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苦味と私。

作者:尖角

担当月:2月

ジャンル:恋愛

作品キーワード:バレンタイン 失恋

「苦しい」と先に言ったのはどっちだったっけ?


過去の話すぎて、もう覚えてなどはいないけれど、


どちらにしろ、その言葉が私達の間を決定的に引き裂いた。



心から好きだった。 だから、勇気を振り絞って告白した。


「あなたが好きです」 「私と付き合ってください」


その声は、不安に怯えていた。 だけど、心があった。


しかし、今はどうだろうか。 お互いの心は別々。


あなたは、「俺も好きだったよ」と受けて入れてくれたのに。



いつの日のことだっただろうか?


あれから、どれくらいの月日が流れたろうか?


覚えてはいないし、具体的にまで思い出したくはないけれど、


私とあなたは喧嘩した。 付き合ってから初めて喧嘩した。



それまでは、好き同士だったら以心伝心だと思ってた。


それが当たり前で、だからこそ恋人でいられると思っていた。




だけど、現実は違う。


私達はテレパシーなど使えない。


頑張って相手のことを考えたところで、そこには限界が。




私はどんどんと離れていくあなたを見ていることしかできなかった。





喧嘩別れをしたまま、やってきたバレンタイン。


喧嘩から1ヶ月近く経っていたのに、お互いに連絡はなし。


何処かですれ違うことがあったとしても、目は合わせない。


そんな日が続いていた。  私は部屋で繰り返し泣いた。



きっかけさえあれば。  私はそう、思っていたんだけど。






だけど、私が手作りのチョコレートクッキーを、


あなたの家まで持って行った時、心が引き裂かれる音がした。



すでにあなたの隣には、違う人が。


私じゃなく、もっともっと可愛い別の人がいた。



ビリッと心が引き裂かれるような。


グシャリと心が握りつぶされるような。


そんな音を君は聞いたことがあるだろうか?



私はある。  あなたに振られたあの時に。






私はあなたが好きだった。


だから、仲直りしたくて、クッキーを焼いた。


今までに料理なんてしたことはない。


だけど、きっかけだと思ったから。



だから、私はバレンタインのために本を買った。


~初心者でも成功するバレンタイン~という本を。



だけど、それも無意味だった。


私の目にあなたが入った瞬間、


クッキーが入った袋は地面に落ち、そして中身は割れた。




すぐにでも、泣きたかった。


だけど、ここじゃ……そう思って、堪えた。



しかし、クッキーを拾うことは忘れていた。



そんなものを拾うよりもまず、その場から逃げたかったから。





苦しかった。 苦しかった。


何も言わずに私から離れていったあなたを見て。



きっかけなんてなくったって、素直にごめんって言えてれば。




今とは違っていたのかな? あなたはまだ、私といたのかな?








そんなことはわからないけれど、 私の顔は濡れたまま。



















3月はアイリさんです。 では。

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