ユート旅立つ
いい所…それは法律的にやばくないだろうか、でもこの距離、神様の吐息やばいよ。
絶対この神様わざとだよね?ね?絶対そうだよね?!
こんなのロリコンじゃなくても耐えられないと思うのですが。
「ふぅ…っ」
「はひぃぃぃん」
優しく暖かい風が裕翔の耳穴を撫でるように吹き抜けた。
「ぷっ…ぷぷぷぷ…!なに顔赤くしてるんですか…あー、おかしい」
神様は腹を抱え笑いながら自分の椅子に戻った。
裕翔は恥ずかしさと苛立ちでプルプルと下を向いて震えていた。
「いやー、案外変態さんなんですねー。あれ?童貞のまま死んじゃったからですか?」
幼女とは思えないネタと煽り方だな。
今どきの神様ってこんなものなのかな。
「私は何もキミが自殺するのを止めたかった訳じゃないんですよ」
「じゃあ一体…」
「と言っても、今キミは死んでる状態なんですけど」
「は?!」
「そんなに驚かなくても、ちゃんとメールで伝えたましたよ?命お借りしますって」
「借りるって、もろ頂戴されちゃってるんですけど!?」
「安心してください、いい所にちゃんと案内してあげますから」
だからそのいい所ってなんなんだよ!あからさまに怪しすぎんだろ!
「キミはニートしてたということは当然RPGゲームとかをした事があるんですよね?」
「そりゃまあ、少しくらいかじってたけど」
少しじゃない、ガッツリだ。
「なら話が早いですね。これも簡単なゲームですよ」
「ゲーム…?」
先程から淡々と話が進んでるようにも見えるけど、実は裕翔はあまり理解出来てない。
「キミには冒険者ユートとして第二の人生を、グラン=イルで過ごしてもらいます」
神様は口元は笑っているが真剣な眼差しで言った。
冒険者…?グラン=イル?
裕翔にはさっぱりな言葉がズラっと並べられたが、それを理解する暇も裕翔には与えられない。
「ちょ、何これ」
裕翔の身体が光に包まれていた。
「楽しんで来てください、あの世界はきっとあなたを満足させてくれるでしょう」
そう言い放った神様の姿は先程までのロリ姿ではなく、綺麗、まさにその二文字がお似合いの可憐な女神の容姿をしていた。
「そして…私を楽しませてくださいね、冒険者ユート。私の名はアテナ…私の名に恥じないように頑張ってくださいね」
彼女が言い終わった頃には裕翔の姿はそこにはなかった。