「トップチームの実力!」13
(この力が……この力があれば、必ず――!)
次第に収束しつつある炎の中、微かに残っている骨組み。前身が何だったのか窺い知れない姿と成り果ててしまった。これには作ったであろう『研究所』の人間も肩を落としているだろうか。
それとも護の力に興味を持ってしまったのかもしれない。
そんな中、リサは抱きかかえていた聖羅を放すと拍手をしながら護へと歩み寄っていく。満面の笑みで。揺れる胸元に目線を送ってしまいそうになるが、当然ながら護はそういう事には疎いのであった。
「Excellent!! これに限るわ! 素敵! この子はこんなになっちゃったけど……そんなのはどうでもいいわ!」
横には煤こけて灰になりかけのロボ。今更になって名前が気になるところだが、彼女が言うようにどうでも良いのだろう。こうなってしまっては名前も何も無い。
「あ、ありがとうございます……」
褒められるのは悪くなかった。それに自分の中に渦巻く能力を少しだけ制御出来たような気がして――あくまで形状。出力には目を瞑るしかないが――、気分が良い。
すっかり紅さを失った瞳でリサに向き直る。本当に嬉しそうな顔だ。いつも笑顔を湛えている彼女の中でもとびっきりのものなのかもしれない。
「はーい、こっちに来てネ~。そう、そこ!」
そんなニコニコ顔の彼女が護を手招き。特に断る理由も無いし、と考えなしに近付くと――
「……!?」
――頭をロックされた。ヘッドロックだ。しかし、技の名前であるはずなのにまったく痛くない。むしろ心地が良いくらいだ。柔らかいのに弾力もあって、甘い香り。これは、一体――
「ちょっと! ストップ、しなさい……です!」
その答えを得る前に、護は解放されたようだ。耳元で弾けたのは聖羅の紫電。狙いはリサだったのか、それとも護か。どちらにしろ攻撃性を秘めていたように思える。
「いいじゃないスキンシップよ、スキンシップ。日本人に足りないものヨー」
「郷に入っては郷に従うんです!」
「え~ところで、なんであなたの顔が赤いの? Why?」
「気のせいです! ともかく、離れて……!」
何故か必死に護を引き離す聖羅。肩に爪を突き立てるようにしているようで従わざるを得ない状態だ。力に逆らわず、足を取られながらも後退。ふと聖羅の横顔を覗くと、何故か朱が混じっているようにも見えたような、そうでもないような。
「えっと、リサ、さん。これで実力を見るっていうのは……終了って事でいいんですよね?」
十分な距離を取った上で、更に護を庇うようにしながら問いかける。ロボも完全に破壊したし、これ以上は護の体力面も危ないのではないだろうかという懸念もあるからだ。
「ええ、もちろんっ! こんなにすごいなんて思わなかったわ……だからお願いがあるの」
「お願い……?」
何やらもじもじと、恥らうように彼女は口にした。
恐らくは、ここに来た目的を。ここまでした理由を。
「その子、ワタシにくれないかしら?」