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いい旅夢気分

別にこの作品の本懐はエロでは無いことを改めて言っておきたいと思います

翌日、僕は、珍しく、自分から目を覚まして、カーテンを開け、自分のベッドのシーツを直し、そして軍服に着替えた。

どうせ、またここに、帰ってくるだろうから、荷物は置いて行こう。僕は、部屋の中を見回し、何もないことを確認してから、部屋を出た。

 廊下を通り、そして、続くらせんの階段を下りると、すでに入り口の扉の前のロビーには、僕以外、全員がそろっていた。

「おはよう!」

 僕はすがすがしく、皆に向かって、挨拶をする。それに対して、反応はそれぞれまちまちだった。

「おぉ、おはよう」

「あっ、うるさいわね?何、あんた、朝からテンションが高いとか、うざったいんですけど」

「……(もじもじ)」

 非常にカオスだ。ちなみに、上から、ジョナス、エイラ、セラなのだが、ジョナスは、まぁ、いいとして、エイラは、朝は、弱いのか、不機嫌だし、セラに至っては、僕の顔を見た途端から、顔を赤らめているし。

 なんか、僕、昨日、セラに、したっけ? 何かしなかったら、ふつう、こういう反応にならないよな。

 でも、昨日の記憶に関しては、アぺルスピリィとの一件が、あまりにも強すぎて、逆にそれ以外のことが思い出せない。

 頭の中から必死に引っ張り出そうとしても、出てくるのは、アぺルスピリィとのことばかり。

 場の雰囲気は、誰もしゃべらないため、とても悪いし、特に、セラは、さっきからこちらのほうをちらちら見てくるので、本格的に、何があったのかが気になった僕は、ついに記憶から探るのをやめ、単刀直入に、彼女に聞くことにした。

「ねぇねぇ、セラ……」

 僕が、そう言って彼女に近づくと、

「いや!」

 彼女は、僕の手を払いのけ、僕から距離を取った。

「うがるるるるる!」

 彼女は、胸元を手でかばって、僕に威嚇の姿勢を見せた。

 僕は、ますます、わからない。本当に僕は、何をしたんだろう。つい二,三日前までは、サンボー、って抱きついてくるぐらいだったのに、今じゃこのざまだ。

 彼女の反応を見るに、僕は、彼女のいやがることをしたんだろう。それも、胸を守るように顔を染めながら威嚇していることから、僕が彼女に、何か変態なことをしたのかもしれない。

 ……うん? 変態的行為?胸?威嚇、それも僕が近寄ったとき、払いのけたのは手……。

 あぁ、そうだ、すべて謎は解けた。僕が、アぺルスピリィに出会う原因となったこと。それを、完全に忘れていた。

 うわっ、段々、あの時のことを思い出していくうちにこっちが恥ずかしくなってきちゃったよ。

 いや、本当に。何だか、あのときの光景とか感触が、こう今になって、また鮮明に、思い出される感じが、また恥ずかしさに、拍車をかけているなぁ。

 まぁ、どちらにしても、この状況下で、僕がすべき行為は、きっちり昨日のことを彼女に謝ること。この一択しかないだろう。

 だから、僕は、彼女になるべく警戒されないよう、彼女の警戒している、僕の魔の手、を僕は、銃を突き付けられたときにするみたいに、後頭部にぴったりとつけ、ゆっくりと距離を縮めた。

 彼女は、そんな僕に対し、威嚇こそやめないものの、僕の近寄り方が功を奏したのか、もう後ずさることはなかった。

 だから一歩一歩確かに床を踏みしめ、彼女に歩み寄っていき、そうして、彼女との距離が、ある程度縮まってから、僕は彼女の目をしっかり見据え、頭を下げて、誠心誠意言った。


「昨日は、ごめん!君の胸を揉んでしまって。でも、わざとじゃないんだ。それは本当! 確かに、君のその、おっぱいは、とても揉み心地がよかったけど……」

 

 いや、女の子に謝る場合って、こういう出だしで、合っているのかな? 限りなく、出落ちの感じがするんだけど……。

 と、僕がそんなことを思っていると、彼女は、正装であるセーラー服のスカートの裾を手でつかんで、もじもじとすり合わせながら、僕に尋ねる。

「……、で、その、後は? その、私の、おっぱい、……気持ちよかった?」

 ……え? ちょ、ちょっと、この反応は、僕の予想の範疇を軽々と越えていくものなんだが。

 いや、もう、何と、答えたらいいのやら。というか、完全に、僕の会話の切り出しがミスったんだな。仕方ない。もう、何とか、彼女の機嫌を損ねないよう、このポワポワな雰囲気の中で、事をうまく収めつつ、彼女のとの関係を修復させるしかないな。

「ねぇ、サンボ―。私の話、聞いてる?」

「う、うん。ちゃんと、聞いてる! いや、君の胸の感触ね。正直言って、すごい良かった。え、えぇと、そうね、例えるなら…………スイルジャコタン、ぐらい、もちもちしていたね。いや、もう食べてみたいくらいだね」

「た、食べる!?」

「そう、それから、大きさも形も、もうグレイト! 形も、大きな果実みたいにプルンプルンしていて、先端のほうもよく張っているし」

「プルンプルン!? 良く張ってる!?」

 あぁ、もう、僕何言ってんだろう。自分が自分じゃないみたいだ。あはは。

 そして、とどめの一言。

「やっぱり巨乳が、一番いいと思います! そして、君の胸は、その中でも最高。キングオブおっぱい! だから、揉ませてください!」

 あれれー? 最後、だから、仲直りしよう、的な着地を予想していたのに、変態行為のアゲインを、求めるなんて。

 今日の僕はどうかしている。こんなんじゃ、セラと、仲直りするどころか、一生変態もしくは、おっぱい野郎の、レッテルを張られて、距離を置かれてしまうだけじゃ……。

 僕が、おそるおそる彼女のほうを見ると、

「サンボ―が、私のおっぱいを、揉みたい、揉みたい、って、私はどうすればいいの?揉ませてあげるべきなのかな、それとも、嫌がるべきなのかな……わからないなぁ」

 彼女は、今度こそ顔をこれでもかというくらい、茹でた蛸のように真っ赤に染めた。完全に、思考がショートしているようだった。

 彼女は、僕に、自分のおっぱいを揉ませてあげるべきか、否かで、苦しんでいる。あぁ、僕のせいだ。何とかしなければ。

「君の思うがままに行動すればいいんだ。君の人生は、誰かが決めるわけでもなく、神が運命を定めるわけでもない。君が演出して作り上げていくんだからね」

 彼女は、はっと顔を上げて僕を見た。その瞳は、潤み、呼吸は、荒い。顔も相も変わらず、赤い。

 やばい。何か、エロいぞ。何だ、この状況。まだ、朝だよな。

 今がもし夜で、ここが、僕の部屋とかだったら、僕はどうなってるんだろうな、ちゃんと、理性が保てているのか。もしくは……。

 というか、彼女ってこんな女の子だったっけ?もっと純粋だった気がするんだけど。

 と、お互い喋らなくなり、雰囲気も気まずくなってきたので、僕は、仕方なく、外野に助けを求めた。

「ねぇ、エイラ、僕たちの仲直り、あと、ちょっとでうまくいきそうなんだ。あと一押し頼めないかな?」

「どこが、あとちょっと、で上手くいきそうよ! さっきから、黙って聞いていれば、あんたら、朝からなんて破廉恥な会話かましているんだっつの。聞いているこっちが恥ずかしいわ」

 くっ、破廉恥だなんて。別に僕だって好きでこんな会話しているわけじゃないのに。

「そんなのどっちだって、いいさ、君は、何とかしてくれるの? してくれないの?」

「いやよ。面倒くさい。あんたらの痴話喧嘩なんだから、あんたらで、なんとかしなさいよね」

 彼女は、そう言ってから、大きく欠伸をした。そして、完全に僕たちから目をそらした。他人行儀を決め込むつもりだろう。しかし、そうは問屋が卸さない。

 僕は、わざと、エイラに、聞こえるくらいのボリュームで、セラに向かって言った。

「セラ。君は誇ったほうがいい。人間としても素敵だし、顔ももちろん言わずもがなだし、それで、スタイルだってばっちりなんだから。こんな完璧人間そうそういないよ?」

「……」

 だめだ。本格的に彼女は、どこか別の世界に旅立ってしまっている。

 仕方ない。また、彼女が、立ち直ってから、謝るしかないだろう。

 僕が、そうして、彼女から離れたすぐ後に、青の軍服をまとった、兵士たちが、やってきて、

『国王様が、あなたたちのことをお待ちしておりますので、どうかこちらへ』

 と、告げてきたので、黙って、彼らの後についていくことにした。

 さてと、真面目に切り替えなければいけないな。



 ホテルを出て、昨日の噴水を通り過ぎ、そのまま門を抜ける。

 どうやら、僕達が止まっていた建物は、丘の上にあったらしく、草に覆われた、なだらかな、道を下りていった。

 そうして、その坂が終わりを見せたころ、僕達が連れてこられたのは、駅だった。

 といっても、屋根と、プラットホームがあるだけの簡素な造り。大きさ自体も小さいし、人はだれもいなかったが、それでも、線路があるし、何より、目の前で、煙を吐く、列車が存在するのだから、十分駅といってもいいだろう。

『ここから、お乗りください』

 兵士に、そう言われるがまま、僕たちは乗車した。全員が列車に乗りこんでから、残りの兵士たちも、周りをきょろきょろと見まわして、続々と乗り込んできた。

 列車内は、とても豪奢な造りとなっていた。床には絨毯が敷かれ、天井には、隅々まで色彩豊かな絵が描かれている。

 通路は、ゆったりとした広さを持ち、また、車内に、優雅な音楽が流れていた。

 ただし、座席は、そんな広い空間に一つだけ。それも、横に長い橙色の長椅子が二つ、お互いに向き合わせて設置されているだけだ。

『どうぞ、あちらの長椅子に分かれてお座りください』

 彼らは、それだけしかものを言わなかった。それがやや不気味だったが、僕たちが黙って、言うとおりに歩を進めると、それ以上は、一緒には来なかった。彼らは彼らで、王の護衛という仕事があるのだろう。一人を車両の連結部分付近に残して、全員違う車両へと、移ってしまった。

 僕たちは、そうして、椅子に二人ずつに分かれて座った。僕とジョナスの男子組、エイラと、少し気を持ち直しつつある、セラの女子組でだ。

 目の前には大きな椅子と同じくらいの長さの机が一つ備え付けられていた。それは、膝から下が、まるまる収まるくらいの脚の長い机だった。

 机の上には花瓶が一つ。机とよく似合っていた。しかし、花瓶には、肝心の花が入っていなかった。おそらく調度品、ということなんだろう。

 窓は固く閉じられて、少し、息苦しい気がする。それは、もしかしたら、緊張なのか、誰一人として口を開かないことも関係しているのかもしれない。

 どっちにしても、早く、列車が、出発してほしいと、思った。何か、風景でも見たかった。とにかく、気分を変えたかった、というより、新しい風を欲していたのだ。

 そして、それは、すぐに吹いた。

 突然、ガラガラ、という音を立てて、連結部分のドアが開いた。僕たちは、すぐに全員、立ち上がって、ドアのほうを見た。

 入ってきたのは、兵士に囲まれながら、一歩一歩杖を突きつつ、歩いてくる、一人の老人だった。

 あごから伸びる白いひげは腰まで行き届き、目は狐のように細い。ただし、頭には王冠を乗せ、首周りには、たいそうな量の装飾品を身に着け、極めつけは、宝石のちりばめられたローブ。

 彼が間違いなく、国王であろう。十年前の戦争で、自ら軍を率いて戦った、リッツ連合政府の首相は、戦死し、それから、ずっとこの国を治め続けてきた。

 僕は、他の皆が、敬礼しているのを見て、自分も敬礼した。しかし、彼は、どうということもなく、ゆっくりと進んできた。

 そして、時間をかけ、エイラの隣に座った。この長椅子は、僕たちが座っても、まだあまりあるほどだから、エイラとセラでは、いわずもがなというところだろう。

 彼は、杖を自分の横に控える兵士に渡し、二つ三つ、言葉を交わしてから、またこちらに向き直った。

 その居住まいは、とにかく風格に満ち溢れていた。そのせいで、皆、委縮していて、誰も話を切り出そうとしていなかった。

 そのうち、列車が、ポー、という音とともに動き出した。揺れは少し大きかったが気になるほどではなかった。というのも、動き出すと同時に、彼が口を開いたからだった。

「遠方より、わざわざ、このような地まで足を運んでいただいてくれて、感謝しておる。本当は、昨日、同盟の調書をまとめ、鉱物の輸入や、戦線の展開などについて話をしたかったのだが、昨日は、色々と、立て込んでいてね。申し訳なかった。そのお詫びと言ってはなんだが、まだ、皆朝食を食べてはいないだろうと思うから、鉄道の旅を楽しみながら、一つリッツ名物を振舞わせてもらおう」

 声は、見た目に似合わず、柔らかい、張ったものだった。それで、やや緊張が解けた。

 そして、彼の言った通り、すぐに料理は運ばれてきた。たくさんの給仕係りの人が、入れ代わり立ち代わりで間髪入れずには運んできたため、机の上は、料理の皿でいっぱいになった。

 朝からこんな食べられるかどうか、不安なところでは、あったが、どれも、おいしそうな匂いが鼻孔をくすぐったので、すぐに食欲が湧いた。

 そういえば、昨日の夕飯から僕は、何も食べていないんだった。どうりでお腹がすいているわけだ。

 いただきます、の挨拶を全員でし終った途端、僕とジョナス、そしてセラの三人はすごい勢いでがっつき始めた。

 甘辛い味付けが、本当においしい。手は止まらない。

「全く、あんたたち! もうちょっと、行儀よくしたらどうなのよ?」

「まぁまぁ、若い者はこれくらい、勢いがなくてはな。一つ、エイラ殿も食べてみてはどうだ。なかなかうまいと思うぞ」

「……はぁ。……じゃあ、遠慮なく、いただきます」

 それからすぐに、室内に、何これ、うまっ!?、という声が響き渡り、エイラも、僕たちほどではないが、勢いよく食べ始めたのであった。



「ふぅー。お腹いっぱい。いやーおいしかった」

「本当、おいしかったわ。やっぱり、料理は薄味より、濃い味よねぇ。今度、テレジアにも言っておかなくちゃ」

 確かに、テレジアさんの作る料理はもちろん、濃い味付けのものももちろんあるが、基本的に薄味のほうが多い。といっても、どちらも、おいしいことに変わりはないが。

「ふふふ。それは良かった。やはり腹が減っては、人間何も出来んからな。まずは腹ごしらえが、優先的じゃ」

 僕は、ふと時計を見ると、針はすでに、十時半を指していた。すでに、列車に乗ってから一時間はゆうに経っているが、周りの景観は、住宅地から抜けない。

「あの、すいません。一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「うん? よいぞ」

「あの、この列車って、あと、どれくらいで、目的地にたどり着くんですか?」

「今、もうすぐで、半分ぐらいだから、そうさな……あと、一時間とちょっとってところだろうかな?」

「そうですか。ありがとうございます。ところで、いまさら言うのもなんですけど、列車ってなかなかいいですよね。僕、この世界に来てからは、見たの初めてですよ」

 僕が、そう言うと、彼は、興味深げに身をやや乗り出して

「ほぉ、今、お主、この世界にきてから、と言ったが、それはどういうことだ?」

 やっぱり興味をもたれるんだな。この世界の生まれじゃないっていうのは。そりゃそうか。

「えっとですね。信じていただけるかわかりませんが、僕は、この世界じゃない、日本という国から来たんですよ」

「ニホン、とな? 聞いたことないな。それは、どんな国なんだ?」

「どんな国と言われましても、戦争は一切なくて、あと、若い人間は、皆学校というところで勉強をして、それで社会の歯車になっています」

「それは、まことか?」

「えぇ、本当です」

「ふぅむ……。それが本当ならば、理想的な国ではないか。戦争はなく、国は、教育に力を注いでいる。われらもそのような国を、目指せればよいのだが……」

 それは違う。知らないくせに、望むな。僕は、怒りで、言い返した。

「買いかぶりすぎですよ。そんなにいい国ではありません。ほかの国とはしょっちゅう喧嘩もしているし、……いじめだって頻繁に起きていますよ。違うことをすればいじめられるんです。とどのつまり窮屈な社会なんですよ」

 場に沈黙が走る。僕はしまった、と思ったが、もう遅かった、僕の前にいるエイラは強く僕のことをにらんできた。

 彼は、腕を組んで深く考え込むようなそぶりを見せて、それからおもむろに口を開いた。

「そうか……。わしは、一度足りとて、平和ということを味わったことがないからな。適当なことを言って済まない」

「いえ、こちらこそ、変なことを言って申し訳ありませんでした」

 僕は軽く頭を下げる。よかった。気分を悪くしていないようだ。

 どうやら、この人は、エイラと違って、あまり平和に固執はしていない新たなタイプの頭首のようであった。

 エイラは、すかさず、話題を変えるために、話を持ち出した。

「ところで、国王様、そろそろ工場地帯に突入してきたようですが、せっかくなので、説明をいただけないでしょうか?」

 ナイスだ。エイラ。というか、僕もそれ気になるし。

 窓の外は、いつの間にかビルやら工場やらが、立ち並んでいた。列車自体の速さもそれなりに速いので働いている人々の様子は鮮明には見えないが。

 彼は、それから、目的地である、王宮につくまで、ずっと、工場群の説明をしてくれた。それはかなり長いものだったもので、要約すると。


 1、これらの工場地帯は、国土の約半分を占め、総従業員数は5万人。年間の鉄鋼生産量は、170万トン。今回の海戦で、天授連邦に勝利するまでは、兵器の生産を規制されていたため、輸出量は少なかったが、今回、天授連邦が手を引いたことで規制が解除。生産量は上げていくつもり。


 2、主に、生産は、武器ないしは、装甲などに使う鉄鋼の生産、弾の生産。個別に小銃や、大砲も生産しているがそちらは受注されるたびに、色々と兼ね合いを見ながら大量生産していくつもり。


 3、工場の近く、(列車に乗っていて途中左手に見えた)山は、通称ヴィルヘルムと、呼ばれていて、あそこから、レンテンマルクに輸出する鉱石ないしは、兵器生産のために必要不可欠な、ジューングライト石の発掘、そして、地層に埋まった、微生物や、動物の死骸から出たエキスを、抽出して、車両や、戦車の燃料にしてからタンカーで輸出しているらしい。


 4、ジューングライト石は、ここリッツだけで、とれる青い丸い鉱石で、、銑鉄の仕方や温度で性質を自由に変えられるらしい。


 5、製鉄をはじめとした冷水が必要になる作業は、全て、ヴィルヘルムからパイプラインで水を引き、それを利用しているため、周りの海の汚染はあまり心配ないということ。


 6、そして、工場の近くに行くときは有毒なガスが出ている恐れがあるので、ガスマスクをつけること。


 と、色々他にも細かいことはあったが、おおよそ上にあげた6つくらいが主要なものであった。

 そして、説明が終わる頃には工群も終わり、森林を抜けて、王宮前の駅へとたどり着いたのであった。

『終点リッツ王国王宮前に着きました。皆様、長旅ご苦労様です。ご降車の方はお忘れ物のないようお気を付けください』

「それでは、降りようか」

 彼はそう言って近くに呼びつけた兵士から杖をもらい、自分の力で立ち上がると、そのまま僕たちを先導するように先に下りて行ってしまった。

 僕たちも、席から立ち上がり、何か忘れ物はないか、確認しつつ、彼の後を追った。


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