第1部(4)
第1部 ―初めての出会いとその別れ―(4)
『テューサ・・・テューサ・・・』
どこかで私を呼ぶ声がする。辺りを見回した。一面真っ白。果てしなく真っ白。でもこの真っ白は、どこかで見たことがあるような・・・。
『テューサ・・・テューサ・・・』
また呼ぶ声が聞こえた。
「誰? 誰が私を呼ぶの?」
私は見えない声の主に尋ねてみた。
『テューサ・・・。我を操るウィテュードよ・・・』
“我を操るウィテュード”。確かに今、そう言った。私ははっと気づいた。
「あなたは・・・私の持っている魔石なの?」
『テューサ・・・。<プネマ・テルヌーラ>を唱えて・・・』
「え?・・・<プネマ・テルヌーラ>!」
私が唱えた途端、辺りがぱっと光り、真っ白な一面が一瞬で薄桃色に染まった。私は急な出来事にあんぐりしていた。
『あなたにしか使えない呪文・・・。優しさの意味を持つ・・・』
「ねぇ! 何か、仲間たちのことを教えてちょうだい!」
我に返り、今まで溜まっていた質問を飛ばした。
「ねぇ! ここはどこ? 仲間はどこに居るの? 私はどこに行けばいい? 最後はどこに辿りつくの? 何故、私が? ねぇ、教えて!!」
『・・・また・・・夢の中で会いましょう・・・』
「ここは、夢の中なの? ねぇ! ちょっと・・・」
『何かあったら、我をあなたの手で包んで、想いを込めて耳を傾けて・・・』
視界がぼやけてきた。見えない声の主に両手をかざして叫んだ。相手の次の言葉が被る。
『我はテュク・・・。覚えておいて・・・』
「あなたの名前? ・・・忘れない! テュク! また、夢の中で会いましょう!」