ディオラシスの鏡
「そういえば、ここって島だよな」
移動する手段はあるのか? とユストがレーヴァテインに聞くと
「とっておきがございます」
そう言って、大きな鏡の前に案内する。
「む、これは魔王専用のエレベーターの前にあった鏡だな」
シルシュが言う。
「こちらは、ディオラシスの鏡(大)です」
「ほう、大があると言うことは小もあるのか?」
シルシュの質問に
「ツッコむところは、そこなのか……」
ユストは肩を竦める。
「ありますよ。こちらは、帰還用にユスト殿が持っていてください」
レーヴァテインから、ディオラシスの鏡(小)手鏡を渡された。
「あるのかよ……」
ユストは、コートのポケットにしまう。
「で、どうやって使うんだ?」
「横の方に、メニューボタンがあります」
レーヴァテインが、ディオラシスの鏡のメニューボタンを起動させる。
この鏡には、大陸情報が記憶されていますのでボタン一つで何処にでも行けると説明。
「……」
呆然としてるユストを横目に
「どうしたのだ?」
シルシュが聞いた。
「いや、ちょっと魔王っぽいかな……って思って」
「そうだな、どこにでも行けるとは奇妙な鏡だな。あのうさぎ男が作っている、魔術道具みたいなものではないか?」
「うさぎ男って、フィルさんのことか……」
レーヴァテインはユストの肩に止まると
「どうですか、魅力的でしょう。このさい、ドーンと魔王になってみては?」
「その話は置いといて……好きな所行けるって言われても」
なんとなく、初めての町は押すのに不安がある。
「ユストも妙な所が繊細だな。よし、ここは妾が……」
美食の町エスティアトリオを選択した。