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最終章(1)


5人の運命は・・・?


最終章 ―世界のために、平和を謳おう―(1)


 沈黙が流れている中、ディルははっと、不可解な点を見つけ出した。恐る恐る口にしてみる。

「・・・あのー・・・。あたしたちの前の使い手たちは、どうなったんですか・・・?」

『いい質問ですね、ディル。そこが、あなたらにとって、最も残酷な点です。私も話すのが辛い

・・・。年寄りの心臓はもたんわい・・・』

ラーミアたちは、ふうと、肩で溜め息をついた。その意味がディルたちにはわからず、首を傾げることになる。

『いいですかね・・・? 辛いから、一度しか言いませんよ。・・・使い手は、石を操り、最後まで呪文を唱え、世界に貢献し、私らと共に、此処を、旅立つのです・・・』

「・・・遠まわしに言ってるが、ようは俺らも死ぬってことなんだろ?」

ぶつ切りにして紡ぎだしたラーミアの言葉を、いともあっさり、シャネラは訳してしまった。ラーミアたちは皆俯いていた。

今まで愛しげに娘を見つめていたテュクが、使い手の子どもらを全員見渡して口を開いた。

『ウィテュードは、世界の人々の孤独を。ウィーシャは、この世界の海を。一緒に、海に流れつく川も。ラルウィは、この世界の自然。ミヤウィザは、時間を。あなたの呪文で、世界の人々の過ちを浄化します。それにより、あなたたちのことが後の世に語り継がれることでしょう。ディザードは、この空を。そして、5人の呪文により、世界がひとつに戻るのです。アムタワ国も、4つの国の上に存在することになるでしょう。これが、あなたたちの最後の役目です』

テュクの話を聞いて、使い手たちは黙りこくってしまっていた。ディルが、沈黙を破る。

「・・・なんで・・・あたしたちなんですか・・・? あたしたちは、このためだけに、生まれてきたんですか? 生まれたときのあたしたちに、世界を救う以外の未来はあったんですかっ!?」

弾けたように、仲間の分まで貯めていた疑問をぶつける。唐突に曝された自分たちの未来を、否定したいかのように、つい語尾が荒くなる。ついには、ミクヤに後ろから両肩を押さえられるまで、前のめりになって、息を荒げて、涙目で、テュクたちに問い掛けていた。ディルの言葉を聞いて、テューサとルビスは涙ぐみ、シャネラとミクヤは顔を背けていた。

『あなたらの運命は、私らが決めたのではないので、どうと言うことができません・・・』

『みんなが、人一倍海を愛していたり、世界を任せられるような人たちだったからだよ!ここにいるみんなが、そういう人間だよ!』

ラーミアの苦し紛れの言葉を、シャーマが笑顔で続けた。シャーマの笑顔に、シャネラがふと微笑む。

「ああ。俺は、後悔してねぇ。今までの旅も、この運命も、これからの未来もな。だから俺は、海を癒す。世界を救えるなんて、誇らしいことじゃねぇか」

「でも・・・っ。でもっ・・・」

ディルはミクヤにまだ押さえられたまま、頭を垂れて泣き出していた。

「分かってるって。未来が見たかったんだろ? ミクヤが好きなんだもんな。俺だって、まだやりてぇことたくさんあるんだよ。お前の国やミクヤの国で剣豪を探して、手合わせして、倒して、世界一の剣術使いになる、とかな」

垂れ下がったディルの紅い頭を、軽く叩くように撫ぜた。するとディルは、ミクヤの拘束から抜け出し、自由になった手で顔を拭い、シャネラを見た。

「・・・ごめんなさい。皆思ってること同じなのに、あたし1人拒んじゃって・・・」

テューサたちを見回した。そして、笑う。

「あたし、癒すよ。世界を救う! この世界には、大切な人たちがたっくさんいるんだもんね!」

「ディル・・・。うん。僕らが一緒だよ。最後までね」

「さ、決心が揺るがないうちに最後の役目を果たしましょ! お母さん、どうすればいいの?」

笑顔の戻った使い手たちを見て、石に宿る魂たちは胸を撫で下ろしていた。テュクは優しく微笑んだ。

『台座を5人で囲んで、呪文を唱えるだけです』

『呪文はいつもの通り、私らと一緒に聴こえてきた言葉を言えばいいのさ』

言われた通り、テューサたちは僅かに光を放っている石が置いてある台座を囲んだ。


1800Hit有難うございます!

ついに最終章に入ってしまいました。寂しいです・・・。

最後の最後まで、お付き合いお願いします!

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