竜シルシュ
「妾は、珍しいモノやキラキラしたモノが大好き」
竜の巨体は眩い光に包まれると
「小僧、その左目をよこせ」
ウェーブのかかった緑髪をサイドテールに結んだ、美女の姿になってシルシュは地上に降りた。
服……と言っていいのかは分からないが、面積の少ない黒い布を巻いた程度。
歩くたびに揺れる豊満な胸は、健全な青少年の理性を崩壊させた。
「ぶはっ」
鼻血を吹いて、倒れるログ。
「ログ様、しっかり」
リモナが、慌てて支え起こす。
(マズイですね……これでは)
アリスの時と、同じ現象になりかねない。
メルが横目でユストを見ると
「……」
美女を目の前にしてるというのに、ユストは残念なモノでも見るかのような哀れみの目。
「ユスト様は、もう少し食いつかれると思いましたが……」
「メルさん、あんたも竜の鱗をみただろ」
「ええ、とても頑丈そうでしたね」
メルが頷く。
ユストはシルシュの胸を見ながら
「あいつのオッパイ、堅そうじゃん……」
「はあ……」
基準がよくわかりませんが、とメルが言う。
「フフ………可愛らしい顔をして、立派なオスのようだな」
シルシュは、自分より頭一個分低いユストの前に立つ。
そして、メロン二個分の胸をユストの顔に押し付けた。
「むぐっ」
(これで、小僧は妾の言いなり……)
シルシュは唇の橋をつり上げると
「さあ、左目……エンリルの目を渡せ」
その言葉に、メルは眉を寄せる。
「シルシュ様、貴方はどこまで知って……)
「ぷはっ」
メロン二個分の谷間から、ユストは顔を上げる。
「窒息したら、どうするつもりだ! このババア!!」
「え………ババア? 妾のことか?」
シルシュは、ほんのり頬を赤く染める。
「むぅ、大胆な人間もいたものよ」
「き、急にどうした?」
「あー、その……」
メルは頬を掻きながら
「竜語で、ババアとは婚約を申し込むという意味がありまして……ユスト様は、シルシュ様に熱烈な愛を叫んだことになります」
「ナ、ナンダッテ?」
メルは、ポンとユストの肩を叩く。
「竜の嫁をGETして、村を滅ぼす。ユスト様は、頭脳プレーも得意なんですね……ププッ」
後半は、笑を堪えるのに必死。
「こ、この悪魔め……」