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Promise―桜色の約束―  作者: 吹雪龍
第5話「トップチームの実力!」
158/160

「トップチームの実力!」19

*****


「つ、疲れた……」


 ぐったりとした様子でベッドに倒れ込む護。スーツのままであるが、着替える気力も残っていなかった。約三時間にも及ぶ新規教育をどうにか乗り切り、漸く解放されたのだ。

しかし、そんな状態でありながらも先程受けたものを頭の中で整理してみようと試みる。

まず、今回護に与えられた仕事は身辺警護。要はリサのボディーガード、もしくはお付きの人という立ち位置である。

世界的に有名な彼女は当然狙われてしまう。マスコミやらアンチ、それから熱狂的なファンにも。様々な障害から彼女を警護する必要がある、という事でのボディーガード役という訳だ。

無論専門的な警備は『研究所』側からも配備されるらしいが、目に見えるものへの対応は護を含めた黒服の彼女たちに一任されているのだとか。


(あ、名刺……折れてないね……)


 それからみっちり叩き込まれたのはビジネスマナーと呼ばれる類。挨拶の仕方から電話対応、報告書の書き方など。必要なのかと聞かれれば恐らく無いのだが、覚えておいて損は無いだろうという護の判断だ。

そしてその皆伝の証として貰ったのがこの名刺の束と、革製の名刺入れ。胸ポケットに入れたまま寝転んでしまったので折れてしまっていないだろうか、と取り出してみたのだが幸いにも無事だった。


「僕に出来るのかなぁ……」


 込み上げて来るのはそこはかとない不安感。表立って何かをするという役割でもないが、それでも世界的なアーティストの警護という大役だ。普通の高校生が果たせる仕事ではないはず。

しかし、周りを思い返してみると女性しか見受けられなかったような気がするし、それで完遂出来ないのも一応持っているプライドが刺激されてしまう。


「あ、無線は繋がってるんだ。連絡しておかなきゃ……」


 逃げる訳にもいかないが、自信は起きない。残念ながら果敢に進んでいけるタイプではないのである。

そして思い出したように立ち上がり、携帯を確保。外では電波が届いていなかったが、どうやらこの建物内だけはネットの使用が可能なのだとか。一切出来ないとなると仕事が滞る、ともっともな理由だ。


「っと……すごい数の通知……こわいなぁ……」


 普段はあまり鳴る事のないこの携帯。そこに表示される電話なりメールなりの通知数、迷惑メールも当然混ざっているが、それらを抜きにしても五十件程。恐る恐る中身を開いていくと、特定の人物からの連絡が多いようだ。


「真美ちゃんと会長……なんとなく想像は付いてたけど。返さなきゃね」


 義妹の真美と、聖羅であった。

 まず真美の方であるが――

『なんでお兄ちゃんリサと居るの!? なんかよくわかんないけどサインありがとう!! 本物? 本物だよね!? いつ帰ってくるの?』

――状況はどうでも良いらしく、直筆サインを貰った事に対するハイテンション、それからほんの僅かだけ護を心配しているかのような文言。

 次に聖羅。こちらは大分淡白な反応だ。

『紅野くん、連絡が出来るようになったら早めにお願い。とにかく状況を整理したいから。あ、ついでにサインだけはありがとうって伝えておいて』

基本的には護からの情報入手がメインのようだ。それもそのはず、いきなり目の前で誘拐紛いの事態が起きてしまい、混乱してしまっているだろう。


「……んー」


 たとえ時間が掛かっても、長文になっても律儀に返信するのが護の性分。ゆっくり、じっくり考えながら文章を構成していく。面白みなどは気にしていないし、ともかく伝えるのが最優先だ。



*****

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