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鳥頭な上官と僕

『そっちは皆、配置に付いた?』

『まだだ。こちら側の兵士が全員揃っていない!』

『わかった。だったら適当な頃合で僕がいうから、そうしたら作戦通りに頼むよ?』

『俺に命令するんじゃねぇ! ってまぁ、今はそんなこと言っている場合でもないし、了解した』

 そうして、エイラから渡された通信機を介してでの、僕とジョナスとの交信は途絶えた。

「あんた、大丈夫なの?ちゃんと天授連邦の軍にあれだけの作戦立案時間で、勝てるんでしょうね?」

「まぁ、立案時間といったってそんなに元からあるわけではないだろうし、別に今の戦況と地の利を把握できたから十分さ。それに、その天授連邦という国がどういう国なのかは知らないけれども、この戦いは絶対勝てるよ。それだけは確信を持って言うよ」

 と、僕が胸を張って言うと、エイラは、僕を見てから溜息をついて、

「全く。その自信はどこから来るのよ? というか、だいたいねぇ、天授連邦を知らないなんて、あんたは、どこの生まれなのよ?」

 そう言われば、そうだった。僕は何で、こんな早くこっちの世界に慣れているんだよ。おかしいだろ。

 いや、慣れたんじゃなくて、気が動転しているんだな。

 さっきまで戦争ゲームやってて、途中で眠くなって、目覚めたときには異世界。しかもそこで軍人美少女に出会って無理言われて、出来なかったら処刑。

 ……うん、そりゃ、現実逃避したくなるわな、これは気が動転どころのレベルじゃないよ。

「というかここってどこなのさ……」

「私の話聞いてた!?さっき私が質問してたんだけど!」

「あぁ、そうだっけ?ごめんごめん。僕、記憶力が悪くてね……」

 元の世界にいた頃はそれで散々馬鹿にされた。というか、今ほど同世代とは会話していなかったためかなりコミュニケーション能力も落ちている。

「もう記憶力が悪いとか言う問題じゃないと思うんだけど……って、そんなことはどうでも良くて、私はあんたに聞きたいことがあったんだけど……何だったけかな?」

「……えぇっ、君のほうこそ記憶力悪いじゃないか。それで良く僕のこといえたな……」

「仕方ないでしょ! 私は、過去は振り返らない主義なんだから。それに私の頭は戦略と、演説、この二点ばかりを叩き込まれてきたんだから。頭の容量がそういう方面には残されていないんだから!」

「それにしては惨敗しているみたいだけど……」

「何か言った?あんた斬られたいの!?」

 と、エイラは僕に、女の子とは思えない、阿修羅もかくやといった表情でそうすごんできたので、僕は

「君、人の上にたつ人間なんだから、もうちょっと気を長くもとうよ……」

「誰のせいでこんなに私が柄でもなく怒っていると思ってんのよ!」

 それで柄でもなく、なのか。

「さぁね、別に興味もないけど……ところで、君が学んできたその戦略とやらはどういうものなの?」

 今度は僕は逆にエイラにそう質問し返した。彼女は肩透かしを食らったといわんばかりにため息をついた。ただ、僕は話の種としてそんなことを聞きたくなったのであった。

 だって、そこまで、戦略とやらを叩き込まれていると豪語するのであるのであれば、普通はこんな戦、造作も無く勝てるはずであるのに、ここまで苦戦しているとはどういうことなのか気になったからだ。

 と、エイラは僕が冷静にそう聞くと、先ほどまでの威勢はどこへいったのやら剣にかけていた手を、話急にその場で思案顔になり始めた。

 えっ?戦略を脳の要領余すところ無く叩き込んだんだじゃなかったのか?僕は、ずっと黙りこくるエイラを見つめ続けた。

 エイラはときたま僕のほうをちらちら見ながら、無言を貫き通した。その顔色は決していいものではなく、グレンガリー帽で掻き分けられた髪から覗く額からは大きな玉粒の汗が流れ落ちていた。

 そうして時間がどれくらいたったのか、僕はついに耐えられなくなってその空気を打ち破るかのように口を開いた。

「で、どうなの?」

 エイラは、僕の声が聞こえているはずなのに何も答えなかった。それは誤魔化しか、はたまた、本当に馬鹿なのか。

「どうなの、って何が?」

「最初に言ったじゃない。あんたはどこの生まれなの、って?」

「いや、異世界だけどもさ……」

「イセカイ?そんな国この世界にあったかしらね?」

「いや、別に異世界は国の名前じゃないよ。僕がうまれたのは日本って言うところなんだけど、今はそこじゃなくて、問題なのは僕が質問したことには答えてくれやしないの?」

「……」

 僕は黙ってじっと彼女の顔を見つめる。そうして今度は先程とは違い、即答してくれた。

「か、考えているうちに質問の内容忘れちゃったのよ!わ、悪い?」

 いや、そこまで居直られると逆に清清しい。でも僕は苦言を呈さざるを得ない。

「君さぁ、相当重度の鳥頭患者だね……」

 今度は、エイラは僕がぼそっと言ったその一言を聞き逃すことは無かった。

「何、その鳥頭って? なんか言葉のニュアンス的にあまり良い意味じゃないような気がするんだけど」

 僕は、そこで正しい意味を教えようかとも思ったが、自分で自分を否定するのもなんか嫌だし、それ以前に僕自身も元の世界にいたとき、記憶力の悪さだけには定評があって、一時期他のクラスメイトから、バード八雲、と揶揄されたこともあったぐらいだった。

 社会のテストでは単語系はからっきしダメ。というより授業において、先生の質問に全く答えられないのだ。しかもそれは全てその日の授業、ひどいときは5分前に言ったことすらも覚えちゃいない。

 と、色々ややこしいことを言ってしまったがとどのつまり僕はエイラのことをとかく馬鹿にする権利なんて無いのだ。

 まぁ、僕、覚えるのと人の話を聞くのは苦手なんだからなぁ……人が話しているときによく自分の世界に浸っちゃっているんだよね。

「鳥頭、っていうのは、……うん、そうだ。鳥の(かしら)と書くだろう?だから、そこから意味が派生して出来たんだよ。まぁ、大らかで皆をまとまるのに長けた、常に先頭を行くものって意味だね」

 僕は、即興で思いついた嘘をエイラに言った。これで信じるか信じないかは彼女次第なんだが……。

「あんたなかなか舌先三寸な男ね。しかも人を褒めるのだけは口達者なようで。 別にぃ、私は嬉しくなんてないけど、その語彙力の高さは褒めてやらないことも無いわね」

 うっわ。こいつ真性の馬鹿だ。僕は目の前で明らかに照れる様子を見せながら、髪を手でいじるエイラを見てそう思った。

「と、私をそんな誉めそやしたって私は、騙されないんだから! とにかく私の質問に答えなさい!これは上官の命令よ!」

 いつから僕の上官になったんだよ……。つか誉めそやしているんじゃなくて馬鹿にしているんだよ。そしてその時点で既に僕に騙されているよ……。

 しかし僕はそういいたかったけれども言ったところで何にもならないし、それ以前に僕の命が一刀の元に露と消えかねないので素直に答える。

「僕は、ここに来る前、この軍と、相手の、その天授連邦だっけ?、その軍との戦いぶりを見ていたんだよ」

「へぇ?それで?」

「で、僕は、皆が死んでいくのを見て、最初の方はずっと怯えていたんだ。そりゃそうだよ。だって人があんなに目の前で無残に死んでいくんだもの。それは許して欲しい。でも、その代わりと言ってはなんだけど僕は気付いたんだ。この戦争に僕が勝てると言ってる根拠をね」

 僕は、そこまで言ってから、一つ咳払いをした。

「それで、それが、何かって言うと……」

 と、僕が言いかけたところで、突然、けたたましいベルが僕の首にかけた通信用のヘッドホンから鳴り響いた。

 それは僕がジョナスたちに戦闘準備が完了したら鳴らすように言った合図のようなものだった。

「ちょっと、何この音、うるさすぎるから、止めなさい!」

 痛いな。わかったわかったから、止めるから!頼むからグーで本気で殴るのだけは、やめて欲しい。

『ジョナス、もうベルは止めてくれ。あんたの上官が五月蝿くてお困りのようだから』

『俺を名前で呼ぶとは何事だ!貴様。まぁ、エイラ上官がお困りなら、止めるが』

 こいつはなんだかんだいって僕につっかかってくるが、かなり良識があって、空気が読める男であった。

『右翼と左翼に対戦車砲師団三二門。中央に道を開け、やや後方に戦車部隊三五基を縦一列。そして歩兵部隊は半分はそれぞれの対戦車砲につき残り半分は戦車の後方に並べておいた。これでいいな?』

『完璧だよ。そうしたら対戦車砲部隊が先行してくれ。それに続くように戦車部隊と歩兵部隊も。決して列は乱しちゃダメだよ』

『わかった。それじゃあ、エイラ様に変わってくれ』

 と、突然ジョナスは、それまでとは打って変わって上に立つものらしい厳粛な声で俺にそう言った。

『どうしたの?彼女に何か愛のメッセージでも伝えておきたいの?ほら、あの俺、この戦争終わったら、結婚するんだ的な死亡フラグのやつ』

『違うわ!そのシボウフラグだか何だかは知らないが、絶対にそれは違うとだけは言えるわ! ……そうじゃなくて、上官の戦闘出撃命令だ。参謀の貴様などではなく、この軍を取り締まる軍団長エイラ様にやってもらうことで我々の士気は上がるのだ。だから早く変われ』

『わかった』

 と、今思い出したが、確かに小戦略でもそういうのはあった。ええっと、何だっけな……あぁ、そうだ、味方軍が劣勢のときに使える特殊カードに長官の激励っていうやつがあった。

「なぁ、ジョナスがあんたに戦闘命令を出して欲しいと言っているぞ?」

「わかった。どうやって言えばいいの?」

「このヘッドホンを耳に当てて、この機械のこの部分をこうやって、こうして……ほら、出来たから、ここから声を発すれば、味方に伝わるから」

「……あんた、さっきから思っていたんだけど機器の扱い方上手すぎじゃない?さっき一回私の部下に教えてもらっただけでもう自分のもののように使えるとか何者なの?」

 いや、確かに僕も自分で不思議だと思っている。こんなに僕は物覚えがいいほうだとは思っていなかった。だって鳥頭だし。

 と、エイラは、もうしゃべらなくなった。その僕が渡したヘッドホンを耳に付けている横顔は、覚悟を決め、ただ何万人もの兵士の命をその肩に背負っている上官そのものだった。

 そしてそれはいやおうなく作戦を立案した僕にも緊張感を、覆いかぶせてくる。

 これはゲームなどではなく、本当の戦争。ゲームのように遊び半分で、作戦という賭けで人々の命を賭け金のように取り扱って良い訳がない。

 僕は、今自分が持てる限りの知能とゲームで得た戦略眼を信じるしかない。

 エイラは、僕をじっと見つめて、その表情を引き締め、前を向いて力強い声で、命令を繰り出した。

 

 『我が軍の残党精鋭諸君に命じる。諸君たちの目の前に広がる敵兵は、膏血野蛮人な我らが領地を侵攻してきた我らの生活を脅かす盗賊にすぎない。そんな者どもに負けてどうする!我々は!それらを征伐し、民の生活、笑顔を守ろうとしなくてはならない。ゆえにその力を皆出し尽くして戦うのだ!そしてそれを誰が咎めようか?我らに神の栄光があらんことを! そして神の御前で私はここに貴君たちにもう一度言う! 目の前にいる敵たちを皆、蹴散らせ! そして、諸君達の勇猛な戦いぶりをその目に焼き付けてやれ!』

 

 そのエイラの圧倒的な弁舌は、弛緩していた空気を一気に引き締めた。その鋭い声は空気を切り裂き、上空に飛んでいる鳥さえも、それに対抗するかのようにやかましく泣き叫んでからその場を逃げるように飛び去っていた。

 やはり彼女は、軍人であり、部下をまとめるものだ。しかも加えてこの力強い演説は部下たちの士気を高めるのには最適だろう。

 無論、エイラが言い終わって、耳からヘッドホンをはずしたときには遠くにいるこちらまで通信機越しにジョナスたち兵の拍手喝采、歓声が聞こえた。

 『司令官万歳エイラ・ヴァルフォーラ!』

 確かに演説に関しては彼女の才能もそうだが、本当に教育の一環として教え込まれたんだろう。

「すごいな……こんなに皆の士気を上げるなんて」

 僕には到底こんな真似は出来ない。まぁ、やろうとも思ったことはないがそれでも、もしやれと言われたなら、まず無理だろう。

 これぞ上官のなせる業といったところか、と僕が素直に感心していると、エイラはこちらにくるりとその長い髪を翻して振り向いて、

「本当に勝てるの? あんたの作戦とやらで」

 その顔は真剣そのものでジョナスたちのことを大事に思う優しい上官の顔であった。

 だから僕も真摯に答えた。

「大丈夫。今からそうだな……1時間で決着が付くと思うよ?僕の目に狂いはない」

 何せ小戦略を1週間とはいえ、毎日徹夜でやりこみ、イタリア軍でアメリカを打ち倒した僕だ。(イタリア軍は全パラメータ最低。部下も日本やドイツとは違って、小粒ばかり。加えて総司令官であるムッソリーニは統率力皆無、士気能力皆無のお飾りなのだ。)

 というかこれで勝てなかったら僕、処刑だし。僕はそんな痛みを感じながら死にたいわけじゃないし、というか異国の死どこぞとも知らない土地で死ぬなんてありえないし。

 と、遠くで爆発音がした。僕とエイラはいっそうその表情を引き締める。

 僕の命を懸けた戦争がここに開戦した。


『今伝令が入った。対戦車砲部隊が、前線で敵戦車部隊と交戦を始めたようだ』

『わかった!そうしたら、少しずつでいいから対戦車砲を撃つたびに少し後ろへ下がらせて。その間に君たちは前へ出て。それで、敵戦車と君たちの戦車部隊の距離がわずかになったら祝砲を上げて』

『わかった』 

 僕の気分はかなり高揚していた。正直言ってかなり面白い。通信機越しに聞こえる人々の緊張した声も伝令での人々のやり取りもその全てが僕にとっては、戦争を実感させてくれて楽しくて仕方が無かった。

 と、それから少しして、戦場のほうから空高くに赤い色の祝砲が打ち上げられた。僕はそれを見てすぐに通信機に語りかけた。

『どうやら祝砲は上げられたようだね。そうしたらそのまま相手の軍の中に入り込んじゃって。がら空きなはずだから』

 敵戦車は迅速さが命であるからわざわざ、止まってその場で砲塔の向きを変えるよりは対戦車砲に対しえて真正面から挑んでくるはずなので、真ん中にはどの戦車も来ない、例え来てもその数は少ない、というのは僕の計算済みだ。

『わかった。では、全軍発進。私について来い。目標は周りにひしめく敵全豆戦車の駆逐だ。焦るな。的確に弾を込めて的確に一撃で壊すようにしろ。いいな?』

『はい!!!』

 そうして、ガタンという振動音と共に戦車は、発進したようだった。

『よしよし、敵軍も慌てふためいて俺たちに全く対応できないようだ』

『慢心しないでよ?』

こういうときの油断ほど怖いものは無いというからね。

『わかっているよ。よし、それでは、手当たりしだい砲撃開始! ひるむな!とにかく進みながら撃て。よくレーダーで狙え。敵はたかが一世代前のスクラップ戦車だ。あいつらに俺たちののこの最新式の戦車の恐ろしさを見せ付けてやれ』

 そういいながらジョナスは、通信機越しでも聞こえるあのズドーンという衝撃とともに三十七mm対戦車砲をひっきりなしに撃っていた。

『撃破!』 『撃破しました!』 『撃破です』

 そして味方から鳴り響く敵戦車撃破を伝える喜びの声。また彼も喜んでいた。

『これは勝てる!相手に目にものを言わせてやる!』

 そうして、彼は一方的に僕との通信を切った。僕は彼が勝手に先行しなければいいけどと不安に思いそうでないことを切に祈った。


 敵はかなり錬度の高い軍で、最初のほうは八雲の奇をてらった作戦にやられる一方であったものの次第に指揮官の統制下の元、その圧倒的な兵力と資源をいかして戦況を覆し始めていた。

『ジョナス様、後方で我軍の戦車部隊が敵機関砲の集中砲火にあい、次々と大破をしております。これは一度戦線を戻したほうが良いか、と』

 戦車の中で後方で、ジョナスの代わりに他の味方部隊との交信を行っていた通信兵がそう報告した。

『敵の戦車部隊は後どれくらい残っている?』

 ジョナスの声からは少しばかりの焦燥が感じられる。

『やや、敵のほうが多いくらいでしょうか……。えっと……大体、お互い二十基ぐらいですね』

『対戦車砲部隊はどうした。奴らと連携すれば、いけるはずだろ?』

『それは無理です。なぜなら、敵が、私達戦車部隊と対戦車砲部隊に戦力を分散してきたのです。対戦車砲部隊の部隊長に連絡を取りましたが目の前の戦車を倒すだけで精一杯とのことです』

 つまりそれが意味するのは敵の戦車はまだ、レンテンマルク軍の二倍近くあるということである。兵は皆疲弊し、補給は当然ながらないため弾薬や燃料もそう多くない。

 この絶望的な状況にジョナスは、操縦桿を命いっぱい殴りつけた。といっても、別にこの作戦を立案した八雲が憎いわけではない。どちらかといえば、こういうときに新谷戦況を打開できるような作戦が思いつかない自分を憎く思った。

『右翼、対戦車砲部隊、三門大破! 爆発と、敵の進行により味方が混乱しております。このままでは、戦況が打開されるどころか、我軍の全滅が見込まれます!ジョナス様、どうかご命令を!』

 ジョナスにはその通信兵の声が聞こえていなかった。その追い討ちのように舞い込んできた戦況の悪化から目を背けたかったのだろう。彼は、ただ戦車のアクセルを踏んだままどこかへ行ってしまいそうだった。

『左翼、敵戦車の数に押されているそうです。もう何名かは戦線から離脱し、逃走した模様。ただいま引継いで、砲撃を歩兵が行っている模様です』

『……ちょっと待て。何故歩兵が砲撃を行っている?あいつらにそんなことできんのか?』

『いや、あまり戦果は望めないようですが、食い止めとして部隊長が率先して行わせているそうです』

 と、それを聞いて突然ジョナスは何かひらめいたように操縦席から立ち上がり、通信兵に向けて言った。

『よし、貴様は今から私の代わりにこの戦車を操縦しろ。出来るな?』

 もちろんその通信兵はぎょっとした眼で彼のほうを見た。

『いや、操縦出来ることは出来ますが、ジョナス様、それはどういうことです?』

『いやな、やはり指揮官が歩兵たちの先頭に立って戦わなければ、示しが付かないと思ってな。それで歩兵豚地の部隊長に回線をつなげるか?』

『? ま、まぁ、出来ることに出来ますけど……』

『至急頼む』

 その声は勇猛な指揮官そのものだった。そしてそれに当てられてか、その通信兵もピシッと敬礼をして、

『わ、わかりました!ただいま回線をつなぎます』

 そう言ってヘッドホンを耳に当てた後、配線がいくつも付いた機械と戦車内部の壁に取り付けられた筐体を交互に見やってはダイヤルやらキーボードやらをいじった。

『……つながりました!』

『よし、じゃあ、俺に貸してくれ』

 そう言って彼は通信兵からヘッドホンを借りて耳に当てた。ヘッドホンからは銃声と怒声がいりまじった不協和音をBGMにわずかながらに部隊長の声を聞き取ることが出来た。

『おい、聞こえるか?』

『キュン、チュンチュン……ガーガー、き、聞こえます!ジョナス様なんでしょうか?』

『よし聞こえるなら、聞いてくれ! 今から俺が、敵戦車に突撃敢行をするから、それを見てお前のところの歩兵部隊をそのように動かせ!』

 それが彼が導き出した結論だった。歩兵に慣れない、対戦車砲を使わせて、むざむざ敵に殺されるのだったら、歩兵は歩兵らしく、足で活躍したほうが良いに決まっていると、彼は考えた。

『と、突撃敢行……』

 その声にはいくら上官の命令といえども、突撃というあまりにも、能の無いやりかたで戦わせ、部下の命を死なせるわけには、という上官の思いが込められていた。

 その気持ちは痛いほどよくジョナスにも分かる。自分たちが手塩にかけて育ててきた兵士ならばなおさらだ。しかし、もうそれしか打開策は無いのだ。総力戦で戦わなければ勝てる相手じゃない。そをよくわあっているジョナスは心を鬼にして言った。

『これは上官の命令だ。従ってもらう』

『……わかりました』

 煩悶があったであろうに泣く泣く上官の言うことをきく部下にジョナスは心から感動し、言った。

『今から時間も無いので手短に方法を教える。まず全員歩兵銃は捨ててとにかく手榴弾を携行しろ』

『手榴弾だけですか?それはちょっと身軽すぎやしません?』

『それくらいでいい。この作戦は身軽さが勝負だ。迅速な相手には迅速さで勝負ってね』

『はぁ……わかりました。一度将兵を集めますか?』

『いや、人数は少なくていい。だから目の前にいるやつらだけにそう伝えてくれ。残りの奴らはそのまま

でいいから。それで、そいつらはそれぞれの戦車まで匍匐全身か、見つからないならば走って向かってくれ』

『なるほど。天空のレーダーは我軍とは違って古いはずですから正面にいる敵は感知出来ますが、匍匐前進されれば感知は出来ないでしょう』

 と、もうその部隊長はジョナスの言った突撃敢行の本当の意味が分かったようだった。

『もしかしたらわかっているかもしれないが、一応この後のことを言っておくとだな』

『ジョナス様。もう時間はありません。ちゃんと部下には伝えておきますから。何卒ご出撃のほうをよろしくお願いいたします』

 ジョナスはもう何も言わなかった。ただ深くその場で、頷いてから彼はヘッドホンをはずし、戦車を操縦する通信兵に言った。

『じゃあ、ちょっと行って戦車ぶち壊してくるから。もし貴様がこの場から逃げたかったらその戦車を使ってどこにでも逃げろ』

 それだけを言い残すと彼は返事を聞く前にハッチを開けて銃弾が飛び交う血生臭い戦場に駆り出て行った。


「よし、敵戦車に気付かれていないな」

 ジョナスは、自軍戦車から飛び降りた後、地面に転がった両軍の凄惨な死体を見て、声を上げそうになったが、そんなことをしたら敵に気付かれる屋もしれんと思い、代わりに足を速めた。

 そしてある一台の敵戦車に後ろから近づき、その甲板に背中をつけた。途中で前線の見張り役であったのだろう敵兵を二名ほど銃殺したが、それ以外は特に何の問題も無かった。

 ジョナスは一呼吸してから、周りを見回す。前では自軍が敵戦車部隊と奮闘をしているし、後方では敵軍はのんきに兵站で食糧補給をしていた。

(……三、二,一、よし、いくぞ!)

 彼は、そう心の中で唱えてから、軍服のポケットから手榴弾を三つほど取り出した。

 そうして戦車のラジエーターの部分を足場にし、煙が出る、煙突の部分を両手で掴んで、戦車によじ登り、エンジン冷却排気口に乗り上げた。そしてそこで彼は持っていた手榴弾の安全ピンを口ではずした。

 それから、錆びていた側面ハッチの留め金を自分の拳銃で殴って壊し、ハッチを勢いよく開けると、そのまま手榴弾をその中に投げ込んだ。中のほうでカランコロンという手榴弾の転がる音とともに、操縦したちの焦り声が聞こえた。しかしもう時は既に遅い。彼はハッチを閉めると、急いで戦車から飛び降りた。そして追って戦車は中の兵士を巻き込んで爆発した。その爆発音といったら、これだけの騒音がひしめく戦場で異様なほど響いた。時は一瞬止まったように感じられ、すぐに自陣のほうから歓声があがった。たぶん、歩兵のほうもすぐに動き始めるだろう。それに、少し被害が出ても敵歩兵はああやって油断しているし、戦車任せにするだろうから対応は遅れるに違いない。あとはあいつら次第だ。

 ジョナスはそう考えて急いで元の場所へと戻ったのであった。


 そしてその少し後。本陣では緊迫した空気が漂っていた。先ほど自分に通信機の使い方を教えてくれた兵士も戦場へと駆り出し、今や残っているのは、僕とエイラの二人だけになっていた。

「もう一時間ぐらい経ったけど……大丈夫なの? 全然戦車の音が鳴り止まないんだけど」

「わかってるよ……おかしいな。ジョナスとの通信が途絶えているなんて」

 僕は焦っていた。エイラの顔は先ほどから険を帯びた顔になっていた。どうやら彼女は、一度言ったことは絶対遵守の織田信長のようなタイプの人間らしい。

 このままでは僕が処刑されてしまう。だから我ながら研究に研究を重ね世界の戦争を分析し尽くした僕が生み出したかなり完璧な作戦で挑んだはずだったのに。おかしいぞ。現場指揮官であるジョナスとの通信は途絶え、加えてまだ轟音がその留まりを知らない。

 この二つの現状が意味するものは。

「この剣は、私が幼いころ父から授かった宝剣で何でも切れるとらしいんだけどまだ私一度も使ったこと無いんだ? だからあんたで切れ味試してもいい?」

 と、エイラはそう言って腰のベルトからつり下ろした立派な装飾品の付いた鞘から軍刀を抜刀して僕ののど元に正確に突きつけてきた。

 それはエイラの言ったとおりかなり切れ味がいいのか、太陽の光にあたってその銀の刀身がぎらぎらと照り輝いた。

「ちょっと待ってくれ。まだ負けと決まったわけじゃ」

「あんたね! ジョナスと通信は途絶えた、それで、まだ砲撃の音が鳴り止まない、なんてそんなの皆、苦戦しているか、もしかしたら死にそうになっていて戦車を手放そうとしている、のどちらかしか考えられないでしょうが!」

 エイラはそう言って僕ののど元に軽く剣先を押し付けた。僕ののどの皮膚はちょっと剣を押し付けられただけで、すぐに血が出てきた。どれだけ切れ味いいんだよ。

「あんたはもう処刑! 私の大事な部下をこんな窮地に立たせるなんて万死に値するんだから」

「君は上官なんだからもっと落ち着くべきだよ。そうやっていとも簡単に人を殺していたら、君はまた矛の捕虜やミスした部下を同じように殺そうとするよ。だって人間にとって、一度やってしまったことから引き返すことほど難しいものはないんだから」

「うるさい。うるさい。減らず口叩くんじゃないわよ!」

 ――死になさい。役立たず

 

 そう言ってエイラは、僕に突きつけていた剣を振り上げた。僕は、自分の身にその剣が振り下ろされる瞬間を見たくなくて目を閉じた。

 僕はついに殺されてしまうのか。つくづく神様ってやつは僕のことを嫌いなんだろうか。僕はさっきだって死にかけたじゃないか。僕が何をしたって言うんだ。

 でもいくら言ったところで、全てが遅かった。エイラはすでに僕に向かって剣を振り下ろしていたのだ。

 心なしかその動きは非常に遅く見える。まぁ、だからといってかわせるか、といったら、それもまた違うんだけど、なんて言うかな……あぁ、そうだ走馬灯、ってやつだろうな、これは。

 あぁ、逆にこの死までの時間が辛いな。どうせかれから痛い思いして段々意識が薄れていって、最後にはあの世に行って……。

 もう剣はすぐ目の前まで迫っていた。あと何秒、あと何センチで僕はこの世界と決別するのだろうか? というか、僕の作戦のどこが間違っていたのか、死ぬ前に知っておきたかったな。

 と、そのときだった。神はまだ僕をこの世界という名の地獄で苦しませておきたいようだった。僕とエイラしかいないこの本陣にけたたましいベルの音が鳴り響いた。

 僕は驚いて、目を開けると、すぐ目の前にエイラが振り下ろそうとしていた剣があって、僕は内心このベルに感謝した。一秒でもこれが、遅かったら僕は今頃あの世行きだったのだから。

 そして僕は同時にすぐにそのベルが、ジョナスが本陣に入電するときに鳴らすベルと同じであり、実際それはエイらの背後にある通信機から聞こえてくることに気付いた。

 僕は、ヘッドホンをエイラの首元から掻っ攫い、それを耳に当てた。

 かなりノイズがひどかったので、僕は通信機のダイヤルをいじりながらなんとかジョナスの声が聞こえるように調整した。

「ジョナスたちでしょう? 何、どうなったの? 勝ったの? 負けたの?」

 エイラは、僕の慌てる様子を見て察したのか、僕の肩口に顔を乗せる格好で、通信機をじっと眺めている。

 僕はそれに驚いてさっと横を向いてもっと驚いた。予想以上にお互いの顔の距離が近かったからだ。

 まつげは長く、その大きくて綺麗な目の上に影を落としている。そしてその香りもすごかった。女の子特有のシャンプー臭。これがかなり強く、しかもそれでいて香水のようなきつめのものではない、心地いいようなにおいなのでクラクラさせられて、僕は困った。

『……ガーガー、えー本隊入電、本隊入電、そちら聞こえますか?』

 と、僕が困っているときにベストタイミングでジョナスと思われる声を拾うことが出来たので、僕はそれにすかさず意識を傾けた。

『こちら、本隊。聞こえます。そちらの状況はいかがですか?』

『ガーガー、たった今敵軍の撤退を確認。この戦、我が軍の勝利。つきましてはこちら側にも負傷者が多いので動くことが出来ません。ですので、そちらで本陣を畳みこちらに来れないでしょうか?どうぞ』

『わかりました。それではすぐにそちらに向かいます。それでは』

 僕は、そう言って通信機の電源を切り、立ち上がった。エイラは既に僕の方から顔を離し毅然と立っていた。

 僕は内心ガッツポーズを決めていた。これで処刑はされない。加えて、僕は、自分の人生における価値を見つけたような気がした。自分のおかげで誰かが喜び、そして人の役に立てたと言う事実が何物にも変えがたいほど嬉しかった。軍人が天職かもしれないな、僕は。まぁ、これっきりで終わりだろうが。

「……で、どうだったの?」

 エイラは頭に被るグレンガリー帽の羽をいじりながら僕にそう聞いてきた。

 この様子を見るに本人も大体えっ下は分かっているのだろう。内心では相当喜んでいるに違いない。声色が先ほど僕を殺そうとしたときの冷酷なものとは違ってうれしさがにじみ出ている明るい声だった。

「あぁ、勝った、みたいだ。相手は撤退していったみたいだぞ?どうだ、これで処刑も帳消しだろう」

「もちろん!さすが私が見込んだだけの……って違う!違う! べ、別にあんたのことを認めたわけじゃないんだから! こんなんで私がほめてあげると思ったら勘違いなんだからね!」

 と、エイラは、片手を腰に当ててもう一方の手の指を僕に突きつけてそう言った。

 全く、少しは認めたくれたって良いじゃないか。せっかくそんな整った顔立ちしているんだから、素直にほめてくれれば、僕だって頑張った甲斐があろうというのに。

 ……って、待てよ?今何だか引っかかることを言ってはいなかったか?

「……今さ、僕の聞き間違いかもしれないけど、こんなん、って言った?」

「よく覚えていないわね。私言ったことはすぐに忘れてしまう女だから。はっ」

 はっ、じゃないから。なんでそんな自分の鳥頭っ振りを見せ付けてそんなドヤ顔でいられるんだよ。もしかして意味もわからずに使っているのか? だとしたらもう指摘するのはやめとこう。

 これからずっと鳥頭、自称させておくのも面白い気がする。

「まぁ、今のは冗談として、確かに私はこんなん、って言ったけどそれが何か?」

 冗談なのかよ。

「こんなんって言葉はさぁ、未来的な要素を含んでいるんだけど、まさかそういうニュアンスはないよね?例えば、僕がこれから君に仕官するとかさ」

 それは単なる例のつもりで言っただけであった。僕は、もしかしたら深層意識においてそれが、否定されることを祈っていたのかもしれない。

 だってこんな情緒不安定鳥頭女に仕えたら僕は、うまくやっていける気がしないからである。ただもとの世界に返りたいかと言ったらそれも疑問である。

 それだったらまだ1人で放浪の旅をして各地を転々としているほうがよっぽどましな気がする。

 しかし、得てして人間口に出したことは実現するもの。口は災いの元とはこういうことを言うのだろう。

「それはいい! 私、さっきまであんたの処遇迷っていたんだけど、あんた私の軍の参謀にすることに決めたわ!」

 僕は自分の口を激しく呪った。言わなければ良かった。そうしたらお金だけもらえてそれで終わったかもしれないのに、まだ付き合わなくてはいけないなんて。

 僕は、淡い期待をこめて最後に聞いた。

「もし、ここで僕がノーといったら?」

 エイラは、表情一つ変えずに平坦な口調で言った。

「言い終わった瞬間、首から上は無いわよ?」

 お願いだから、一度鞘に収めた軍刀を手でいじるのはやめて欲しい。

 しかも無表情というのがなおのこと怖い。本当に彼女ならやりかねないだろう。

 だから、僕は嘆息して言った。

「……わかったよ、わかりましたよ。参謀でも何でもやるよ。やればいいんでしょ!」

 そうして、手元にあった木で出来た小さな通信機を腕に抱えて僕は戦場へと足早に歩き始めた。

「ちゃっちゃっとジョナスのところに向かうわよ。えーっと……あんたの名前何?」

 俺は背中越しに聞こえたエイラのその質問に対し、彼女の方を振り返ることも無く、答えてやった。

「僕の名前は、三剣八雲。信じてもらえるかは分からないけど、一応ここじゃない異世界から何の因果かここにきた」

 「へぇー。異世界ねぇ。なかなか眉唾物だけど、まぁそっちの方は後で聞くとして、私の名前は、エイラ・クシャーナ。レンテンマルク王国天授連邦方面第三軍総合司令官を務めている。もともと私の家系であるクシャーナ家というのは代々」

 エイラは軽い自己紹介をするはずだったのにいつの間にか自分の血筋がどれだけ優れたものであるか、と能書きを垂らしはじめた。

 このままでは延々と彼女のお家自慢を聞かされそうだったので僕はエイラの方に向き直って言った。

 「ちょっと待て。エイラ。お前、そうやって血筋のことを俺に熱く語る前に自分のことを最もうまく表す一言を言うのを忘れていやしないか?」

 エイラは俺が急に立ち止まって振り向いたことに一瞬驚きを見せたが、すぐに自分の話を断ち切られたことに不満を抱いたようでその声には険が含まれていた。

 「何? 今、私が風来坊のあんたなんかに自分の家のことを語ってあげているんだから黙って感謝しなさいよ!」

 「……鳥頭」

 「え?」

 「こうして僕が指摘しているのに分からないようだから教えてあげるよ。君はずばり鳥頭だ!」

 「それ、どういう意味?」

 僕は、エイラから少し距離をとった。それは必要な距離である。僕は、それからエイラの方にもう一度向き直って、今日まで生きてきてここまえ大きな声を出したことがあったかというくらいの声を腹の底から絞り出すように、叫んだ。

「鳥頭ってのはぁ!」

 僕はエイラのその怜悧な目つきが自分に向けられているのを感じ、これ言ったら僕殺されるかもな、と一瞬身をすくめたが、それでもこうして彼女にばかりいいようにされるのは僕の自尊心が許さなかった。何か仕返ししてやりたかったのだ。

 僕は冬の冷たい空気を肺いっぱいに吸い込んで、そして言った。

「君みたいな、記憶能力が無い、馬鹿なやつのことを言うんだよぉ!」

 久しぶりにこんな大きな声を出した。元の世界にいたらこんなことなかったはずなのに、僕はジブンンでもどうかしていると思う。異世界に来て適応するや否や、気分が高揚しているのかもしれない。

 まぁ、理由が何であろうと僕は、とりあえず逃げなくては殺されそうなので、逃げた。幸い足は軽く、すぐに動いてくれた。僕はここから戦場まで逃げ切る必要がある。

「……この恩知らず、殺す」

 よくその声は聞こえなかったが逃げる瞬間にそのように聞こえた気がした。彼女は一瞬で素早く軍刀を抜刀して、動物の革で出来ているであろう黒いブーツで走って、僕を追いかけてきた。

 その足は、女の子とは思えないほど速く、僕はすぐに自分の発言を後悔した。もし捕まったら僕は死ぬかもしれない。 背後から聞こえる、ブーツが雪を踏みつける音がどんどん近くなっていく気がして、怖くて仕方が無かった。

 そんな恐怖心が僕を駆り立てた。雪の積もる斜面を僕は気にかけることもなくがむしゃらに走った。途中転びそうにもなったが全て踏みとどまった。

「待ちなさい! 一度あんたには上下関係というものを教えてあげるから!」

「どうやって僕に教えるって言うんだよ?」

「この剣であんたが動かなくなるまで殴ってから……」

「僕、そんなんじゃ上下関係云々以前に死んじゃうから……」

「とにかくつべこべいわずに待ちなさーい!」

 それから僕とエイラとの競争は続き、途中で僕は捕まってしまった。

 その後どうなったかはいうまでもないだろう。

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