シルシュの婚約者
「お姉さん、カワイイね。どう、安くするよ」
気前のいい店主に声をかけられ
「今日のオススメは、何かしら?」
ケースを覗いた女性は、七色の昆虫見て顔を青くする。
「いやあああああっ」
逃げ出した女性の後ろ姿を眺め
「スミッコスカラベ美味いんだがなぁ……」
結局売れたのはコック帽のお城さんだけ、と呟いた。
「クエレブレ!」
聞き覚えのある怒声に
「あ、シルシュ様、お久しぶりです」
バンダナを取り、玉子の黄身のように濃い金髪を露わにするクエレブレ。
「ここで、何をしているのだ」
眉を寄せるシルシュに
「何って、商売ですよ。シルシュ様が里を出られてから全然戻って来ないから……商売しながら、探そうと思いまして。あ、人間にはスミッコスカラベ不評で」
あまりうまくいってない、とクエレブレは語る。
「それに、ボクの大切な婚約者でもある。そろそろ、ババ様を安心させてあげるべきでは?」
シルシュは鼻を鳴らすと
「フン、お前との婚約は取り消しだ。妾には、ユストと言う婿がいるのだ」
「おい、ユストって何処の竜族だよ!?」
クエレブレは顔を顰める。
「ユストは、人間だぞ。妾に婚約の証として、これをくれた」
そう言って、1リーデコインを見せる。
「人間がねぇ……お前が、惚れたならそうとう強いんだろ」
クエレブレは、肉食獣のような凶悪な笑みを浮かべると
「食い殺してみてぇな」




