時だった。床の一部分が青白く光った。俺はその光源がこの空間においてはごく自然なものだと"知ってた"ようにその光に向かって行った。それは床にはめ込まれているクリスタルのように見えた。意を決してクリスタルに触れるとブワッと風が吹いた。咄嗟のことだったので俺は腕で顔を覆い隠してそれに耐える。しばらくすると風が収まり腕を退けて目を開くとそこには直径20cmほどの楕円形を尖らせた形をした青白い光を放ち続けるクリスタルがあった。俺はそれに手を触れた。
『おはようございます、マスター。』
それは抑揚のない無機質な声だった。まるで携帯のsariに問いかけた後の返答のような声で挨拶をされた。その声に俺は返事もできずにそのクリスタルを見ることしかできなかった。
『私はこのダンジョンの核です。あなた様はこのダンジョンの主人です。マスターはこのダンジョンと一心同体となりました。』
その機械的な声に俺は思わず返答する。
「マ、マスター?それに一心同体って?」
疑問符は大量に浮かぶがこの状況に全くついていけてない自分と、当然のように受け入れている自分がいた。
『この部屋が今現在のマスターの部屋でありダンジョンとなります。マスターはこのダンジョンを好きなようにしてください。広くするもよし、部屋を分割するもよし、従魔を従えるもよしです。』
ちょっと落ち着け俺…
ファンタジーな要素がどうにも多くて頭がパンクしそうだぞ。ダンジョンって言えば物語に出てくる迷宮とかそう言ったもののことだよな?それがこの正六面体の部屋のことなのか?
『マスターの考えている通りです。付け加えるとするならば外界の生物は時としてダンジョンを滅ぼします。このダンジョンの核が壊された時にはダンジョンマスターである主人も死ぬことになります。』
つまりはそういうことなのか。
物語のテンプレなんだなその辺は。…ん?
「どうして俺の考えていることがわかったんだ?」
『マスターは核であり、核はマスターでもあるのです。いわば一心同体なのでマスターの考えは手に取るようにわかります。』
そこまで聞いて俺は思考する。
2人で1人ってのは並列思考とかでカッコいいが、実際やってみるとそうでもない上にちょっと嫌悪感があるな。そのことを伝えてみようと思うとコアが『ですが…』と言葉を紡ぎ出した。
『ですが、その辺は変更可能です。時にはそうしない場合の方が良い場面がありますからね。』
つまりは設定を弄れるって事だな。
「それは今できるのか?」
『もちろん可能です。マスター、私を手に取り目を閉じてください。』
俺はコアに言われた通りに目を閉じた。するとまるで妄想する時にまぶたの裏に出てくる映像のように設定画面が出てきた。大量の項目があったがコアに指示されるがままに設定を弄っていけばなるほどこうゆうふうになるのだと体感できるようになった。
今回俺が弄った項目は一心同体の部分の詳細設定だ。
コアが破壊されると俺も死ぬという項目は外さなかった。これを外してしまうと俺の思い通りの改造ができなくなるデメリットが発生するとコアが教えてくれたからだ。
次に「俺がコアで、コアが俺」となるかなとについては完全に外して、俺は俺、コアはコアの思考を有することに決定した。
その後も設定を弄った結果、俺とコアはある部分のみ共有するものがあるが、個人の権限は個人が持つように設定を施した。そうすることで俺が完全にダンジョンの権力を持つことができるようになり、コアは俺の命令が無いと動けないようになった。
「本当にこんなにコアが雁字搦めになっていいのか?」
設定をいじる時俺はほとんどコアの言いなりになっていた。結果としてコアの権限が最初よりも少ない状況になったために出てきた言葉だったのだがコアはその無機質な声のくせに鼻で笑われた感覚に陥るかのような言葉を発した。
「私はその程度で大丈夫ですよ。」
何やら偉そうに聞こえたので俺はそれ以上追求することはしなかった。
『ではマスター。これからもよろしくお願いいたします。』
「あぁ、わからないことだらけだが手助けしてくれ。」
そう言って俺はコアを強く握り握手のようなことをした雰囲気になった。