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日雇い魔王の災難  作者: 西谷東
一章
8/42

正義とは

「よかろう、エンリルの左目ごと妾のコレクションにしてやろう」


腰に手を当て、シルシュは偉そうに言う。


「ノーカウント、ノーカウントだ」


ユストが騒いでいると


「ほう、オスでありながらメスの快楽を味わいたいと?」


また、竜語で地雷を踏んでしまったようだ。


「妾の力で、魔改造してやろう。素質はある、眼帯が玉に瑕だがな」


ユストは首を横に振りながら


「オ、オレは性別を変える趣味はない……」


「ユスト様、契約書の事をお忘れなく」


メルの言葉に


「ミンチの呪いがあったか」


ユストは頭を抱える。


「人間と純悪魔という珍妙なコンビだと思っていたが、契約していたのか」


肩を竦めたシルシュの言葉に


「え、メルさんて、純悪魔?」


メルはキョトンとした表情で

「あれ、言ってませんでしたっけ」


そうなると、必然的にメルの父親も純悪魔。


金に釣られて、よく分からない契約をしたのが運の尽き。


「ユスト様は、我が父と日雇い魔王契約をしておりまして、この村を滅ぼさないとミンチになってしまうのです。その場合、シルシュ様との結婚は……」


シルシュは頷くと


「では、妾の力で」


「待て、待て、それ以前に婚約したつもりはない」


ユストは、シルシュを止めた。


「この村を滅ぼす権利は、誰にもないだろ」


気を失い、リモナに介抱されているログに視線を向ける。


「魔王にも、そして勇者にも」


「ユスト様、どうするつもりですか?」


メルに問われ


「力で滅ぼせって、限定はないだろ」



















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