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Promise―桜色の約束―  作者: 吹雪龍
第4話
128/160

「CODE:紅蓮」28

「そうよね。当然の答えだけど。それでも結構嬉しいものよ?信頼して貰えているっていうのは。滅茶苦茶やってる、って言うのにね」


 護と男の間に迸ったのは紫電。降り注いだのは凛とした声。護からしてみればこちらの方が“救世主”だった。


「チッ……どうやって入って来た?ここは完全に隔離されてるはずだぜ?しかもお前らも知っての通り、冗談みたいに硬いんだぞ」


 まさに雷光の如く、二人の間に割って入ったのは聖羅である。いつにも増して体から溢れる紫電が多いようにも見えた。


「簡単よ。脱出用に穴でも開けてたみたいだし、そこら辺にある鉄骨?あるじゃない?あれを穴に向かって飛ばすでしょ?それにくっついて行けばいいのよ」


 護の耳にはそのような轟音が届いていなかったが、何とも恐ろしい手段だ。あの電線高速移動よりも物騒な移動方法に護は身を振るわせようとしたが、痛みでそれもままならない。しかしそれでも、不思議と心が軽い。


「なんだその人間砲弾……それに穴なんてのは知らないが……しっかしまあ女だってのに良くスカートでここに来るよな」


「なに?変態さんなの?」


「残念だが。お子様体系には興味がな――」


 男の仮面の真横を過ぎ去り、背後にあった扉を破壊し、出来掛けの棟屋をへし折る紫電の一閃。今まで見た中でもかなりの力だ。


「ごめんなさい?今日はちょっと加減出来ないかも。紅野くんは頑張って物陰に隠れててね」


 言うが早いか一蹴りで間合いを詰め、紫電を纏わせた掌で男の腹を打つ。流れる動作で体を滑り込ませつつ腕を掴み、足を払う。まさに迅雷の速度。自分よりも体格の良い男を投げ飛ばそうとしているのだ。体術と能力の駆使が聖羅の戦い方である。

 足が地面から離れる。正直に言えば今の攻撃には目が追い着いていない。だが直感が告げている。能力の使い時であると。


「ほとんど力技じゃねえか……!ホントに女かよ!」


 瞬く間に投げられ、逆さまの世界を見ながら悪態を吐く。三度の強風。一度目で体勢を制御。これで無様な格好で地に落ちる事は無い。二度目、着地の衝撃を殺しつつ足止め。三度目だ。先の二つよりも強烈で、殴りつけるような痛みすら伴う爆風。手摺りをひん曲げ、床を抜く。今度はこちらのターンである。爆発的な圧力で飛び上がり、薄暗い太陽を背にしマントを靡かせ、風を放出しながら急降下。こんな事もあろうかと黒いブーツの爪先には鉄板が入っている物を選んである。まるでテレビの中のヒーローの如く強烈なキックを繰り出せるのだ――


「能力者にそういうの、通用しないから!」


 目晦ましらしき風にスカートを押さえる事もせず、襲い来る攻撃に対して体を向ける。一点集中。まるでミサイルのような両脚を睨み、拳を握る。ぶつけるのだ。能力を。速度には相当の自信がある。勿論威力にも。それは向こうも同じだろうか。

 全てを吹き飛ばそうとする烈風を身に纏い、全身全霊を懸けての蹴り。


「止められるとでも――!」


 風で髪が乱れる。体も投げ出されそうになる。だが、ここで押されては信頼された“先輩なかま”としての示しが付かない。


「止めるわ!この“招雷”で!」


 ――衝突する。エネルギーの塊が。

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