第19部(4)
ディルに異変が・・・っ
第19部 ―砂漠の神殿―(4)
「ねぇ・・・何か、聞こえない?」
テューサが、恐る恐る仲間たちに問い掛けた。その問いかけに、全員が耳を澄ます。すると、急にディルが静寂とした中で舞い始めた。
「『待っていた 待っていた
我らを解き放つ子らよ
今一度 平和を望むべし
今一度 平和を謳うべし
ミール・ストーンを持つ子らよ
今一度 平和を願え
今一度 平和を愛せ
待っていた 待っていた
今こそ 世界が一つになるとき』」
ディルの歌と舞が終わるまで、誰一人喋ろうとは思わなかった。否、舞が美しすぎて、目を奪われていた所為もあっただろう。ディルは、自分で考えて歌い、舞っているのではなく、ただ、何かに共鳴したような、操られていたような、そんな感じだった。
舞い終わったディルが、ふらりとふらついた。4人ははっとして、夢現の中から現実へ引き戻された。慌てて、ミクヤが駆け寄り、ディルの体を支える。
「ディル! ディル!」
ミクヤは、柄にも無い大声で、心配そうに何度も名を呼んだ。ディルは気を失っていた。テューサたちも、続いて駆け寄る。
「ディルは・・・何が、あったの?」
テューサが思わず疑問を口に出す。誰にも分からないことだったが、口に出さずにはいられなかった。しかし、ルビスは見ていた。
「・・・舞っているとき・・・、ディルの石が光ってたよ・・・。・・・もしかしたら、神殿とやらが近いのかもしれない」
それから、ミクヤはディルを背負い、「進もう」と呟いた。3人は頷いて、ただ黙々と歩き続けた。
『目を覚ましなさい・・・。ディル・・・』
声が聞こえた。ラーミアの、声。「なによー」って言うつもりだったんだけど、なぜか声が出ない。
『「なによー」じゃありません・・・。神殿が近いのですよ・・・』
・・・あたしの思ったこと、通じてるのかな。
『あなたが謳ったことが、何よりの証拠よ・・・』
――謳った? あたしが? いつ?
『ごめんね・・・。あなたの体を借りて、私が謳いました・・・』
―あたしの体? ・・・を、使って? 謳った?
もうあたしは理解できなかった。話が飛びすぎている! それどころか記憶がない。どうしてー!?
『まずは現実に戻って・・・。ちょうどいい頃合だわ・・・。戻ったら、すぐに呪文を唱えてね・・・。通り過ぎちゃうから・・・』
ちょっと待ってーー!! あたしの、次々と浮かび上がってくる疑問は解決してくれないのーー!?
1700Hit有難う♪♪
完結するまでに2000いけるかな!?